かつてこの駅に桜の大樹あり

2019年04月17日 | 俳句
白黒の足袋は淋しげ春夜かな

少年の指差す先や初桜     仲春

極めたる男去り行く時正かな  ※時正=春分、中日

ピアノよりフォルティシモまで猫の恋

チューリップ囚はれ人のやうに咲く


葬儀して初七日をして春一日

花冷や令といふ字の張詰て

珈琲に苦味と酸味花の頃

幾年ぞ花なき駅となりてより

かつてこの駅に桜の大樹あり


飽くほどに桜を眺め西へ西へ

翁堂前の春日や鹿威

義仲寺の風に柳の芽吹あり

草若葉馬より落ちぬ巴とか

カーナビの声遅れがち目借時


遅き日や甲賀の里をひた走り

緊張も解けてほろほろ散る桜

花の雨一年生も傘をさし

傘叩く雨や快速花筏

散り初めの桜仄かな緑して


■義仲寺は大津にあって木曽義仲の墓がありますが、松尾芭蕉が大阪で客死したのちに遺言によりこの寺に墓が作られています。俳句を習う者としてはぜひ一度お参りをしておこうと思い、実母の50回忌、継母の13回忌の生駒での法事を機会に立ち寄ってみました。琵琶湖に近い街中の小さなお寺でよく管理されていました。天気にも恵まれ、住職らしき方の話も聞けて、のんびりと参らせて頂きました。


2 コメント

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Unknown (きりぎりす)
2019-04-23 15:03:52
枯野を駆けめぐる夢はどんな夢でしょう。高齢者の見る夢は寂しく哀しいものでしょうか。それとも…
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旅に病んで (健人)
2019-04-23 21:51:03
答を書く必要はないと思われますが、年をとってみる夢も人それぞれいろいろでしょうね。特に高齢者だからという事も無いように思います。
ただ、昔の仕事の苦しいシーンが出てくるのは嫌ですね。こういうのが時々出てくる。特に睡眠が十分足りているときの夢は妙にはっきりと残ります。深い眠りに入っていたときは「何か見ていたがさっぱり思い出せない」という感じで、あっけらかんとしているのですね。
芭蕉の「旅に病んで・・・」の夢は、旅が大好きだった人だけに、嬉々として枯野を駆け巡っていたのではないかと想像します。ちなみのこの句は辞世の句だったという人と、そうではないという人の両方があるようです。
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