明けましておめでとうございます。
雪で大変な地方の方々、朝の凍結など気をつけてください。
ここに来て、なんとなく予想されていたオミクロン株の感染拡大。
明日になったらどんな数字になっているのか心配です。
活動的に新年を踏み出そうとしていたところ出鼻をくじかれています。
2022年はまだ始まったばかり、去年よりいい年だったと最後には言いたいですね。
さて、新年第一回目の結果発表です。
今回も二回に分けて発表します。
★結果発表
歳晩の見下ろして得る安堵感 まきえっと
◯(アネモネ)不思議な感覚に得心です。
初乗りや坊ちゃん列車で温泉へ 泉
〇(藤三彩)市電を道後温泉と結びつけた。熊本にも路面電車は走っている。
○(餡子)松山の道後温泉。私も、同じように坊ちゃん電車に乗り、温泉に入ってきました。俳句の世界にどっぷり浸かれるいい街でした。
○(アダー女)私とほぼ同じ発想の方がいて嬉しくなりました。
(選外)(卯平)初湯の景。中七下五が少々散文的。
乗り継いで母訪う路地や淑気満つ 餡子
〇(藤三彩)民家の道を折れたり曲がって年始の母(高齢な)の住む実家を訪れる。心配もある。
○(泉)遠方から実家へ帰る。大変ですね。
〇(あき子)しみじみした情感と気品。母を訪うことができる幸せ。
◯ (アゼリア) いつもの路地でもお正月は、何故か清々しいですよね。
〇(珠子)年末年始は日本中にこういう景があります。嘗て私もそうでした。
〇(瞳人)訪う人に淑気あふれています
◎(敏)おそらく、遠地で一人住まいの母親を年賀にかこつけて訪ねたのだろう。母親の住まいに通ずる路地には文字通りの淑気が満ちているのだ。
〇(まきえっと)ずっと一緒に生活しているので、こういうことってないです。
〇(めたもん)上五・中七の「母」にたどり着いていく表現が上手いと思います。
○(宙虫)乗り継いで・・・ここまでいろいろあったんだろうと想像する。
(選外)(卯平)上五中七が少々くどい感じ。「淑気」で長寿の母への気持ちをと言う作者の思いであろうが直截的過ぎでは。「母」が「妣」であれば他の鑑賞が成立し選の対象だった。
風花や路面電車とすれ違う ルカ
〇(あき子)風が抜けていく、句全体の爽快感。
〇(ちせい)邂逅を感じたのかもしれません。
(選外)(卯平)路面電車と風花の景はそれなりに絵にはなる。どこかテレビのCMでこのような場面があったような感じ。「すれ違う」に作者の微妙な心理を載せている。七番目の句。
ふるさとの市電にひとり初景色 あき子
〇(春生)暮の仕事を終え、里帰りは新年になってしまいました。
○(あちゃこ)何年ぶりかの故郷でしょう。初景色に想いが膨らみます。
〇(珠子)ふるさとの初景色にはいろいろな思いがよぎります。両親が健在だったころのこと、子どもたちを連れて帰省したころのこと。
〇(めたもん)ひとりの初景色もいいものです。ふるさとならなおのこと。季語が句を明るく引き締めています。
(選外)(ちせい)孤独の寂しさ、悲哀。
渡船場に夕日を拾う年の暮 道人
◯(アネモネ)「夕日を拾う」がファンタスティックです。
〇(楊子)「拾う」が効いている。今年も無事に暮れるなあという安堵感がある。
〇(珠子)夕日はあっという間に消え、そして急に冷えこみます。
○(敏)「夕日を拾う」の措辞が、普通の写生句に深みを与えたようです。
◎(まきえっと)「夕日を拾う」がいいですね。
◯(ルカ)風景が浮かびます。
〇(ちせい)夕陽を拾うとは意外でした。
○(宙虫)渡船のゆく先のことにも想いを馳せてみたくなる。
子らを待つ夜具を広げる冬青空 楊子
◎(卯平)親としての暖かい気持ち。久しぶりに年末年始に帰郷する吾子とその家族への思い。同じ感慨をこの年末年始に体験した。
○(泉)いろいろと準備があって大変です。しかし、嬉しいものです。
◯(アゼリア) ふかふかのお布団も待ってますね。
〇(まきえっと)布団を干しているのでしょうか?気持ちよさそうです。
○(アダー女)私が嫁の時代、我々家族が泊まりに行くというと義母は竹の太棹に重たい綿の布団を干して待っていてくれました。お日様の温もりが感じられる夜具は重くて温かいものでした。
〇(めたもん)子どもが帰ってくるのを待つ親の気持ちは「冬青空」がぴったりですね。
○(宙虫)季語がうまくおさまった。世界が広がる快感がある。
