小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第426回小麦句会結果発表(選を追加しています)

2020年04月09日 00時21分39秒 | 1日句会
 




 
大変な事態が続いています。
大都市と地方とは実際温度差が大きいと思います。
地方では、東京や大阪や福岡などに出かけて感染者となって帰ってきてという図式がほとんどです。
ぜひ、みんなでがんばって乗り切りたいですね。
東京からと聞いても身構えなくていいように。
そうは言いながら、地方でも人口の多い地域では特に油断は禁物です。
では、皆さん、次回の告知までお待ちください。
 
 
★★★★

紫雲英田に足跡雲の端のちぎれ   まきえっと

〇(仙翁)足元の紫雲英、空高くの雲、面白いです。

 

(選外)(卯平)紫雲英田と天との対比は面白い。

(選外)(道人)紫雲英田にちぎれ雲の切れ端が落ちて来そうな大きな景が浮かびますが、「に足跡」がやや気になります。

 

紫雲英田や飛び込んで来る野球帽    春生

◯ (アゼリア) 草野球の出来そうな原っぱですね。

○(ルカ)中七に臨場感。

〇(ちせい)季語は季語は「紫雲英田」。突然の物に句心を刺激されたのでしょう。

〇(まきえっと)元気な様子が伝わってきます。春はこうでなくちゃ。

〇(楊子)のどかな景色に草野球のボールが突然入って来たのですね。それもまた長閑さを感じます。跳び込んでが生き生きとしています。

 

(選外)(卯平)中七から下五の措辞はユニークであるがその景が読み手に伝わってこないし、季語とのハーモニーが感じられない。

 

チューリップ砂成分を吸つて居る  ちせい

 

昔むかし故郷ありけり紫雲英田に    道人

〇 (多実生) 花を摘み、寝転ろび、団子蜂を追った蓮華田はいつでも甦る懐かしさです。

 

鬱金香フォークギターの似合ひけり   卯平

〇(藤三彩)フォークギターに咲いたのはバラであったか。チューリップの和名が鬱金香(うこんこう、うっこんこう)

〇(まきえっと)フォークギターを上手に弾ける人は人気者だったな。

 

草萌やガレージ待機十四日   敏

 

畑打ちを終えてタバコを根本まで   泉

◎ (多実生) 労働後の一服は最高、根本までの表現がタバコの美味さを物語っています。私も登山で山頂でのタバコは最高でした。

◯ (アゼリア) 一仕事終えての一服美味しいのでしょうね。でもこの際禁煙お勧めしたいです。余計なお世話と思いますが。

◎(ちせい)季語は「畑打ち」。一服の感じがよく伝わってきました。季語が活きて居る詠み振りかと。

○(宙虫)父親の姿が浮かぶ。原風景を見ている感じ。

〇(楊子)様子が絵のように見えます。節くれた指も見えます。

 

ぬかるむ街で明日咲くだろうちゅーりっぷ   宙虫

○(あちゃこ)明日は明るい日。成長の喜びも感じます。

 

新一年待てる手植えのチューリップ   藤三彩

○(餡子)せっかく、入学をお祝いするために新二年生が植えたチューリップも、休校では残念ですね。本当に、コロナ菌にもうやめて下さいと直訴したいです

○(敏)校庭をながめている主人公の気持ちをチューリップに仮託しているようです。

 

桜咲く最中この鬱VIRUS奴   瞳人 

 

廃校の決まる母校やチューリップ    餡子

〇(春生)廃校とは寂し過ぎます。チューリップがきれいに咲けば咲くほど寂しさは増します。

〇(珠子)生きてゆくためにその土地を開墾し脈々と田畑を繋いできた人々。そして生きてゆくためにそこを出て行った人々。廃校になるまでは咲かせ続けるチューリップ。   

◯(アネモネ)あらあら、私も同じ境遇です。

○(敏)廃校となっても、いつものようにチューリップは花を開きます。「年年歳歳人同じからず」の母校版といったところでしょう。

 

アルバムを開けば蓮華田の匂い  楊子

〇(藤三彩)卒業から随分と遠くきたものですね。

○(あちゃこ)懐かしい匂い。少し甘酸っぱい匂い。

〇(珠子)今や紫雲英は郷愁を呼び起こすツール。

◯(アネモネ)上手い。セピアな蓮華田の匂い!

◎(ルカ)シンプルな言葉に味わいが。

〇(まきえっと)懐かしい匂いなんでしょうね。

〇(仙翁)昔のアルバム、昔の匂い、面白いですね。

○(宙虫)蓮華のにおいがいい。

 

(選外)(道人)郷愁ですね。アルバムに蓮華田がなくとも蓮華が咲いているような気がするのでしょう。

 

志村けん逝く一叢の紫雲英の香  珠子

◯(道人)志村けんには紫雲英の香が似合う(合掌)

◎(藤三彩)花ある人のひと時が消え去る。消える笑いのあっけなさ。

 

またまたの全市休校花は葉に   アネモネ

○(餡子)さくらの花も落花の時期に入りました。子どもたちも親も本当に大変。明るい気持ちでこの春を迎えられない寂しさ。さっぱりとしたいですね。  

 

