本堂の春の闇なる幾仏 三宅久美子 櫂選
季語は春の闇(春)
夜の屋外の春の闇ではなく、薄暗い寺院の本堂の昼の闇と見た。
本堂の奥には幾体かの仏像が寺の長い歴史の中に鎮座している。
冬が過ぎ春となって仏の表情も少し明るさを帯びているか。
水切りの父子の影や春夕焼 森木史子 れおな選
季語は春夕焼(春)
若い父親と少年が水切りに興じる夕暮れのシルエット。
少年の母は少し離れた場所から夕焼けに包まれる二人を眺めている。
筑紫野に筑紫次郎に燕来る 多田羅初美 れおな選
季語は燕来る(春)
坂東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)、四国三郎(吉野川)と言うそうだ。
北九州筑紫平野に、その平野を流れる筑後川に今年も燕がやって来た。
明るい大きな景が広がって、今年のスワローズの活躍が期待される・・・。
善いことをしてゐるやうなマスクかな 岩田公次 汀子選
季語はマスク(冬)だが実際の季節は春。
誰もが感染者の可能性あり。世の中に菌をバラまかないよう、
マスクを付けていることを善行と捉えた作者。
「マスクはや春の季語ともなりにけり」である。
その大きさで役に立つのか布マスク
真面目にしているのはご本人だけのようで
痛々しい・・・。