風花の舞う日電車の音近し 多実生
○(ちせい)季語は「風花」。風花が舞い電車の音が近い。俳句の歌が聞こえて来たのだと思います。
見送りて佇むホーム名残り雪 アゼリア
〇(餡子)映画の一場面。駅を背景にいい映画やドラマがたくさんありました。新幹線では泣くまもなく行ってしまいますが、やはり機関車が小さくなるのを見送るのがドラマティックですね。
○(珠子)名残惜しい気持ちと名残雪。イルカの「動き始めた汽車に顔をつけて君は何か言おうとしている・・・」孫と祖父母の別れではなく、恋の句ととりましょう〜!
〇(藤三彩)映写のラストシーンのよう。「名残り雪」がいいな。カズオ・イシグロに同名の小説があった。
○(泉)昔の名曲を思い出しました。
みちのくの雪の香を乗せ列車過ぐ 春生
○(あちゃこ)みちのくへの郷愁が感じられます。列車にはさまざまな人の思いを掻き立てるものがありますね。
〇(仙翁)雪にかおり、ありますね。
〇 (多実生) 上野へ向かう列車で見た事が有ります。雪の香が良いですね。
どこまでも線路は続く春を待つ まきえっと
○(幹夫)素敵な取合せでリズム佳く詠まれています。
すれちがうときのときめき探梅行 敏
〇(道人)少し遠出の探梅でしょうか。「すれちがうとき」の措辞が素敵。
〇(瓦すずめ)あいてから梅の香りがしたのでしょうか
○(幹夫)いい塩梅の探梅行ですね。
○(アネモネ)なるほど。そんなことありますよね。
(選外)(藤三彩)すれ違うのが何か・誰とか?「ときめく」のも考え落ち。思いを寄せる本命の人は逆に行く?うーん。
乗り継いでまた乗り継いで雪の故山 餡子
○(ルカ)詩情があります。
〇(仙翁)遠き雪深いふるさとに帰るのでしょうね。
○(珠子)私の場合も、故郷の山と川に会うための乗り継ぎでもあります。
あの窓の何処か今頃福は内 多実生
〇(まきえっと)幸せそうですね。
〇(餡子)これは知らない街がいいですね。傷心の一人旅には、一家の団欒は胸にこたえるでしょう。
○(珠子)我が家でも小さな声の豆撒きをしました。窓ごとにいろんな生活があります。
○(アネモネ)いいとこみてますねえ。
〇(宙虫)窓の明かりがほんわか見える。
行く先は誰にも告げず雪催 ルカ
◯ (アゼリア)これからドラマが始まりそうです。
〇(仙翁)逃避行でもないのでしょうが、そんなに楽しそうでもなさそうな。
○(珠子)そろそろこういう旅をしてみたい・・・と、いつも思うだけですが。
大寒や車掌は区切りで礼をする ちせい
(選外)(道人)交代の区切り駅での車掌の引き締まった黙礼なのでしょう。季語「大寒」が効いている。
ポンカンを剥いて2号車7のE 珠子
◎(まきえっと)ポンカンの香りを感じます。和やかな雰囲気です。
○(あちゃこ)なるほどね。愉快。
○(ルカ)一緒に乗っている気分になります。
○(敏)九州からの帰りでしょうか。土産として買ったポンカンを剥きながら、旅路を思い返しているのでしょう。座席ナンバーEは、二人掛けの窓際の方の席でしょうから、一人旅かも知れませんね。色々な情景を想像させる一句。
◎ (アゼリア)2号車7のEーという具体的な表現に惹かれました。
◎(アネモネ)上手い。状況設定に脱帽です。
◎(宙虫)リズム感いいし、窓際でもあって、旅情もしっかりとあっていいです。ポンカンの置き方が上手です。
遠会釈交わす機関士寒日和 道人
○(あちゃこ)ズームイン!切り取りかたが上手いですね。
◎(ルカ)好きな景です。見事にとらえましたね。
○(敏)ほんのちょっとのすれちがいにも、仲間意識が感じられ、ほのぼのとした思いが漂います。
◯ (アゼリア)寒日和が責任あるお仕事の緊張感を良く表現していると思います。
〇(瓦すずめ) 機関士同士が会釈をするのですね!それが凄く新鮮でした。
電線へ「たわんで良いぞ」初列車 瓦すずめ
老兵の眉間ゆるめよ春の風 瞳人
◎(ちせい)季語は「春の風」。「老兵」と言うとどうしてもダグラスマッカーサーの「老兵は去り行くのみ」と言う議会演説が思い出されます。退任演説でしたが、その内容もダブって見えて来て、いいと思いました。「眉間ゆるめよ」の措辞もいいと思いました。
〇(仙翁)老兵は死なず、のんびりと過ごしましょう。
〇(瓦すずめ)春の風と老兵の取り合わせがいいなあ、と思いました。戦い続けていた兵士の心がほぐされますように。
寒村につながる路線日に数本 藤三彩
○(泉)本当に過疎地域の交通機関は、危機に瀕しています。
〇(まきえっと)新幹線の乗り継ぐ場所ってこんな感じですね。
山茶花や夢の続きは乗り換えて 宙虫
◯ (アゼリア)気持ち良さそう。電車に乗る楽しみの一つは居眠り出来ることですよね。
〇(藤三彩)居眠りしたまま乗過ごさなくてよかった。深酒して終電なくタクシーで帰宅したこともあったっけ。
(選外)(道人)のんびりとした良い旅ですね。どんな夢であれ、こんな夢見心地になってみたい。
鈍行の窓に一合春迎ふ 瞳人
○(あちゃこ)列車の旅には酒は欠かせませんね。鈍行とは、懐かしい。地方の銘酒だったりして?
〇(道人)新幹線や特急を横目に、新春早々各駅停車の旅に出るのも乙なもの。「窓に一合」が良い塩梅。
◎(餡子)窓際にワンカップ大関とつまみ。おじさんくさいけど、私もよくやりますので共感。
◯ (アゼリア)電車でお弁当などを食べるのは大好きですが、残念ながらまだ飲んだことはないので羨ましいです。
○(幹夫)ゆるりゆるりと春の列車が進む景です。
◎(珠子)今では考えられらないほど、車中のお酒に寛大な時代がありました。鈍行の窓辺と一合の酒で詩が生まれます。これは静かな独り酒なのでしょう。
日脚伸ぶ新幹線にマンションに アネモネ
傾斜するビルと追憶冬ざるる あちゃこ
○(ちせい)季語は「冬ざるる」。追憶の内容が空想力を刺激しますね。
○(敏)ビルと追憶そのものが傾斜していくような、冬ざれの陰鬱な気分横溢です。
隙間風列車に揺れる四畳半 仙翁
〇(餡子)線路近くの古い下宿・・・。半世紀前の昭和のイメージですね。
〇 (多実生) 貨物列車は特に感じる様です。
◎(泉)切ないけれども、現実に有りそうですね。「揺れる」が切ない。
ジオラマの駅に立つ僕寒夕焼 餡子
◎(あちゃこ)発想の飛び方に脱帽。列車に乗って何処へ?
〇(道人)幻想とリアルの交錯感が良い感じ。
◯ (アゼリア)シュールな感じに惹かれました。
○(珠子)ジオラマに入ってしまう仕立て方に惹かれました。
◎(藤三彩)大人を長くやっていても、自分本来の子供心へ戻っての景を作る。そうすればアニメの主人公になっている。
○(アネモネ)ジオラマの駅。いいですねえ。
〇(宙虫)寒の夕焼けが人生ドラマのエンディングみたい。
日帰りで済ます出張日脚伸ぶ まきえっと
〇 (多実生) 昭和30年代は名古屋、大阪、仙台等は夜行出張でした。
〇(藤三彩)芸人のギャグで東京⇔福岡を日帰り、弁当を何回食べたか?
○(アネモネ)これはもう納得。
(選外)(道人)最近のダイヤ編成は拠点駅での新幹線と特急の乗り継ぎ具合が良い。一泊の出張もやりにくい。世知辛い世になったものです。
初電車一寸其処までお使ひに 幹夫
出張を重ねて街は春隣 泉
〇(餡子)出張を重ねる暮らしは、まったく経験がないので、羨ましいなあと思います。スマホやパソコン、タブレットの向かってばかりで、季節の移ろいを車窓に感じないのはもったいない。
〇(藤三彩)年度末の出張って棚卸やらありますね、北から南へ寅さんみたい。
(選外)(道人)新年早々全国挨拶回りの出張続き、あっという間に2月になった、という感じでしょうか。よく経験しました。
先見えぬ恋に終止符春の旅 アゼリア
○(ちせい)季語は「春の旅」。先の見えぬ恋にもゴールが。そして春の旅へと旅立って行く。
○(あちゃこ)駅という歌を思い出しました。駅に別れは付きものですが、春の
明るさが救いです。
〇(道人)こういう句は採らざるを得ない。しかも男では作れない響き。
〇(餡子)何やら真っ当な恋ではない匂いですなあ。修羅場の来ぬうちに終止符がいいでしょう。
○(敏)破恋を癒す旅なのでしょうが、「春」ですので、少し明るさも見えてくるようです。
◎ (多実生) 気持ちの整理は一人旅が一番です。
(選外)(藤三彩)女心はわからない。傷心を癒すひとり旅なのか新たな始まりの二人旅なのかも。
凍えゆく街を切り裂く鉄の音 あちゃこ
◎(仙翁)寒い中に、列車の疾風する様子、よく分かります。
○(泉)街のど真ん中を、鉄道が走ります。「切り裂く」は厳しい表現です。
◎(春生)「切り裂く鉄の音」と感じた作者の感性は見事。
百の窓百のいとなみ寒月光 敏
〇(まきえっと)それぞれの暮らしがありますね。
〇(ルカ)寒月光が強すぎますが、着眼点がよいです。
◎(道人)車窓から見える大きなマンションの窓の一つ一つには色んな生活がある。日暮れた後夫々の窓に差し入る「寒月光」を想像する。ちょっとした旅愁であろう。「百」のリフレインの調べも心地良い。