透明のフェンスの包囲する四月  ルカ

◯(道人)学校にも、病院にも、大事なところ何処にもフェンスというバリアがある令和2年4月です。怖い時代です。

◎(泉)透明のフェンス=新型コロナ感染禍ですか。恐怖ですね。

○(餡子) 何かに囲まれて居る窒息感がよく言い表されていてうまいなあと思いました。

〇(ちせい)季語は「四月」。透明のフェンスが包囲する四月とは詩的だと思いました。

○(宙虫)フェンスが意味深で不気味でもある。

 

戒厳令どこ吹く風のレンゲ草   仙翁

◯(道人)緊急事態宣言で早期コロナ終息を期待する声が増えていますが、これは戦前の戒厳令待望に通じる怖さなのでしょうか?知っているのは大自然のみ。

○(泉)レンゲ草に取っては、新型コロナ感染禍など関係ありません。

 

サッカーのボール蹴る音チューリップ   春生

◯ (アゼリア) 休校続きで身体がなまってしまいますよね。ちょっと寂しいですが一人で蹴っているのでしょうか?

〇(珠子)コロナ自粛の閉塞感。子どもたちに思い切りボールを蹴らせてやりたい。子どもの声のない校庭のチューリップは寂しい。 

○(敏)チューリップが人影の見えない校庭のどこかから聞こえてくる「ボール蹴る音」に耳を傾けているようです。

 

れんげ咲き鳩啄みに降りて来る   ちせい

 

蓮華田に兎放ちて雑誌読む  多実生

◎ (アゼリア) 気持ちよさそうですね。

◎(卯平)実際兎を蓮華田(紫雲英田)に放ったかどうかは不明であるが、兎と紫雲英の取り合わせは景が明確である。そして詠み手はその紫雲英田で雑誌を読むと言う行為に、どことなく春らしい季感が伝わってくる。更に兎と詠み手の関係がほのぼのと伝わってくる。今回の句会の他の句との比較で相対的に特選とした。

◯(アネモネ)まさにまさに!雑誌にワクワクした時代が懐かしい。

〇(ちせい)季語は「蓮華田」。餌でもやっていたのでしょうか。

〇(仙翁)本当に、ウサギと一緒に蓮華田で寝そべってみたいですね。

○(宙虫)兎がいい雰囲気。アリスの世界の日本版??

 

紫雲英咲く峠の向こう神隠し  あちゃこ

◎(道人)長い間心深くしまっていた神隠しへの惧れが蘇ってくるような句です。

〇(珠子)紫雲英野にそういう感覚を持つのはわかる気がします。蒲公英とは違う。 

〇(まきえっと)この夕暮れ。何か感じますね。

◎(仙翁)れんげと神隠し、何となく面白い。

○(宙虫)はぐらされる感じが面白い。

◎(楊子)ここまで発想をとばしたのはみごと。広い視野で詠んでいる。

 

蓮華摘む遠くに児らの童歌   アゼリア

○(餡子)一日も早くこういう日常が戻ってきて欲しいです。

〇(瞳人)いまいちばん見たい風景です

 

朝焼けの上る春山鳥の影  仙翁

◯(道人)澄んだ春、ですね。「上る」で季重なりは気になりません。自然と日常が重なった安心感と孤独感を感じました。

○(ルカ)朝の風景が浮かびます。

 

東京にはびこる悪夢摘む蓮華   宙虫

〇 (多実生) 現代の悪夢コロナウイルス禍、早く摘み取って欲しいものです。

〇(瞳人)なんとか、ならないか、この悪夢

 

(選外)(藤三彩)東京だけではなく全国に拡がるコロナ禍の悪夢はまだ始まったばかりという。野遊びも避けたい。

 

教室の古きオルガンチューリップ  あちゃこ

◯ (アゼリア) 咲いた咲いたーオルガンの音と元気な合唱が聞こえてきます。

〇(藤三彩)『二十四の瞳』のようなノスタルジー。

〇(春生)この学校の長い歴史が蘇ってくるような句です。

○(卯平)取り合わせとしては特に目新しい事はない。多分類想句はあるであろう。しかしそれなりの詩情は伝わってくる。

◯(アネモネ)この静謐さなかなか。

○(ルカ)昭和の学校。オルガンの音が聞こえてきそう。

〇(ちせい)季語は「チューリップ」。古きによきものありだと思います。

◎(敏)古い学校には古いオルガンが似合います。チューリップがいかにも低学年の教室を象徴しています。

〇(楊子)いかにも音が聞こえてきそうです。なつかしいです。

 

咲き出して休耕田のれんげ草   アネモネ

〇 (多実生) 蓮華を一面に咲かすには種を蒔きますが、零れた種でもある程度の蓮華は咲く様です。休耕田の蓮華の健気さに感銘。

 

チューリップこの先誰もおりません  敏

○(あちゃこ)ミステリアスで寂しい

○(泉)「この先誰もいない」このご時世、不気味な表現です。

○(卯平)チューリップが通せんぼうしているのか。どことなくユーモラスな景が見える。

〇(楊子)色は赤に決まり。休校でも満開に。

 

