小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第498回小麦句会結果発表(2)

2023年04月09日 14時27分08秒 | 1日句会

つづき

 

一人よし二人尚よし夕桜     めたもん

〇(楊子)詩に遠く冗長なリズムだが、さらりとにやりとする共感があります。

〇(珠子)ですよね。私には「3~4人もっとよし」が正直なところですが。 

○(アネモネ)まさにそう。得心です。

 

花冷えや朱色の橋を渡る雲    仙翁

〇(まきえっと)橋を渡るのが雲なのがいいですね。

 

(選外)(卯平)下五の「雲」と「花冷」の間が少々チグハク。

 

起重機のくるりと回る花の冷    春生

〇(楊子)あの重い機械が軽々と動くさまには驚かされます。同時に、ひやりとした危険を感じるところを季語で詩にしました。

〇(あき子)起重機と花がうまく取り合わされています。

〇(珠子)「くるりと」の軽さに少々驚きつつ、疲れ知らずの力持ちだからそれでいいのかとも思い。

○(餡子)たんぽぽの奥にある起重機には気が付きませんでした。そろそろ農作業も本格的になる時期。   

〇(めたもん)「花の冷」と上五、中七がいい感じに響き合っています。

◯(道人)無機質な「起重機」と「花」の取合せが新鮮。「冷」は温度感ではなく感覚的な「冷」だろう。

○(卯平)「くるりと回る(廻る)」が少々報告的だろう。しかし「花の冷え」の位置は上五中七に対して臨場感がある。

 

花吹雪だれも渡らぬ朱い橋    あき子

〇(楊子)観光地ではないところのさくらの飛花落花はいっせいと言えども静かです。朱い橋の喩としているものは心の火種かもしれません。

 

(選外)(卯平)大濠公園での吟行句だろうか。詠み手の位置はこの「誰も渡らぬ朱い橋」の手前だろうか。それとも橋の向こう側だろうか。曖昧さが選に至らない。

 

丹の橋の奥に丹の橋囀れり   アネモネ

◎(あき子)繰り返しのリズムをたたみかけて、囀れりで解き放つ。濃厚な感情の揺れを感じます。

○(仙翁)赤い橋の並んでいるのが印象的ですね。

〇(春生)空間の広がりを想像した感性が見事。         

◯(道人)囀り以外音のない静寂観と丹の橋のリフレインが醸し出す奥行きのある空間が佳い。

◎ (アゼリア) リフレインが効いていると思いました。

 

さくらサクラ散るダンスが止まらない    あちゃこ

〇(瞳人)小さなダンス?

◎(卯平)この句が醸す哀しさに共感。さくらの本意本情を現代の景に委ねている。迷わず特選。

○(宙虫)ダンスする若者増えました。

 

何もかもうまくいかぬ日すみれ草     めたもん

○(泉)この様な日もあります。我慢ですね。

○(幹夫)「小さな幸せ」が花言葉。道端にひっそり咲き誇るスミレに元気を貰う。

◯(道人)こういう日は何もせずにぶらぶら歩くに限る。道端で出会った「すみれ草」が何よりの心の薬。

◯ (アゼリア)こういう日ありますよね。すみれに慰められます。

◎(アネモネ)「すみれ草」が上手い!

 

「花巡礼」黒田杏子の終える旅     藤三彩

〇(珠子)「花満ちてゆく鈴の音の湧くやうに」享年84歳。3月13日。東京開花宣言は14日でしたから、開き始めた蕾とともに終えた旅でした。     

○(ちせい)瞑目するしかない事実に「終える旅」と詠み切る。続きが有るような気がしました。

 

(選外)(道人)桜花巡礼を三十年かけて満行された黒田杏子さんは好きな俳人。忌日3月13日は来年以降様々な句で詠み継がれていることだろう。

 

