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わたしを離さないで byカズオ・イシグロ

2008年06月20日 | 読書
風変わりな物語を読んでいる。
臓器移植をするために生まれて来た人たちの話(らしい)。
同じ仲間だけの施設(ヘールシャム)で育ち、ある年齢で、外の世界に出る。
そこから先の人生は、どうやら「提供」が待っているらしい。

ちょうど半分ぐらいのところなので、
少しづつ謎が明かされてゆく・・・というよりも、推理小説ではないので、
子供達が少しづつ自分達の運命を知ってゆく過程が描かれてゆく。
(従って、まだ、自分には全体像は分かっていない。)

施設の指導者は「保護官」と呼ばれる。
ほとんどの保護官は、子供達の与えられた人生をストレートには教えてくれない。
中に、教えるべきだと考えるルーシー先生が現われる。
しかし、主流派の考えとは異なるために、ある日施設を去ってゆく。

子供達には父母はいない。だから施設に親が訪ねて来ることもなかった。
そして、彼等には子供は出来ないと教えられる。
しかし年頃になれば異性への興味は出てくる。
施設の中では性教育もあり、交際は半ば奨励され、カップルが何組も出来る。

主人公のキャシーには残念ながら恋人は出来ていない。(今のところ)
しかし、子供の頃から仲の良い(とはいえないが)、
密度濃く交わってきた、同じ運命を背負った同性・異性の友人はいる。

16歳ぐらいになって、彼等はヘールシャムを出て、
外の世界へ出るための準備施設のようなところへやってくる。
ほとんどの自由が許され、少しづつ手探りで外の世界と関わりを作り始める。
今はそんなところを読んでいる。

ちなみに物語の語り手のキャシーは物語の冒頭で31歳。
介護人をすでに11年やって、まもなく引退しようとしている。
その先にどういう運命が待っているのかは、まだ分からない。
ただ、介護人というのは臓器提供をする仲間を介護する人らしい。
4回ぐらい「提供」をすると、かなりしんどい状態になるようだ。
キャシーはこの後臓器提供者の仲間入りをしてゆくのだろうか?

しかし、どうしてそのような運命を甘受できるのかは、まだ分からない。
両親がいない、そして子孫も出来ない人生を運命付けられたら、
そんな運命=役割も、受け入れられるようになるのだろうか?

かなり変わった物語だよ。


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