首都圏の緊急事態宣言、なかなか先が見えませんね。
まだまだ気楽にマスクをはずして人と会える時間を作るには程遠いです。
精神的な疲れが蓄積するばかりで、いつまた拡大するかわからない憂鬱さはどこに住んでいても同じです。
季節は進んで、いろいろな花が咲き始めました。
名所もいいでしょうが、自分だけの花の名所・・・見つけてみてもいいかもしれません。
では、結果発表です。
いつものように二回に分けて発表します。
!結果発表!
恋猫や壁に何かが居る如し ちせい
鳥雲に街を離れて新世界 藤三彩
○(泉)渡り鳥が北国へ帰っていく。作者も自分の住み慣れた街を離れて、新しい世界へと移り住むつもりかも知れない。
○(幹夫)春「鳥雲に入る」の景が佳く詠まれていると思いました。「鳥雲に」の季語を分割して、「鳥街を離れて雲に・・・」との表現もあるかもしれませんね。
沈む日に許し乞うひと涅槃変 メイ
〇(道人)写真の夕日はこの世のものとは思えない雰囲気。作者も過去の罪悪をすべて見られているかのような錯覚に陥ったのかも知れない。季語「涅槃変」は夢枕獏の本の題名にもある。
〇(ちせい)宗教的な感情、キリスト教信者だったのかもしれません。
四方の山里鎮まりて東吹く 仙翁
陽炎やどこへゆけども赤信号 ルカ
〇(楊子)そんなことがあります。気分の赤信号かもしれません。
○(アダー女)赤信号って一度ひっかかるとなぜか次の信号もその次もとひっかかるんですよね!ちょっとイライラしますね。それを陽炎といううすらぼんやりした季語とあわせると「ま、いいか!」と欠伸のひとつもしてのんびりした気分になる。のどかでいいなあ。
◎(餡子)陽炎を抜けても抜けても次々と信号は赤。この赤信号は、今の社会情勢と考えられます。早く進め!の青信号(GoTo)になると良いのですが。
〇(宙虫)赤に反応して立ち止まってしまう。陽炎に向ってため息。
太陽は東15度春を待つ 敏
○(幹夫)地平線(水平線)日の出の大らかな景が目に浮かびました。中句「東15度」がいいですね。
○(仙翁)東15度、面白いですね。
表情があいまい黄砂積もる街 宙虫
◯(ルカ)上五が上手いです。
○(幹夫)黄砂の街の景が佳く詠まれる。「表情があいまい」が黄砂に適っていると思います。
◯(アネモネ)黄砂のあのぼんやり感はまさにそう。
〇(藤三彩)中国の砂漠からはるばると運ばれる黄砂、なんとも厄介な
〇(道人)アンニュイな句。何もかも曖昧なコロナの世への風刺の句ともとれる。
〇(めたもん)「表情があいまい」と「黄砂」との距離に、うろたえつつも詩を感じます。黄砂の春はどこかあいまいな季節です。
〇(メイ)くぐもった街に行き交う、人の流れが見えてきます。
錯覚のでかい日輪春来たる 多実生
◎(アダー女)お天道様がこの地球に現われる姿を錯覚したのか、はたまたお天道様を見ている人間の錯覚か!このでっかい日輪の姿にビックリ!しながらでもさあ、やっと春が来るぞと明るい気分になってくるじゃありませんか。
畑打ちて土の匂いと山の匂い アダー女
〇(藤三彩)固くなった土を柔らかくする為に土を起こす畑打。準備が始まる。
〇 (多実生) 土に生き土地への愛の心が詠まれています。
○(仙翁)確かに、山にも匂いがありますね。
〇(まきえっと)山の匂いへの展開がいいですね。
◎(ちせい)嗅ぎ分けられるのかと言う驚きと畑打ちと言う状況がいいと思いました。
春暁や毛並み乱れし猫戻る 餡子
◯ (ルカ)中七がいいですね。
〇(楊子)恋猫といわないところがいいです。
〇(珠子)動物の世界の「食べて生きる」「子孫を残す」はシンプルですさまじい。
吾輩はステイホームの猫の夫 幹夫
◎(瞳人)この1年、まったく、その通りだなあ、下手に抗わないのも大人
○(敏)猫社会にもコロナ禍が広まっているのでしょうか。漱石の末裔猫のつぶやき?