全校舎開かぬ窓や飛花落花   卯平

〇(春生)新型コロナウイルスの感染防止のための休校はつらいですね。

○(泉)休校は先が見えません。親も子も辛いですね。

○(餡子)普段の春休みの景でしたら、当たり前のように取れるかもしれませんが、コロナによる休校ととると、深刻です。

◎(瞳人)まったくそのままだ、いつものありふれた風景が、どんなに貴重かいまわかりました

○(ルカ)今の世相を反映。

○(敏)廃校舎(多分)と桜との取り合わせには郷愁をそそられます。

◎(宙虫)窓が開かない理由がいろいろ想像される。

〇(楊子)誰もいない校舎に舞い散る花びらはよけいに寂しさがつのります。

 

閉ざされた2020桜どき  珠子

〇 (多実生) 鳥インフルエンザ、豚コレラ等の後、人間にコロナウイルスこの試練には桜どころではない現状です。

〇(瞳人)いったい、どうしてくれますのや

 

野の至福遊び惚けて春夕焼  多実生

○(泉)今のご時世、正しく「至福」ですね。

 

チューリップバブルは今も繰り返し  泉

〇(藤三彩)17世紀のオランダのバブルはチューリップが原因

 

野の花にチューリップ足し誕生日  楊子

〇(藤三彩)百歳のチューリップ好きが毎年球根を植えている。今年も見事に開花。

〇(珠子)花の存在感からすると「チューリップに足す野の花」でしょうが、誕生日の祝花に込める気持ちは野の花が中心なのでしょう。 

○(ルカ)中七の「足し」がいいですね。

 

ふらここに不登校児の揺れてをり  アゼリア

◯(道人)コロナ禍以降公園のブランコが活況ですね。この「不登校児」は休校児童のことかと。(本当の不登校児として読んでももちろん佳いですね)

〇(春生)不登校児の揺れ動く心が描かれました。

◎(アネモネ)切ないなあ!不登校児のこころの内が伝わってきます。

○(敏)鞦韆の揺れに「不登校児」の気持ちが表れているようです。

〇(まきえっと)ふらここの不安定さと不登校児の不安定さがぴたりです。

 

春夕焼正門に佇つ転校生     道人

○(あちゃこ)不安と期待で潰れそうな胸。休校が続くと尚のこと。

◎(餡子)新しく転入してくる子ども?余所の地へ転出するこども?どちらにしても、学校に対する愛情が感じられてほのぼのとします。季語の春夕焼が効いていますね。   

○(卯平)この場合転校生は、今から他の学校へ移る学生なのか、それとも新しく転校してきた学生なのかが曖昧な感じはする。しかし季語との関係でストリー性を考えると前者と判断した。それはあくまでも季語である「春夕焼」の力である。

◎(まきえっと)期待と不安の入り混じった様子。春夕焼けから感じます。包みこまれているようにも思いました。

〇(仙翁)昔、見たような気がします。

 

げんげ野に伸ばす膕寂しいぞ   餡子  

◎(あちゃこ)ひざ裏をひかがみというのですね。様々なものを失ってきた寂しさでしょうか。放り出した脚が眼に浮かびます。

◎(珠子)今年の春はさびしい。広々としたげんげ野に脚を伸ばしても心が晴れない。 

 

昼蛙まなこの闇を深うして   瞳人    

◯ (アゼリア) 日本の危機を憂いているのでしょうか?

〇(春生)蛙は見るからに哲学的です。深い闇を背負っているかのようです。

○(卯平)上五の季語を補完しているだけの中七から下五であるが、それなりに観察して得た句であろう。中七少々観念的なところもあるが、しかし詠み手としての創作性は感じられる。

〇(ちせい)季語は「蛙」。別の季語目借時が思い浮かびました。

 

もう帰ろカレーの漂う春夕焼け  藤三彩

〇(春生)童謡が聞こえてくるような、懐かしい風景です。 

〇 (多実生) 嗅覚に乏しい人でもカレーは良く判り、春夕焼にも促され帰りを急ぎます。

○(卯平)誰もが幼き頃体験した景。この景は今の若者も団塊の世代も共通している。その奥にあるのは「母」への思い。それは年代を超えた景である。そして、この景に同感するのは「男の子」。「女の子」の景はまた異なるであろう。

〇(瞳人)ああ、なつかしいなあ、いつ、くることやら

 

春夕焼確めなおす呼気吸気    まきえっと

○(あちゃこ)明日も生きていかねば。生きている実感でしょうか。

○(泉)新型コロナ肺炎は、死に至る病です。恐怖ですね。

〇(仙翁)深呼吸して、春を感じましょう。

 

無人の校庭チューリップは見てる   ルカ

◯(アネモネ)チュウ―リップは見た!

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2020-04-09 11:41:10
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

次第に暑くなってきたので、新型コロナウィルス感染も下火になるか?と期待しています。大騒ぎしても、誰でも感染の可能性はありますから。しかし生きている間に、この様な経験をするとは、一寸先はヤミですね。
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