凍空を高速フェリーは初春へ アダー女
年の夜をちあきと唄ふ「冬隣」 瞳人
○(卯平)上五「年の夜や」であればより詩情が伝わるであろう。作者のどこか寂しい気持ちが伝わってくる。上五が「や」キレであれば特選候補。
○(あちゃこ)ちあきなおみの歌と共に暮るる年。いいですね。
(選外)(ちせい)粋な年越しかと。
セロ背負いゴーシュ師走の歩道橋 めたもん
○(卯平)幻想の世界へ迷い込む。勿論宮沢賢治の世界の世界。上手い句。鑑賞者好みの句。
◎(楊子)完全なる比喩で詠まれているが、まさに師走の歩道橋の上に居そうではないか。思わず見上げてしまいそう。
〇(瞳人)今の世なればたしかにそです
○(宙虫)時が止まっているような錯覚の歩道橋。
北風を旅の手段に起動あと 宙虫
坂道や凩に鳥が強く鳴き ちせい
フェリー待つ肥後もっこすの毛糸帽 珠子
〇(藤三彩)熊本風の毛糸帽がどんなものか知らないが好奇心はある。
○(餡子)私は、あのフェリーから寅さんが降りてきて、いつもの新春ドタバタ劇が始まる景を想像したのですが、この作者は肥後もっこすが旅立つ景をつくりました。毛糸帽が素朴な感じを表しています。
◯ (アゼリア) なんかお似合いになりそうですよね。
◎(アダー女)日本の三大頑固親父の一つが肥後もっこすとか。親父さんが訪ねて来る子や孫を出迎えて待っているのか、自分が乗って出かけるフェリーを待っているのか?多分前者でしょう。毛糸帽がいいですね。多分しょうちゃん帽だと思います。
〇(ちせい)一瞬日本酒と勘違いしたのですが、性質ですね。
雪をんなケーズデンキの暗がりに アネモネ
◯ (アゼリア) 明るいところでは溶けてしまうのでしょうか?
(選外)(藤三彩)雪女は年末の特売目当てに来ていたのだろうか。
(選外)(ちせい)実際に雪が降っていたのかもしれません。
冬麗や三途の河へ始発便 卯平
◎(道人)大きな三途の「河」。根の国まで日帰りが出来そうな「始発便」が面白い。
○(仙翁)少し、楽しそうな死出の旅か。始発便も面白い。
余生乗せクルーズ船の波の花 楊子
○(卯平)クルーズ船で遊ぶ人は確かに「余生」を優雅に過ごしている人々。例の事があり最近ではあまりこの手の新聞広告は見られない。ここは中七「クルーズ船や」でキレを入れたい。波の花の季語の配置からこの句の作者は過去クルーズ船での「余生」を楽しんだ経験があるのであろう。
天草へ絵踏の島を巡るフェリー 藤三彩
〇(春生)船窓に五島列島が開けてくるような句です。
◯ (ルカ)絵踏みがいいですね。詩情があります。
(選外)(ちせい)珍しい季語だと思いました。
出航を待つや冬青空行きフェリー 敏
◯(アネモネ)「冬青空行きフェリー」に詩を感じました。
◎ (アゼリア) 冬青空行きフェリー、いいですね。私ものりたいです。
◯(ルカ)発想が面白い。
去年今年見送るだけの連絡船 あちゃこ
〇(春生)島から出ることもない生涯でした。
○(餡子)見送るだけという措辞に万感こもっていますね。
○(仙翁)コロナで、人の行き来は少ないということでしょうか。
○(敏)「見送るだけ」に、コロナ禍にあって自在にならない日常が反映しているようです。
〇(まきえっと)いろいろとあった1年でしたね。もう少し我慢が大事。
〇(ちせい)知り合いか、海が恋しかったのか、感慨も一入だったかと。
(選外)(卯平)中七に理が先行しているのでは。
(選外)(道人)「連絡船」が佳い。やや演歌っぽいが気にならない。深読みすればコロナ禍での人の繋がりも想像出来る。
粉雪に遊ぶカモメと連絡船 仙翁
不況の声引き摺る市電師走かな アゼリア
〇(楊子)市電のある地域に住んでいる人ならわかるが、カーブやブレーキでキーッ!という音がすることがある。まさに不況の声ともとれる。
今朝の春ものみな著き影を曳き 珠子
◯(道人)元朝は景も心も「著き」イメージが広がる。
○(敏)私の持っている歳時記には「今朝の春」は出ていないのですが、多分「初日」と同じと見て、「ものみな著き影を曳」く景を味わいました。
坊ちゃん列車温まりに行く道後の湯 アダー女
初夢を載する市電を追ひかけて 卯平
(選外)(ちせい)ロマンがあると思いました。
つづく
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