○(あちゃこ)そうかもと納得。視点の面白さ。
〇(メイ)つい笑ってしまう心地よさがあります。
(選外)(道人)時代性、諧謔味とも中々。
哀しげな目つき家居の猫の夫 アネモネ
金平糖一粒のこる春の恋 瞳人
○(泉)意味不明なのだが、「金平糖」と「春の恋」の組み合わせが良い、と思う。「一粒残る」が意味深である。
◎(楊子)小さな恋の余韻を感じます。春らしいピンクが一粒のこりましたね。
〇(藤三彩)最近は金平糖を見かけ無くなった。恋も遠くに霞んでしまったよ
○(アダー女)一粒残った金平糖を譲り合っているのか可愛い!金平糖と恋がなんか良い味ですね。
〇(道人)淡くも甘い初恋のようでもあり、激しくも悲しい恋のようでもあり。
〇(めたもん)中七の「一粒のこる」が効いて、懐かしく優しい「春の恋」に。「のこる」のひらがな表記もよいと思います。
〇(メイ)ひたすら甘く可憐な恋。
春昼の動画再生多き猫 まきえっと
遠山の落人伝説畑を打つ アゼリア
◎(藤三彩)平家の落人か戦乱から逃れ来た一族か、辺鄙な隠れ里が見えるようです
○(アダー女)「平家の落人伝説」ときましたか。上手いなあ!こんな雰囲気の句を作りたかったのに出来ませんでした。脱帽。
〇 (多実生) 未だに残る落人伝説が甦ります。
○(餡子)九州では、落人伝説があちこちにあります。写真三枚から、街の喧騒と、遠山での静かな畑打ちの対比が見事です。
〇(珠子)あの畑と山並。確かにそういう気がします。
〇(めたもん)「畑を打つ」のは土地に根ざして生きている方。「遠山の落人伝説」はその土地の言い伝え。鄙びた土地のゆったりした時間の流れです。
○(仙翁)山の奥には、仙人がいるかも知れませんね。
故郷や春夕焼を送信す あちゃこ
〇(楊子)感動はなかなかそのとおりには写真には写りません。気持ちを送信してい
るのです。
○(餡子)こちらは古里から都会に向けての送信。三枚の写真からの流れが良いですね。
〇(メイ)送信したくなるような、なつかしい夕焼なのでしょう。
大落暉大地の隅を耕せり 珠子
〇(楊子)大自然の営みと人間の小さな営みが対比されています。
◎(幹夫)大落暉と大地の片隅のちっぽけな耕人との対比がとても佳い。
〇(瞳人)人間の小ささを思い知る、謙虚になんて忘れられた言葉になった
○(敏)いよいよ春耕の時節。畝造りに鍬を振るう耕人の姿が目に浮かびます。
○(餡子)本当です。大地の隅が上手いと思いました。
◎(仙翁)大自然の恵みのような思いがありますね。
◎(まきえっと)見事な夕日ですね。景の大きさを感じます。
◎(メイ)大落暉のもと、悠然と耕すひとの姿に思いを巡らせました。
〇(ちせい)「大地の隅」と言う中7がいいと思いました。
〇(宙虫)でかい景の隅っこがなんとも言えない展開。
円相の猫の眼差し春夕焼 道人
裏側に未だ見ぬ異国春夕焼 めたもん
◎(道人)地球の裏側まで見えてしまいそうな大きな丸い春の夕日と朱の空。
〇(珠子)どんなに長生きしたとしても、世の中のことをちょっぴり知っただけで一生を終えるのだろうな。私たち。
◎ (多実生) 春夕焼からスケールの大きな連想の飛躍です。
○(あちゃこ)水平線や夕焼けは、異国への連想を生み出しますね。
〇(メイ)途中で断念した句を見つけた思いです。
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