農を継ぐ子のUターン竹の秋    楊子

○(泉)日本の農業の未来は、今や正念場です。

〇(カンナ)季語がよいですね。

○(藤三彩)筍に栄養分を費やすため竹は春に黄変するといわれる。グッド引退と継承。

◎(餡子)きらびやかな京都当りからのUターンでしょうか?これからは農地と共に生きるのですね。頑張れと言いたくなります。 

◎(道人)シンプルな表現と句意に共鳴。「竹の秋」の時期のUターンは心強い。

〇(まきえっと)日本の食料自給率は低いですね。応援します。

◯ (アゼリア) こうゆう子増えると良いですね。食料自給率低くて心配です。

○(アネモネ)「竹の秋」が効いていると思いました。

 

合祀墓の裏の叢黄たんぽぽ   アゼリア

〇(楊子)あざやかな黄たんぽぽとの取り合わせがかえって悲しみを表している。

○(仙翁)タンポポは、いろんなところに咲いていますね。

 

(選外)(卯平)句材構成は納得。ただし全体的に説明的で弛緩していないか。

 

水流の橋を渡れば花の風        ちせい

○(あちゃこ)写真から水音と風を感じました。まさに掲句。

 

花疲れ闇に目鼻のある如く   あき子

◎(楊子)下句の詠みに惹かれました。亡霊が見えたような気がするのは桜ならではの疲れからくるのでしょう。

○(アダー女)花見三昧で夜になってしまい、その花疲れの目には闇の中で夜桜の幻覚も手伝い、夜桜見物の人々の目鼻だけがぼんやりと見えるのかなあ。いやもっと穿って読めば闇そのものが夜桜の妖怪になって一つの生き物のように感じられてくるのでしょうか?

◎(春生)「闇に目鼻のあるごとく」は「花疲れ」と呼応している。   

◯(道人)花に疲れると見えないものも見えるのかも。何となく納得させられる「目鼻のある如く」

◎(ちせい)主観的な認識が花疲れと相俟ってリアリティーを持ったのかもしれません。

○(宙虫)この生々しい感覚は確かに。

 

花筏光源氏の文運ぶ    春生

〇(あき子)そんな景色を想像して遊ぶのも趣がありますね。

○(餡子)夢のような一場面。光源氏の恋文か?  

 

華麗なる庭を見上ぐる鼓草   餡子

 

裸電球雨に連ねて抱卵期    アネモネ

〇(カンナ)季語との取り合わせが面白い

〇(楊子)「抱卵期」よりも「抱卵季」が詩に近いと。屋台なのか山道なのかわびしい光景ですが抱卵ということばに温かみや救いがあります。

◎(珠子)桜まつりの裸電球でしょうか。今年は桜の開花が驚くほど早く、その上に休日は雨でしたから残念な桜まつりが多かったことでしょう。「抱卵期」はあの逆光の一羽の鳥からの連想?「抱卵期」への着地がお見事。 

◯(アゼリア) 養鶏でしょうか?祖母の家で養鶏をしていて手伝ったこと懐かしく思い出しました。朝御飯にいつも美味しい卵をごちそうになりました。

◎(宙虫)裸電球の体温が雨に伝わっているよう。

 

しんがりを大川花のわがエイト   瞳人

○(藤三彩)レガッタの8人漕ぎの競漕艇。我がというところから昔はならしていたのでしょう。

○(卯平)句全体からレガッタの景と一読。見えて来るのは大きな川でボートレースに興じている詠み手がメガフォンで発破をかけている景。上五の「しんがり」がこの舟の後ろからかけ声をかけているのか、それともボートレースでゴールを最下位を競っているのか。満開の花の下の大川での景だろうか。このような読みはかなり親切。例えば「しんがりや・・・」であればまた別の鑑賞に導かれるだろう。「大川花」と呼ぶのか。それとも「大川」でキルのか。最後まで昇華不良。

 

さえずりでひとを捕える籠がある    宙虫

◎(カンナ)目に見えない世界を詠んでいる。さえずりでひとを捕える籠とは、口先だけで人を騙す詐欺とか? いろいろ想像が膨らんで面白い。 

〇(瞳人)どんな籠かしら

○(アダー女)求愛の声でさえずる春の鳥たちのマジックで人間がその声に惹かれ鳥籠に入れられてしまうなんてグリム童話の世界のよう!

