(有)村田牧場通信

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【血統・配合】クライオブザソウル(牝 ターファイトC提供馬)

2017年08月04日 | クラブ募集馬


今回は、ターファイトクラブに提供している2歳牝馬クライオブザソウルの血統・配合について書こうと思います。

明日、東京で開催されるターファイトクラブの募集馬検討会に出席予定でありまして、それまでに書き上げたいと思っていたので、何とか間に合って良かったです。(苦笑)

なお、1歳募集馬については、サマーセール上場馬の情報をアップした後に、時間を見つけて書きたいと考えております。

もう少しお待ち下さいますようお願いいたします。


さて、牝馬ながら530台の馬体重を誇っていた本馬ですが、先日熱発を患い、一時に比べて馬体の張りが少し落ちた模様。

かなり厚い時期に熱発をしたらしいので、多少夏負けが関係しているかもしれませんが、現在は平熱で回復傾向とのこと。

当初目指していた札幌開催は一度未定という形になったので、今後はおそらく秋開催を目途に調整されていくと思います。

育成場での評価が高いので、これから順調に行ってくれればと願っています。


クライオブザソウルには、競走馬としてはもちろん、個人的には将来の繁殖牝馬としても期待しています。

というのも、彼女の血統は他のモガミヒメ牝系の牝馬たちとは多少異なる血統傾向を持っているからです。

具体的にはHyperionの血が豊富な点が他のモガミヒメ牝系とは異なる点なのですが、これは意図的にそのような配合にしました。

父ハーツクライの血統においては、サンデーサイレンスの2代母Mountain FlowerがHyperion3×4、ハーツクライの母父トニービンはHyperion5×3・5のクロスを持ちます。

また、クライオブザソウルの母ラヴァーズレーンの血統では、その父メジロライアンがHyperion5×5・5を持っています。

ラヴァーズレーンの母であるモガミヒメは、米血脈の影響が強いという血統的特徴があります。

一方で、欧州血脈が足りないとも感じていて、その最たるものがHyperionのラインの少なさだと思っていました。

Hyperionの血が多くなければ優秀な馬にはならないとは思いませんが、一方で、この血の重要性は多くの活躍馬の血統パターンからも明らかです。

そこで当時、種牡馬シンジケートに参加していて、仔出しの良さが評判になっていたメジロライアンを配合することにしました。

もちろん前述した通り、メジロライアンが持つHyperionの血も、モガミヒメの次の世代のためには入れておきたい血脈の一つでした。

モガミヒメの牝系は、どちらかと言えばスピードが勝った馬が多いのですが、できればこの牝系から距離が持つ馬も生産したいと常々考えていました。

そのため、ある程度距離の持つ配合としてデザインしたのがハーツクライ×ラヴァーズレーンの配合であり、クライオブザソウルの誕生につながったわけです。

クライオブザソウルの配合はHyperionの血脈が豊富で、父母の距離適性も比較的長めなので、この配合で牝馬が生まれたときは将来の繁殖牝馬として残したいと強く思いました。

その結果として、本馬のクラブ提供に至った経緯があります。

彼女の馬体を見ても、父ハーツクライの影響もあってか、比較的伸びがあって牝馬らしからぬ雄大な馬体をしています。

そういう意味では、配合で狙った通り、距離が持ちそうな馬に成長してくれました。

気の強いところはありますが、それほどカリカリした面もないので、若馬のうちはわかりませんが、将来的には距離をある程度こなしてくれるのではと期待しています。


単純にハーツクライ産駒という視点で見てみると、ハーツ産駒の活躍馬には母方に米血脈を持つ馬が多いという特徴があります。

クライオブザソウルの配合でも、Hyperionの血の強化することだけにとらわれず、しっかりと米血脈を強化する配合にもしています。

まずは、ハーツクライの2代父Haloとカコイーシーズの母Careless Notionによる相似クロスです。



両者の関係ではRoyal Charger≒Nasrullahの近親クロスがあり、そのほかにもPharamondとSir Gallahad=Bull Dogを持つ点で共通します。

また、ハーツクライが持っていたNothirdchance≒Rovokedという相似クロスを、クライオブザソウルの2代母モガミヒメが持つReal Delight≒Bull Pageと併せることで継続させました。



上記4つの血脈を、1つの血統表内に縦に並べてみました。

こうして見ると、いずれの血脈もBlue Larkspur×Sir Gallahad(Bull Dog)の配合から成り立っているのが分かります。

米国においては、Black Toney系×Teddy系というニックス配合が流行っていた時代があり、それぞれの子孫であるBlue Larkspur系とSir Gallahad=Bull Dog系との配合が盛んに行われていたようで、世代を経てこのような相似クロスを形成することができるようになりました。

ハーツクライの場合、Blue Larkspur≒Balladierという相似クロスも持っていたため、クライオブザソウルの代でBlue Larkspurのクロスを強化したことは血統的に意味のあることだと思います。



そのほかにもクライオブザソウルは米国の名牝Busandaを6×7で持つなど、父ハーツクライの持つ米血脈を豊富に活かした配合になっています。


父の産駒らしく中長距離の芝馬になるのか、あるいは兄姉同様にダート馬になるのか現時点ではわかりませんが、いずれにしろ今のところは立派な馬体に成長してくれています。

育成場でも素質を評価されているようなので、この先順調にメニューを消化して、デビュー戦に向かって頑張ってほしいところです。