『 自然は全機する 〜玉の海草〜 』

惚けた母がつぶやいた〜 「 生きてるだけが仕合せだ 」♨️

中国史上、もっとも愛された日本人は?

2021-08-13 18:42:47 | 卓球

_「歴史上」と大上段から構えれば、唐の玄宗皇帝から重用されるあまり帰朝できなかった阿倍仲麻呂や、中国人弟子3000人の頭を越えて恵果阿闍梨から奥伝授された弘法大師空海とか浮かんでくるが…… 

「日出処天子より」と堂々と国書を送った聖徳太子は、礼を弁えぬ者として毛嫌いされているし…… 

鎖国が廃止された近代でも、中国はイギリスとの「阿片戦争」にボロ負けして冴えない有り様で、日本から満州国を造られた昭和時代にも、そんなに愛された日本人は見当たらない

当時は斜陽の中国であっても、日本人の中華尊重の気持ちは変わることなく、『三国志』などに顕れる「漢気(おとこぎ、侠気)」は隣国K国には見られない特質だし、老子や孔子、朱子や王陽明などの深淵な哲学も日本人好みの奥行きをもっていた

そんな大国の伝統を引き継いで鄧小平氏は、日中国交正常化の功労者・田中角栄氏の病床にお見舞いに行って、変わらぬ謝意を表明したが、田中元総理が特に中国国民から愛されているわけではない

日本人も毛沢東はともかく、周恩来首相あたりまでは敬意を抱いていた

名作『大地の子』で、中国残留孤児を通して日本と中国の付き合いを深く見つめた、骨太の作家・山崎豊子女史は、当時の胡耀邦総書記から大いに励まされ全面的な支援を受けていたと聞く

まー、個々に親密な付き合いはあったが…… 中国全国民を巻き込むよーな人気を得た日本人はいなかった、例えばハリウッドで初の東洋人スーパー・スターとなったブルース・リーは、日本人男子からも信仰と言っていい程の崇敬を集めたものだが、中国でそんな注目を集めた日本人はいなかった、彼女を除いては!

そー、「泣き虫愛ちゃん」こと、卓球の福原愛選手のことである

 

これから述べることは、冗談抜きに「愛ちゃんの偉人伝説」である

 

ー卓球は中国にとって単なる「国技」にとどまらない

世界戦略の一環を荷うものなのである

そんな中国を脅かす、「ハリケーン・ヒラノ」こと平野美宇ちゃんや、「大魔王・伊藤美誠」……

彼女たち卓球女子の黄金(ミレニアム)世代と呼ばれる逸材たちが、いま次々と輩出されるにいたっている、その道スジをつくったのは他ならぬ「泣き虫愛ちゃん」福原愛のテレビ報道である

真のフロンティア、先駆者たる愛ちゃんの、中国留学つまり中国超級リーグへの参戦もまた華々しいものだった

全身を使ってしゃがみ込んでサーブに烈しく回転をかける、愛ちゃんの「王子サーブ」は、居並ぶ中国の達人たちをも瞠目させるデビューであったと聞く

当時の抗日・反日感情はいま以上の激しさだったから、愛ちゃんは試合中にものを投げ入れられたり、猛烈に野次を飛ばされたりもしたらしい

しかし、持ち前の芯の強さと謙虚さで、おなじチームの先輩世界ランカーからも可愛がられ、メキメキと実力をつけていった

並行して、中国人への理解度を深め、ことばもちょっと田舎っぽい郷愁めいた東北地方の方言(遼寧省)を完璧にマスターなさって、驚くほどチームに溶け込んでいった

愛ちゃんの中国語は、ネイティブの発音であり、東北地方訛りのあたたかい響きをもっていて、本場中国の方々もほっこり癒されるものらしい

__あくまでも中国における「東北地方訛り」だが、日本での愛ちゃんのお生れも、秋田(父親)と宮城(母親)のハーフで杜の都・仙台生まれ、生粋の東北人である ♪

大富豪から求婚されたり、99本の薔薇を贈るファンがいたり、信じられないことに地元の中国選手以上に人気があったのだと言う

 

フー()ユアン()アイ() ”、これが愛ちゃんの中国語読みの呼び方で、ほかにも……

> 中国でのニックネームは「ツーワーワー・瓷娃娃」(陶磁器のお人形の意味、肌がきれいな事から)「シャオアイ・小愛(愛ちゃん)、「アイジャン・愛醤」(日本語の音から、愛ちゃん)。

