年末。
ニュースをうんざりしながら見ている。
日本という国の行く末、あと半月で少しは見えてくるのだろうか。
毎年のことながら、年々事態は深刻になっていているように思うのだが。
とにかく自分のこの一年を整理しておくことにしたが・・・・。
次回は今年最後の句会。
まきえっとさん、お願いします。
☆結果発表(2回にわけて)
歳晩の人ごった返す裏通り 幹夫
〇(瞳人)そういう時節ですね
鎮魂の灯火集まる開戦日 泉
◯(道人)写真の灯火から開戦日の鎮魂への展開がいい。
○(アネモネ)誰が起こした戦争なんでしょう。ほんと鎮魂です!
間引菜や不足している運転手 カンナ
○(泉)新型コロナの影響で、運転手不足は深刻です。
◎(幹夫)タクシー運転手不足解消の為、ライドシェア解禁が注目を浴びている昨今ですね。「間引菜」との取り合わせが面白い。
◎(餡子)余分な物を間引くことと、足りない事の取り合わせが、おもしろい。と言っていられない24年問題は、重大な事ではありますが・・・。電車の車内広告でも「運転手募集!最初に30万ボーナス」などと貼ってあります。
◎(幹夫)タクシー運転手不足解消の為、ライドシェア解禁が注目を浴びている昨今ですね。「間引菜」との取り合わせが面白い。
○(宙虫)間引き菜と人手不足に繋がる展開が意外で。
琵琶法師の語り切れ切れ冬明り 楊子
○(卯平)琵琶法師の発見。
○(アダー女)小泉八雲の「耳なし芳一」を誰もが思い浮かべますよね。「語り切れ切れ」がまるで夜のイルミネーションライトの点滅のように琵琶法師の語りも切れ切れという表現がそこはかとない不気味さを感じさせます。
〇(あき子)「語り切れ切れ」の切迫感が、冬明りと響き合っていると思いました。
〇(カンナ)詩情のある句。
◎ (アゼリア) この明かりのもとで琵琶法師の語りを聞いたら、心にさぞ響くことでしょう。
善人がひろうぎんなんバスツアー 宙虫
〇(瞳人)善人て見かけなくなりましてね
冬の宿ツアーに任せるひとり旅 藤三彩
○(幹夫)旅の形態もそれぞれがそれぞれなりに乙なものです。
〇(まきえっと)楽でよさそうですね。たまにはありかも。
○(泉)この様な「ひとり旅」も良いですね。
○(幹夫)旅の形態もそれぞれがそれぞれなりに乙なものです。
◎(ちせい)気ままな一人旅がさらに気ままになったような、いい感じが出ていると思いました。
頼みごと風に横むく冬薔薇 瞳人
〇(楊子)写真にはない冬薔薇が取り合わせてあるのがうまいなあと。 年末の頼みごととはあれのことでしょうか。
○(アダー女)私も今年は幸せな年ではなかったので、来年は少し良い年にして欲しいという無理難題を庭の薔薇にお願いしても北風に吹かれ、そっぽ向いてしまう冷たい薔薇たちです。
〇(カンナ)季語を上手く使ったと思います。
有明の月が管制塔の上 アネモネ
〇(めたもん)「管制塔」という近代的なものと昔からの「有明の月」とを「が」で結ぶ取り合わせ。リアリティー、臨場感があります。
◯ (アゼリア)徹夜でお仕事され感謝です。
蝋燭の人避ける灯冬三日月 まきえっと
狐の嫁入りと紛う灯籠冬の闇 アゼリア
○(卯平)灯籠は日照り雨のようだと解釈。
〇(春生)「狐の嫁入り」にまで発想を広げたのは手柄。
対岸の冬の銀河に導かれ 卯平
○(仙翁)冬の銀河を対岸としたのが面白いですね。
万の灯の後ろの正面冬北斗 珠子
○(泉)冬北斗が万の灯を見守っている様です。
◎(道人)「後ろの正面」は常套的で使いにくいが、幻想的な万の灯籠と凛とした北斗七星のコラボで巧く使っている。
◎(まきえっと)「万の灯」の表現がいいですね。「後ろの正面」が冬北斗と合っています。
〇(めたもん)意表を突く中七(八)「後ろの正面」が、人工的な景を自然宇宙的な景に転換するところが面白いと思います。
