つづき
自販機のエナジードリンク暮早し アネモネ
○(ちせい)エナジーをチャージされ短日にもやる気が。
(選外)(卯平)この句における下五の季語の絶対性が伝わってこないのでは。
冬青空映画のような日々のなか カンナ
◎(ルカ)昨年は映画より映画のような一年でした。
○(あちゃこ)中七の映画のようなは、やや抽象的です。どんな映画なのか気になります。人知の及ばない予測不可能な日々を表しているのかも知れません。
○(宙虫)どんでん返しがきっとある台本があるのかもしれない。
○(アネモネ)うらやましい日々。
自販機はごっとん遠い初神楽 宙虫
〇(楊子)ほんとうに遠い取り合わせです。それなのに不思議なつながりを感じました。
◎(道人)取合せの離れ具合が中々。「ごっとん」で自販機と遠い記憶の神楽が繋がって色々想像が広がる。
◎ (アゼリア) 近くの音と遠くの音の取り合せが上手と思いました。
根が張れば北風が揺らす木々が有る ちせい
瓦礫なき無疵の団地初御空 アゼリア
○(幹夫)被災なき団地の安堵。
○(アダー女)ウクライナの戦禍で瓦礫の山になってしまったり、一部砲弾にやられた集合住宅は本当に心痛みます。それに比すれば我が団地は無疵で幸せな事だと思う作者。穏やかに初御空を眺め、遠い外地の市民を巻き込んでいる悲惨な戦争に心を向けている様子が良く伝わってきます。
去年今年ベンチの猫は大欠伸 仙翁
○(幹夫)天気晴朗、戦なき世の安堵は猫も同じですね。
◯ (アゼリア) 年末の猫の手を借りたいような時には、マイペースの猫が羨ましかったです。
○(ちせい)つられて欠伸をしてしまったのかもしれません
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
(選外)(卯平)猫の句は誰でもが惹かれる。「ペンチの猫の大欠伸」であれば選を検討できた。
老木と対座の木椅子淑気満つ 珠子
○(敏)老木と木椅子に坐った主人公のめぐりを新年の気が満ち満ちているのだろう。
○(仙翁)老木とベンチの木、対比が面白いか。
◯(道人)「淑気満つ」は比較的何でも合いそうな季語なので難しいが、「老木と対坐」は採らざるを得ない巧さ。
〇(めたもん)「老木」と「木椅子」の関係。様々なことが浮かびます。それは淑気が満ちるにふさわしい気がします。
冬晴やミサイル飛んで来る予感 泉
〇(藤三彩)北からガンガンミサイルが飛んできている。きな臭い世相。
○(仙翁)ミサイルが飛んでくるとは思いませんが、怪しい世界。
◎(餡子)人っ子ひとり居ない公園。うららかさの影に潜む物が見えるような気がしました。不安感。
◯(道人)冴え渡った冬青空をじっと見ているとそんな気がする。
〇(あき子)冬場れでも呑気にしていられない日々。予感はいつか現実になるかもしれない。
〇(瞳人)その通りになりました、まったく
○(アネモネ)ほんとそんな予感しますね。
月天心松風騒ぐ木のベンチ 幹夫
○(敏)軸ものの墨絵のような世界。「風騒ぐ」といっても何本かの松が揺らいでいる姿が描かれているに違いない。
極上の無為を賜わる初御空 道人
◯ (アゼリア) 本当に綺麗な青空を見上げては励まされています。
○(アダー女)穏やかに晴れ渡った初空を眺め、特別急いでやらねばならない事も何も無い、これぞ、まさしくこれ以上無い「極上の無為」です。
◎(あちゃこ)俳諧味に溢れており、大らかさに惹かれます。悟りの境地?
〇(瞳人)快晴の元日、これに過ぎたる喜びはありませんね
無人なるこの世を覗く兎の眼 あちゃこ
〇(まきえっと)兎年ですね。ぴょんぴょん跳ねて頑張りましょう。
◯(道人)無人のベンチから連想した心象風景であろう。
〇(あき子)写真はどれも無人でしたが、兎がこの世を覗くという視点が、読む側に見られている意識を誘発して面白い。
◎(アダー女)今の地球には危険な指導者がいっぱい。またそれを支持する姿勢の国々もあり、まかり間違えば地球は破滅に向かうことだってないとは言えない。そうなった地球には繁栄を続けた人類もひとり残らずいなくなり、月の兎がどうなっちゃったんだろうとこの世を覗いているかもしれない。一見穏やかそうなこの句には恐ろしい未来が潜んでいますね。今年は兎年!良い方向に地球が向きますように。
◎(宙虫)人間が地球上から姿を消す日。それでも生物たちのどれかは種を継いでいくのだろう。
完売のサイン切れけり冬の薔薇 卯平
今はもう君はいないか冬の蝶 卯平
◯(ルカ)ふと浮かぶ感慨に共感。
ポケットに缶のお汁粉生きていく あちゃこ
◯(ルカ)そう、何があっても生きてゆく。
〇(楊子)コーヒーや栄養ドリンクではなくて「お汁粉」がいいです。大げさな「生きていく」と据えたところもむしろ軽みとなっています。
〇(まきえっと)お汁粉やコーンスープとか種類が豊富ですね。
◯ (アゼリア) 小さな幸せで生きる張りを頂きます。
〇(あき子)真っ直ぐな表現が気持ちよい。缶のお汁粉はパワーがありますね。
行く年を一人の椅子の缶コーヒー 道人
〇(藤三彩)やることもそんなにないし、静かにしていることも必要なんだな。
○(仙翁)公園でよく見る光景ですね。一人の師走。
○(泉)年末の一人の時間を、十分に楽しんでいます。
○(アネモネ)しみじみ感横溢です。
(選外)(卯平)上五「行く年を」が説明的。「逝く年や」であれば「一人の椅子」と予定調和的ではあるがそれなりの詩情は伝わってくるのでは。
しゃがんでる冬たんぽぽといじめっ子 めたもん
〇(カンナ)公園の情景か。可愛らしい句。
○(あちゃこ)一つの世界観。いじめっ子の視線の先が気になります。
(選外)(道人)「いじめっ子」の優しさが垣間見える。とても気になる句だが、両掛かりの「しゃがんでる」の使い方がいいかどうか。
今月の写真・・・何気ない周辺の写真を使用しました。
正月休みが過ぎると、また三連休になりました。この歳になると、休日といってもヒマを持て余すばかりです。幸い、広島は穏やかな正月になりました。今年一年、健康に過ごしたいものです。