‥‥ まーとにかく、中国人好みの容姿(色白ぽっちゃり)なのだとか

いまや世界的女優コン・リーも、デビューのきっかけは山口百恵(中国では彼女の「赤いシリーズ」が放映され人気を博していた)に似ていたからだと聞くが…… 

愛ちゃんは、容姿だけでなく人柄でも中国の人びとを惹きつけた

リオ五輪金メダリストで世界ランキング一位にもなった丁・寧選手に昔、超級リーグで競り勝ったことがある

そのときのインタビューでも、丁寧選手は緊張していたし、勝てたのは偶然だったと、いたって謙虚なコメントで、卓球好きな中国人のかたがたの気持ちを逆撫ですることなく、一挙に鷲掴みにした

ネットでよく目にする、福原愛が、日本の総理大臣だったら、日本と仲良くできるのに…… とゆー発言は決して戯れ言ではなく、中国人の唯一心を許せる日本人、多くの庶民の本音とみてよいだろー

> 20082月の第49回世界卓球選手権団体戦では、【福原愛 永遠支持】と横断幕を掲げた十数人の中国ファンが応援したり、……

> 2010年に胡錦濤国家主席が来日し、親善卓球を行った際も、胡主席は福原に

「あなたは私のことを知らないかも知れないが、私はあなたのことを知っている」と話しかけたほど。

> 元来日本には辛口な中国ネットユーザーたちも、愛ちゃんには目を細める。

「彼女を見てると本当に癒されるんだよ。彼女は日本の選手だけど応援してる。」

「彼女は半分中国人のようなものだと思ってる。彼女は中国にリーグにも参戦したことがあるし、中国のコーチに師事したこともあるからな。」

「彼女は中国の卓球の実力を認めてくれていて尊敬もしてくれてる。だからこそ彼女は中国に来て修行までしたんだよ。俺はそんな真面目で頑張り屋な彼女が大好きだ。」

[ 引用:卓球バカ製造ミルク工場- サイト『卓球ニュース・球ニュー!』より]

‥‥「福原愛永遠支持」なんて、どーせその時の勢いだけだろなんて思っていたら、今回の離婚騒動でその真意がはからずも露わになった

信じられないことだが……   中国では、なにがあっても「福原愛全面支持」であるよーだ、愛ちゃんを貶めるよーな論調はほとんど見られなくて……   台湾訛りの中国語は愛ちゃんに似合わないだとか、台湾でいじめられていたとか、愛ちゃんが台湾から私達のもとに帰ってくる ♪とか…… 

「(中国)国民の妹」、愛ちゃんは間違っていない、何故日本のメディアはそんなに愛ちゃんを虐めるんだと断固愛ちゃん支持の姿勢を貫いている、このへんは日本人とはかなりかけ離れた愛着心が見られる

中国人は、一度心の奥底まで受け入れた人に対しては、徹底的に守り信頼するとゆー一面がよく出た場面だと思う

「国民の妹」とは、裏返せば、保護の必要な存在、自分より低い立場にいる事を物語るものだし、実際愛ちゃんは中国卓球を尊敬して直接学びに来た感心な日本人だが、中国卓球選手を破るほど強くない処も気に入られている一因であるらしい

もし愛ちゃんが、美誠ちゃんのよーに中国卓球の強敵として立ちはだかるよーだったら、やっぱり「日本鬼子(日本人への蔑称)」になるよと言っている中国人ファンも実際にいる

昔、卓球部だった者としては、愛ちゃんのフォアハンドのフォームを観ていると、実に美しいと感じる

最近では早田ひな選手のパワー・ドライブもダイナミックで目を惹く

ひな選手は、元卓球選手だった親を持つよーな、家庭内に卓球台があるよーな環境にはなかったが……

美誠選手、美宇選手、カスミン選手は皆、母親が卓球選手で幼い頃より英才教育を受けて成長なすった

この、24時間卓球漬けのスパルタ教育のモデルは、愛ちゃんと彼女のご母堂にほかならない

みんな、愛ちゃんを目指して幼児期より鍛錬してこられたのが、いま実を結んでおられるのである

愛ちゃんこそ、「卓球日本の復活」の狼煙を上げて、おん自ら率先して未知の領域に挑んだ、最大の功労者であり稀有の女子アスリートである

 

古くから中国で愛された日本人は歴史上幾たりかおられました

しかし、実際の数において、膨大な中国ネット民が「反日感情」の足枷をはめられて尚、愛ちