凍空やどこも無人の駐車場 ルカ
○(瑠璃)駐車場の混雑は大変です。無人はいいですね。(笑)
○(アネモネ)凍雲がいいですね。
◯(宙虫)無人駐車場だけで、のんびりとした景が見える。
お米より甘藷懐かし世代かな 泉
〇 (多実生) 私もこの世代です。子供の頃のおやつは、蒸かしたてのサツマイモでした。
○(藤三彩)学童疎開でもなくただ腹が減っていたことを覚えている世代
秋惜しむルマルデュペイと旅をする 瑠璃
(選外)(藤三彩)思わせぶりな「ル・マル・デュ・ペイ」。村上春樹を読まないし、リストも聴かないのでなんの巡礼の旅のことやら
木箱入り公衆電話冬構え 藤三彩
○(ちせい)季語は「冬構え」。今時珍しいと言う思いと季語の「冬構え」、いいと思いました。
○(ルカ)季語がいいですね。
熟柿落ちピンク電話のダイヤル音 宙虫
○(ちせい)季語は「熟柿」。ピンクの電話も今時珍しいと思うのですが、もしかしたら、プライベートの電話なのかもしれません。
○(敏)二者に共通するのは色と音。因果関係の見えない二物衝撃。ただ、何かが起こったような予感が、何となく。
〇(仙翁)ピンク電話、懐かしいですね。ダイヤルも。
○(藤三彩)電話器のダイヤルを指で回すということがもう分からない時代になりました
湯の里のよろず屋継ぐ日小春空 餡子
◯(道人)万屋の後継とは懐かしい。山間の温泉街の時間と空間の広がりもある。
○(まきえっと)いろいろと不安もありますでしょうが、「小春空」。繁盛間違いなし。
〇 (多実生) 町には大きな店が進出しているこの頃ですが、何でも商う万屋の存在は地域住民とって有難い事です。
○(藤三彩)そう悲観することもなく「道の駅」的にみんなで共同販売という村おこしに期待
冬の谷間抜け来て長し九十九折り 敏
◎ (多実生) 氷柱でも下がりそうな冬の谷間。抜け来ての表現で、景色も見えます。
秋深し猿の遠音の峠道 仙翁
◯(道人)確かに猿がいそうですね。「遠音」が味わい深い。
○(敏)音の無い写真から聞き取った「猿の声」。甦った秋深い峠道での思い出かも知れません。
◯(宙虫)猿の害もけっこう出ているようで。「秋深し」の季語に違和感を感じるけれど、耳で感じる秋がいい。
捨てられし電話番号冬の雷 ルカ
〇(珠子)用済みの電話番号なのでしょう。訳あって故意に捨てられてしまったと取りたくなるのは冬の雷のせいでしょうか。
(選外)(ちせい)季語は「冬の雷」。発想などは面白いと思ったのですがとれなかった。
勧め上手つい焼き芋も買い足して アゼリア
○(泉)商売上手ですね。よくある事だと思います。
○(まきえっと)こういうのって良いですね。縁を感じます。
炊き上がる海老芋仕上げに柚子を和え 藤三彩
○(ちせい)季語は「柚子」。アクセント、隠し味の柚子。和えられてむしろ主役。
◎(泉)美味しそうな俳句だと思います。料理俳句とでも言いましょうか。
(選外)(道人)美味しそう。こういう俳句的食生活をしてみたい。
迷い来て湯の香に消ゆる冬の蝶 道人
○(まきえっと)「冬の蝶」が儚げです。
◯ (アゼリア) 儚い冬の蝶が良く表現されていると思います。
○(敏)冬蝶と同様、作者もまた迷い来たのでしょうか。
◎(仙翁)ありそうな景色で、幻想的で、いいですね。
◎(珠子)温泉場の蝶は越冬するのでしょうか。中七がいいですね。
○(ルカ)詩情があります。
〇 (多実生) こんな事も想像できます。