○(ちせい)ちょっと怖いものが有りますが不気味さの中にユーモアが有ると思いました。

 

タンポポの綿毛流れる猿回し   仙翁

 

傘差して乾通りに桜馬鹿     カンナ

〇(瞳人)この時節1億総馬鹿ですものね

 

絮たんぽぽ大小どれも風まかせ    幹夫

〇(まきえっと)「風まかせ」っていいですよね。

 

春泥や手を汚さない評論家   泉

○(藤三彩)シニカルですね。

◎(瞳人)そういうのばっかりですね、とくに×憲▽主のセンセイ方

○(幹夫)付き過ぎなほどが佳い。風刺の作品に納得。

 

(選外)(卯平)最近の「テレビコメンテーター」は引っ張りだこ。しかしが「手を汚さない」姿が

 

いにしえや蒲公英の座す処刑場    あちゃこ

○(仙翁)いにしえ、タンポポ、処刑場面白い取り合わせですね。

○(アダー女)なんか怖い句ですが惹かれます。昔は処刑場だった場所に今は蒲公英が鎮座している。罪人が座した場所に・・・

〇(春生)「処刑場」のある世界と蒲公英の取り合わせに乾杯。 

○(餡子)処刑場と想を広げた事に驚き。各藩に有ったそうで、有名なのは鈴ヶ森、小塚原、京都では三条河原、六条河原・・・。いろいろと有能な人達の死の後にたんぽぽ。

〇(めたもん)処刑場のあった場所は各地にありますね。そこに「座す」蒲公英の黄は命の象徴のようでもあります。「座す」とはなかなか詠めません。 

〇(まきえっと)時の流れを感じます。

○(宙虫)いにしえはやや説明かなとは思うが、たんぽぽと処刑場は様々な想いを広げてくれる。

 

(選外)(卯平)下五の「処刑場」は上五の「いにしえ」から歴史跡だろう。果たして「いにしえや」の詠嘆が中七下五の景のバックを描き切っているか否か。

 

たんぽぽの一族郎党空を欲る     珠子

〇(あき子)何といっても、「一族郎党」に対して「空を欲る」が効いてて、特選にするか大いに迷った、とても好きな句です。

○(ちせい)中7が古い言い方ですが、「空を欲る」と言う着地で救われたような気がしました。

 

枯れ川に風のいたずら花筏     アダー女

○(泉)いかにも春らしい光景ですね。

〇(カンナ)景色が浮かびます。

〇(めたもん)よく見かける景ですが、「枯れ川」を「老い」の象徴と読むと、また味わいが深まります。 

 

夕こぶし鳥の喝采鳴り止まず       道人

〇(春生)美しい絵のような世界です。

 

見逃していないか春の訪れを    まきえっと

 

幻の酒宴となりぬ山櫻    卯平

○(藤三彩)花見はしても飲酒はダメよと

〇(瞳人)染井吉野でないと気分でませんか

〇(珠子)花の宴とは限りませんが、今年こそ酒宴復活と思っていたのに…とがっかり。来年までは待てません。「端午の節句宴」は元気が出そうですし、「小満の宴」はなかなかいい雰囲気です。いかがでしょうか。

○(ちせい)残念な感じ。山桜が君臨して居る。

 

 

今月の写真

一枚目・・・熊本市北区の「代継宮」(曲水の宴が催される)

代継宮|熊本の・子授け・子宝祈願 - 御祭神・御由緒 (yotsugiguu.jp)

 

次回告知はまきえっとさんからです!

 

 

 

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2023-04-10 11:47:06
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は桜も満開になって、既に散り始めています。良い季節になりました。広島カープも徐々に調子が上向きになって来ました。今後の活躍に期待です。
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