暦ものがたり (太陽太陰暦のこと) 岡田芳朗著

2012年10月22日 | 読書
電気という便利なものがなく、人が月と仲良く過ごしていた時代、
「旧暦」は月の満ち欠けイコール日付で、とても便利な暦であったようです。
月が見えなければ1日、満月なら15日、上弦が8日で、下弦は22日ぐらいかな。
(雨降ったらどうだって?まあそれは置いといて・・・)

でも、29.5日×12か月=354日 のまま使い続けると、
365-354=11日 と、
太陽の周期とは1年で11日遅れてしまうので、
16~7年経つと夏と冬がひっくり返る事になります。

現在でもイスラム暦(ヒジュラ暦)では太陰暦をそのまま使っているそうですが、
砂漠の遊牧民には春夏秋冬がないので、季節は関係ないということらしいです。

しかし、農耕民である我々のご先祖様はそうはいきません。
季節に沿って、種まき、田植え、草刈、稲刈等々、
農業はお天道様との二人三脚なので、太陰暦のままではうまく行きません。

そこで、3年弱に一回閏月なるものを入れて調節したんですね。
閏4月とか閏8月とか、どの月の後に閏月を入れるかは、結構面白いのですが、
「二十四節季」とからんで、また少し難しい話になりますので、興味があれば研究してください。
この話、なかなか奥が深いです。「西暦2033年問題」というのがあって、
”どこに閏月をいれていいのかわからな~い!”というような興味深いテーマもあるそうです。
まぁ、そのことは別にして、日本で使われてきた旧暦は単に「太陰暦」ではなく、
太陽の動きも加味しているので「太陽太陰暦」というのだそうです。

ところで「六曜」と言われる(この言い方も始めて知りましたが)大安とか仏滅などが、
結婚式や葬式の日取りを決める上で、現代の我々の生活をずいぶんと拘束していますが、
その順番はどうなってるのというテーマは、
現行の太陽暦を見ている限りでは、全く・・・わかりません。
もともと太陰暦に即して「ルール」が作られているので、
太陰暦カレンダーを見れば全く単純なのだそうです。
いままで不思議に思っていたことが、なぁんだぁ・・・というような単純なルールなのです。

問題は、それらを決める「太陽太陰暦」が実は大変あやふやになっているらしいのです。
その事について、「暦ものがたり」の中で岡田先生はこんな事を書いておられます。
少し理解しにくい長い文章ですが、(勝手に改行を入れて)文章をそのまま引用しておきます。

””明治末年以来、東京天文台では旧暦を編纂していないから、
今日では民間暦の発行者や易者が
「天保暦」に準拠して各自の方法でまちまちに(旧暦を)編暦している。
したがって相互に食い違いが生じることもありうるわけである。
いわばあやふやな「旧暦」によって六曜をはじめとして、
種々の暦註が割り付けられており、
庶民はそれを一生懸命信奉しているわけである。
太陽暦で生活している現代人が
明治5年に公式に廃止されて法的根拠もないあやふやな旧暦による
さまざまな「暦註(六曜など)」を信奉することは、
まったく理に合わない行いなのである。””

■結論・・・大安とか仏滅にこだわるのは意味の無いことです!

~註~
※明治末年以来・・・明治6年から明治政府は突然太陽暦を採用しましたが、
 その後、明治末年までは東京天文台が旧暦の編纂だけはしていたようです。
※天保暦・・・江戸時代末期から明治5年まで使われていた暦の名前。
 渋川春海の編纂した「貞享暦」から始まって、江戸時代には何回か修正版が作られています。

・・・・・それにしても、来年の太陰暦カレンダーがほしいなぁ。・・・・・

コメントを投稿