○(瑠璃)冬の蝶は弱いと思います。しかし「湯の香に消ゆる」に救いがあります。
◯(宙虫)それぞれの言葉が微妙につきすぎで、重複感はあるけれど、蝶の最後がこの温泉地だという流れが気に入った。
豊作の並ぶ店先山眠る まきえっと
湯と酒と往時を偲び忘年会 多実生
◎(餡子)何年かぶりに帰った故里。クラス会をかねての忘年会!色々なことが暴露されたり、告白があったり・・・・。3枚の写真からドラマが生まれました。
雪便り駒子の湯てふ湯を知らず 瞳人
○(ちせい)季語は「雪」。スノウカントリー「雪国」ですね、川端康成の。島村と駒子、そして温泉。「知らず」が主情。
○(泉)「駒子」は小説「雪国」の主人公でしょうか。情緒が有りますね。
鳥を撃つ音か一村冬に入る 珠子
◎ (アゼリア) 静かな山間に猟銃の音が聞こえてくるようです。
○(敏)冬の谷間にこだまする、ターンという銃声が聞こえてくるようです。
〇(仙翁)山間の様子が、よく見えます。
○(餡子)一村・・で、静かな村全体がもう想像できる感じ。そこに、突然の猟銃の音!取り合せが意外で面白い。
◎(ルカ)写真から、鳥を撃つ音が聞こえた作者の感性、素晴らしいです。
〇 (多実生) 猟の解禁は十二月からでしょうか?谺しながら響き渡ります。
昔、猟犬の声と共に冬場よく聞かされた音です。
◎(瑠璃)「鳥を撃つ音か」と断定せず疑問視しているのですね。「鳥を撃つ音に」も力強くてありかなと思いました。急に寒くなる感じがします。上手いと思います。
◎(宙虫)郷愁を誘います。そして、望郷につながっていく。
(選外)(ちせい)季語は「冬に入る」。「音か」にもう少し切れのある表現をと思いました。
温泉に神の立ち寄る神無月 幹夫
〇(珠子)神様も忙しくなります。束の間をゆっくりしていただきましょう。
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。神も立ち寄りたくなる温泉ですね。
米ぬかや干物が並び小六月 ちせい
店頭に積んで米ぬか・今年米 アネモネ
〇(宙虫)なんだか吟行句らしい吟行句。写真の隅々を見ていますね。
山間の湯屋にくつろぎ冬ぬくし アゼリア
○(餡子)温泉に入った後は、下駄でも突っかけて、村の万屋へひやかしに。
○(アネモネ)冬ぬくしがいかにもです。
旅愁ひとつ残る紅葉の影ふたつ 道人
〇(仙翁)秋の深まった景色がよく出ています。
にびいろの空へ湯けむり日短か 珠子
○(まきえっと)山深い場所は日の沈むのも早いですね。情景がよく浮かびます。
◯ (アゼリア) にびいろの空ー素敵な措辞と思います。
○(ルカ)にびいろは、漢字のほうがいいと思います。
○(瑠璃)夕暮時なのでしょうか?湯けむりが上がるのが暖かい印象を受けます。
◎(アネモネ)ほっこらとしてきます。
露天の湯山茶花の降る川飛沫 瑠璃
(選外)(ちせい)季語は「山茶花」。川飛沫がもう少し工夫できると思いました。
温泉の水車は命冬ぬくし ちせい
◯(道人)小春日和の長閑な風景です。この「命」は軽く受け止められますね。
雪女郎寄るかも知れぬなんでも屋 敏
◎(ちせい)季語は「雪女郎」。ユーモラスだと思いました。「なんでも屋」が下7決まった。
◯(道人)雪女郎でも何でも来てね、という感じがいい。
◯ (アゼリア) まさか焼き芋買ったりしないのでしょうね。
〇(仙翁)いかにも、これから雪が積もると雪女が現そうな。