〇(瓦すずめ)各建物では、それぞれの営みがある。どの建物の窓にも冴え切った月の光が届く。月の魅力が凄く伝わってくると思いました。
○(幹夫)百戸全てが幸せでありますよう。
〇(藤三彩)団地風の建物(写真)からの発想でしょう。「寒月光」はいかにも寂しそう。「おでん鍋」とかにすると温かな家族が見えるのですが。
○(泉)マンションの窓の一つ一つに、人々の暮らしが有ります。
〇(春生)マンションの窓ごとの生活を「百の窓百のいとなみ」と捉えたところは素晴らしい。
〇(宙虫)寒月光が厳しさも映し出しているのだと思った。
一人降りひとり乗りゆく冬電車 ルカ
〇(春生)「一人降りひとり乗りゆく」に臨場感がある。
なめらかな発車朱欒の国を出る 珠子
〇(ルカ)朱欒の国はどこでしょう。
〇(道人)「朱欒の国」に脱帽。南国の明るさと長閑さがよく伝わって来る。
○(アネモネ)朱欒がいいですねえ。特選句とそん色なしです。
〇(宙虫)朱欒の色合いがなんだかうまく使われているよう。
ふるさとのふと匂いたる冬の駅 仙翁
〇(まきえっと)深呼吸したくなります。
◎(敏)俳句で「ふと」は禁じ手のような気がしますが、この作品では成功していますね。啄木の歌に一抹通うような、望郷の一句と言えそうです。
〇(瓦すずめ)ふるさとのにおいがしたのですね。このまま故郷に帰ってしまいたくなるような郷愁を感じます。
〇 (多実生) ふるさとの空気には感じる事が有ります。
冬温し都市風景をスケッチす ちせい
○(泉)写真で見て、都市の過密度に改めて驚きました。
初句会ゆきの車窓のビル光る 瓦すずめ
○(ちせい)季語は「初句会」。厳粛な気分にビルが光る。まだ寒いけれども、希望の光が輝く。
○(幹夫)初句会への作者の期待が句に佳く込められており共感です。
蒲団干すマンションの前新幹線 泉
〇(春生)写生句として、いただきました。
積雪の中行く汽笛『雨ニモマケズ』 藤三彩
〇(仙翁)雨にも負けず頑張るのは汽車でもあり、自分でもあり。
〇(まきえっと)写真のようです。
着膨れて温泉列車の二人旅 道人
◎(幹夫)着膨れて⇒温泉列車⇒二人旅・・・みんなあったまります!
春の微動は地底の毒が漏れてのち 宙虫
東京の空どんよりと春立てり 春生
解体の近きマンション風光る アネモネ
○(ちせい)季語は「風光る」。マンションの解体に春の光、俳味があります。
○(ルカ)季語が、静かな明るさを醸し出す。
○(敏)明るい陽光と、これから壊されていくであろう寂しげな建て物との対比が印象的ですね。
〇(春生)「解体の近きマンション」と捉えたのは新鮮。
〇(宙虫)季感はちょっと早いけど、解体とそしてそれからの再生も暗示しているようで好き。
四五人のお国訛りや初電車 幹夫
◎(瓦すずめ)お国訛りとはおそらく主人公と同郷の声、主人公は今、異郷にいるのだと、と解釈しました。
〇 (多実生) 故郷の友同志ではお国の手形を連発します。
〇(春生)雰囲気があります。
★★★
1日句会の結果発表をお届けしました。
さすがに二月、寒波が次々やってきています。
皆さんの地方は大丈夫でしょうか?
九州はこの週末はかなり気温が低めの予想です。
午後3時現在時々日が差していますが、気温は一桁のままのようです。
一部の方はご存知かと思いますが、当方、インフルエンザで今週は自宅に閉じ込められています。
症状は信じられないくらい軽く、みんなから「お大事に」などと声かけられるのに抵抗があるくらい。
それでも、迷惑かけちゃいけないのでじっとしています。
土曜日には解禁・・・。
待ち遠しいです。
では、皆さんも寒波やインフルエンザなどに充分気を付けて、春を待ちましょう。
柑橘系の果物の香りは車内を和ませますね。
目の付け所、勉強になりました。
午後には次回のお題を出しますね。
昨日、今日と広島は厳しい寒さになっています。雪は少ないのですが、とにかく寒い!そろそろ寒さも終わりにならないと、仕事に支障を来します。困ったものです。お身体ご自愛下さい。