◎(春生)大きな情景が童謡の世界のように描いているのは素晴らしい。
〇(あき子)万の灯と冬北斗を繋ぐ、「後ろの正面」の躍動感が効いてます。
◯ (アゼリア)後ろに視点を移すってなかなかできないと思います。
○(あちゃこ)中七はよく使われる表現ですが、万の灯の外側に集まる魂の存在を感じます。
○(宙虫)生きているものと空へつながるのが後ろの正面、いいです。
たましい渋滞す十二月八日 あき子
〇(楊子)開戦記念もまた悲しい記念日です。
○(卯平)開戦日ではなく十二月八日で共感。
○(餡子)「レノン忌」でもあり、「米英と戦闘状態に入れり 」の日でもある12月8日。様々な魂が行き交っているでしょう。
○(仙翁)太平洋戦争の始まり、忘れてはなりません。
〇(珠子)あの十二月八日以前の「私を返して」と集まるたましいたち。連日の戦争のニュースに、もしあの時代に生まれていたらと思うと身が凍ります。
◎(あちゃこ)確かに。開戦日に歓声を上げていた当時の世情。取り返しがつかない日。過ちは繰り返しませぬよう祈るだけです。
息白し観光バスに手を振る子 仙翁
○(泉)明るくて楽しい俳句だと思います。
〇(まきえっと)飛行機に乗るときも整備士の方々が手を振ってくれますね。
〇(ちせい)素朴な風景で、息の白さがアクセントに成って居ると思いました。
冬銀河へ続く祈りの灯の寂と 餡子
○(藤三彩)平和の祈りを星々へ願う
○(アネモネ)「祈りの灯の寂と」に共感です。
群衆に冬満月の遠慮がち ちせい
光より昇る哀切冬の園 あちゃこ
〇(まきえっと)「哀切」への着眼点が見事です。
大漁旗靡かせ崎の年の市 春生
○(幹夫)年の瀬の岬の景が佳く詠まれています。
〇(珠子)何につけても大漁旗。新年も大漁旗でお祝いするのでしょう。
◯ (アゼリア)遠くに波音が聞こえてきます。
○(幹夫)年の瀬の岬の景が佳く詠まれています。
バスを待つ白いイヤホン十二月 めたもん
〇(楊子)彼からの知らせを待っているのでしょうか?
○(卯平)十二月の景として納得。
○(餡子)多くなりましたね。人を寄せ付けない空気を感じます。
◎(仙翁)沢山の人が耳にワイヤレスのイヤホンをしていますね。
◯(道人)白いイヤホンが何となく現代人の十二月に合っている。
○(藤三彩)スマホで音楽を聴く白いイヤホンの女をよく見かけます
〇(カンナ)詩情のある句。
○(宙虫)何気ないけど、白と十二月で生き生きとした句になった。
賑わいの戻るバス旅十二月 道人
○(藤三彩)今時はオーバーツーリズムなんて言葉が出て来る観光地
凍空に光る猫バス待つ二匹 アダー女
〇(あき子)澄み切った凍空のなか、乗客は二匹。光る猫バスが遠くに見えます。
〇(春生)不思議に異次元の世界に引き込まれていくよう。
山人の炎絶やさず除夜の鐘 春生
◯(道人)古来から守っている山里の灯火と除夜の鐘が呼応して、NHKの「行く年来る年」の風情。
〇(ちせい)山人の拘り、魂が感じられました。除夜の鐘でさぞ煩悩が除かれたでしょう。
○(あちゃこ)世界中至る所、人々の心の火は絶える事はないでしょう。
○(宙虫)岩手の蘇民祭の開催ができなくなるというニュースを見て急にこの句がいとおしくなった。
酒の香の寒夜に消えて虚し城 藤三彩
元カレも家族連れなり酉の市 アゼリア
〇(楊子)もうお互いを認め合ういい大人としてのすれ違いですね。酉の市が気持ちの安心感を表しています。
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
〇(瞳人)少し、さみしいですね
○(幹夫)「元カレも」と「・・・も」だから作者も同様。それぞれが幸せなら結構です。
◎(卯平)お互い家族連れで出会ったのが酉の市で万事めでたし。
