仲蔵狂乱 by松井今朝子

2008年06月15日 | 読書
実在の人物の面白い話でした。
難しい言葉も一杯出て来ますが、それも勉強になると言う感じで、
読みふけりました。
歌舞伎の世界にも少しだけ興味がわいてきました。
何かきっかけがあれば一度見てみたい。

歌舞伎役者の階級には、
下立役(稲荷町)-中通り(ちゅうどおり)-相中(あいちゅう)-名題(なだい)とあって、
世襲制の歌舞伎の世界で、稲荷町から名題に出世した役者は稀にしかないとか。
中村仲蔵は江戸時代中期の人で、これを実現した稀代の名優と書かれていました。

幼い頃に孤児(みなしご)となった仲蔵を引き取ったのが、
「長唄の唄うたい」と「踊りの師匠」の子の無い夫婦。
踊りの師匠のおしゅんに厳しい稽古で踊りを仕込まれたのを振り出しに、
波乱万丈の役者人生を駆け抜けて、55歳で亡くなる頃には、
独創的な役作りで名前のとどろく「名優」になっていた。

怖いこといっぱいの江戸時代!
火事がやたらと多かったり、
浅間山の噴火に、飢饉に、打ち壊し。
さらに、今の時代と違って教育や修行がやたらと厳しく、
人の仕打ちも残酷で、しくじりをやると残虐なお仕置きがあったり、
マスコミのない時代で、人のうわさが人の人生を勝手に変えてしまう事もあり。

でも仲蔵の心根は優しく、
夫婦愛の描き方が良かったですね。

コメントを投稿