Slow Life Mye's

マイシステムズな日々

チョット古い話ですが「新日鉄の怒り 極秘技術「方向性電磁鋼板」はなぜ流出したのか」

2012年09月15日 22時15分54秒 | 日記

もともとは米国の技術だったが、昭和43年に新日鉄の開発チームが性能を飛躍的に高める

製造技術を確立。


以降、同社は方向性磁性鋼板のトップメーカーとなり、多大な利益を得ている。

 しかし、平成16年ごろからその地位を脅かすライバルが現れた。ポスコだ。ポスコは以前

から類似の鋼材を手がけていたが、「急激に品質がよくなった」(新日鉄幹部)。価格も安く、

次々に顧客をつかんでいった。シェア約3割の新日鉄に対し、ポスコも2割程度と一気に

差を縮めた。

 一方で、業界内にはある噂が広がった。「新日鉄の技術がポスコに流出したのではないか」-。

 新日鉄はポスコ側に真偽を問い合わせたが、独自技術と言い張るばかり。

「何十年もかけ、数百億円を投じてきた技術が、なぜこんなに早く追いつかれたのか」

(宗岡正二社長)。疑念は募っていった。

 平成19年、ポスコが韓国で起こした裁判をきっかけに事態は急転した。


ポスコは、同社の元社員が方向性電磁鋼板の技術を中国の鉄鋼メーカーに売り渡した

として提訴。

事情を知る業界関係者は、「ポスコ側に情報を漏らしたのは1人ではなく、グループだ」と

指摘する。1990年代に新日鉄を退社した開発担当者を含む数人が関与したらしい。

新日鉄が提訴したのはグループのリーダー格とみられる。

 新日鉄は、方向性電磁鋼板の製造方法は特許出願していない。秘中の秘の技術は表に

出さず、隠すのが通例。ただ、関連特許は数多く、元社員とは秘密保持契約を結んでいた。

 元社員はどのように取り込まれたのか。ポスコに限らず、日本企業の退職者を積極的に

雇用する外資は多い。多額の報酬が提示されることもある。「エージェントを通じて慎重に

接触し、籠絡(ろうらく)する」(事情通)ケースもある。

 技術を流した側と受け取った側の関係を立証するのは難しい。裁判は長期化が予想される

が、新日鉄側は「明らかな形で情報が流出した証拠をつかんでいる」として勝訴に自信を

見せる。

しかし、裁判で元社員は「渡したのは(ポスコの技術でなく)新日鉄の技術」と証言した

これを受け、新日鉄が調査を開始。

同社元社員の証拠差し押さえを経て今回の提訴に至った。