〇(珠子)私も「なんでも屋」でいろいろ捻ってみましたがいまいちでした。雪女郎とは!持っているキャパが違います。
◎(藤三彩)雪女郎が好きでよろず屋ではなく「なんでも屋」と云う女(ひと)がおりまして、今は人前に出ないそうだ。
○(瑠璃)とても面白い句ですね。
○(アネモネ)いいですね。いかにもなんでも屋です。
秋深し深山幽谷家二軒 仙翁
○(餡子)季語が気になりました。湯宿と万屋との2軒なんですね。面白い観点です。
温泉煙の絡みて冬の雲一朶 幹夫
◯(道人)「温泉煙」は「ゆけむり」と読みました。「雲一朶」が巧い。
○(敏)湯煙と冬雲に共通性を見出した一句でしょう。露天風呂での嘱目のような気もします。
〇(仙翁)湯けむりと雲、一つになっているのでしょう。
〇(珠子)温泉煙は「ゆけむり」と読むのでしょうね。立ち姿のいい句。
柚子の実の浮かぶ温泉深き渓 まきえっと
○(餡子)隣の店で売っていた柚子の実が、風呂一杯にうかんでいたのでしょう。蜜柑や薔薇の浮かんだお風呂に入ったことがりますが、なかなかよかった。
〇 (多実生) 山奥の渓谷添いのひなびた温泉。柚子は何処にもあるので冬至にはこんな光景も。
○(藤三彩)茶碗蒸しに柚子の香の取り合わせはリアルだが、渓谷の湯に柚子の取り合わせは人工的過ぎる景に感じる。
泣くも笑うものっぺらな村甘藷掘る 宙虫
◯(ルカ)のっぺらと甘藷がいい味出してます。
〇(珠子)「のっぺらな村」は説明できませんが、じわっと共感します。
古新聞軍手がくるむ十三里 瞳人
○(泉)懐かしい光景ですね。今でも有りますか。
○(アネモネ)凝り具合がなかなか。
米野菜買い込み湯治宿の冬 餡子
○(ちせい)季語は「冬」。湯治の内容は何だろうと想像力を掻き立てられました。
○(まきえっと)あ〜、健康になりたい。
◯ (アゼリア) 子供の頃祖父母と毎夏湯治に行ったこと懐かしく思い出しました。
○(藤三彩)いつかは自炊の湯治をやりたいと思っていた。
新蕎麦粉買いに立ち寄り長話 多実生
○(餡子)ちょっと、紅葉を見に出かけた山の中の村。まあ珍しいことに、万屋がありました。隣りは湯宿。店のおばさんとのおしゃべりが楽しい。ついつい長話になってしまった。
○(アネモネ)笑いました。
温泉に入り炉辺で山の幸 泉
祠めく電話ボックス暮早し アネモネ
◎(道人)祠めく、が写真景とピッタリだと思います。冬の山里は暮れるのが特に早い。
◎(まきえっと)今では懐かしいとまで感じてしまいます。「祠」がぴったりです。
◯ (アゼリア) 祠めくとは観察眼の鋭さに感心しました。
◎(敏)電話ボックスを「祠」に見立てたところ、作者の想像力の豊かさを感じます。
○(ルカ)祠、的確な比喩です。
○(泉)確かに祠のような電話ボックスですね。今時、珍しい。
○(瑠璃)何気ない電話ボックスが不気味に思えてきます。インパクトのある上手い句だと思います。
〇(宙虫)使い勝手が悪そうです。
★★★
いきなりの寒さが続いています。
皆さん、いよいよ今年もあとわずか。
2017年残す小麦句会は1回のみ。
はやいものですね。
みんなで無事に2017年から2018年まで向かいましょう。
では、今年最後句会、まきえっとさんにリレーします。
広島は寒い日々が続いています。スポーツもなくて、テレビ番組も今ひとつです。私はあまりヒマもないので、そこそこ忙しくしています。寒いと言っても、夏に比べれば、冬の方が暮らしやすい地方です。