○(餡子)作者の家族も。元彼の家族も、皆さん御元気のようで 何とも嬉しいですね。お互い幸せ。
〇(めたもん)ちょっととぼけた感じ、なんとなくほのぼのとした感じが、季語「酉の市」の人間臭さに合ってますね。
◎(あき子)酉の市の賑わいの中ですれ違った家族。元カレにも私にも別の家族があるという、安堵感と一抹の淋しさ。
〇(カンナ)リアリティがあって良いと思います。
○(幹夫)「元カレも」と「・・・も」だから作者も同様。それぞれが幸せなら結構です。
◎(アネモネ)写真からこの発想に脱帽です。
(選外)(藤三彩)別れた後にお互いに家族を持ったということかな
人吐いて駐バス場の小春凪 楊子
○(アダー女)観光バスでしょうか?いっぱい乗っていた乗客が観光地で全員降り、温かい小春のような風が吹いている駐車場の景。バスが「人吐く」の措辞が絶妙です。バスも一息やれやれですね。
戦火などお構いなしにイルミネーション カンナ
◎(泉)ウクライナもパレスチナも、所詮は他人事です。
○(幹夫)「イルミネーション」を季語と扱う歳時記もあるそうですね。継続中のロシアのウクライナ侵攻に続き、ハマスVSイスラエル。台湾有事も迫る中、とりあえずは平和の日本です。共感します。
〇(春生)戦禍と飢餓に命を失っている地域もあれば早々とクリスマス気分に浮かれている地域もある。「お構いなしに」とズバリといったことろがおもしろい。
○(幹夫)「イルミネーション」を季語と扱う歳時記もあるそうですね。継続中のロシアのウクライナ侵攻に続き、ハマスVSイスラエル。台湾有事も迫る中、とりあえずは平和の日本です。共感します。
バスに乗り冬の月から身を隠す ちせい
○(仙翁)月に見られて困ることありますね。
◎(アダー女)この句、私は冬の月を見ていたいのにバスの自分の席からは「残念ながら見えないよ。」とぼやいているように感じました。それを悔し紛れに自分から身を隠しているんだという諧謔的表現が面白いと思いました。
〇(まきえっと)身を隠したくなるほどなんですね冬の月は。
〇(ちせい)冬の月に魔力が備わったような。ユーモラスだと思いました。
○(宙虫)見られたくない心の内がありそう。
川となる祷りの炎冬ざるる 珠子
〇(楊子)川のように置かれる冬灯は哀しみの灯です。
○(餡子)竹田の「竹楽」ですね。何年か前に訪れましたが、幻想的でした。
〇(あき子)写真を捉えた素直な句に思えますが、私には辿りつけなかった表現です。
○(あちゃこ)景そのものを川と表現された所に惹かれました。
終へたまま眠る少女の神の旅 卯平
◎(カンナ)素敵な物語が生まれましたね。
ぽっかりと白き一片冬の朝 まきえっと
〇(めたもん)句の魅力は朝の空の景そのものというより、詠み方から来る独特な印象。上五、中七がいいですね。
今川焼き手に母とはぐる闇市 アダー女
〇(春生)ついつい今川焼に気をとられて母とはぐれた思い出の闇市。戦後の風景。
この世とは思えぬ万の灯狐火か 道人
〇(瞳人)これぞ、まさに狐火です
人流のままに漂う年の市 めたもん
○(幹夫)年の市の忙しい様子です。
○(仙翁)事故が起きないように注意しましょう。
◎(珠子)無になって流れのままにひたすら漂う。知っている町もいつの間にか知らない町になってしまう。共感。
○(幹夫)年の市の忙しい様子です。
カーバイドの匂い懐かし年の市 餡子
〇(珠子)あの独特の匂いあっての年の市だった頃。今は発電機の音が年の市を盛り上げます。
○(アネモネ)カーバイト懐かしい。
○(あちゃこ)匂いに発想を飛ばした所がいいですね。懐かしい。
(つづく)
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