むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

ふくらまなかった パンケーキ

2012年03月12日 | 日記
11年前の誕生日にもらった、かえるキャンドル。
白いバスタブに、水色のろうそくのお風呂。
かえるくんは、そこに胸まで浸かっています。

しまっている時期もありましたが、最近は洗面所に飾っていて、それを見ると、そろそろお風呂から出してあげたい気分になることもありました。
だけど、燃え残ったところに、カチコチにはまっているもの、ムリ。と、思っていました。

それがさっき、わたしもお風呂に入ったついでに、はじめてお湯でかえるくんを洗っていると。。
ペロン。と底がとれ、タブと、「ロウ+かえる」が分かれました。

これはもしや。。と、足元のロウに力を入れると、パキンと折れて、足がぴょこん。
続いて、背中からスポンとはがれて、全身が。
あっけなく、湯船から、つるんつるんのかえるくんが上がりました。

そっか。ロウって、温まれば柔らかくなるよね。
と、後から思ってみたものの、ずっと「これは、こういうもの」と、当たり前にしていたわたしにとっては、小さな頃よく感じていた、「おどろき」と「こうふん」の瞬間でした。


     

お風呂上りの記念撮影。


話かわって、先日、友人の家に遊びに行った時のこと。
彼女は、朝のうちにバナナパンケーキを焼いてくれていました。

ところが、白いお皿に、一口大にスクエアカットされていたのは、洋羹みたいにしっとり、どっしり。
バナナの皮に包まれた、バリ島の米菓子みたいでした。

オーブンを開けた彼女は、とたんに
「ベーキングパウダー、入れ忘れた!」
と気づき、
「しっぱいした~」
って、あわてたそうです。

でも、待ち合わせの駅まで歩いているうちに、こんなふうに思い直してみたんですって。
「おや。なんだか、ぺしゃんこのものが出てきた。なんだろう?」
そう、とらえたら。。

焼き上がったものからは既成概念が取り去られ、あるがままの。。ばなな洋羹?になり、キュッとなっていた心も解かれて、楽になった。と言い、にっこりしました。

「しっぱいしたけど、これはこれで。。」
と、むりに肯定するわけでもなく、はなから期待や固定観念をすて、無心に、その都度目の前に現れてくるものを眺める。
きっと、そういうところに、どこからか楽しいアイディアや、Happyな展開が生まれてくるのね。

味も話題も、おいしいお茶うけになってくれた「膨らまなかったパンケーキ」が、よろこんで見えました。
日常は、まだまだ深くて、ほんとうはシンプルで。


3月11日を経た、今日ここから、まだ揺れの残る人々のこころに、温い風がなでていきますように。



                           かうんせりんぐ かふぇ さやん     http://さやん.com/



コメント (2)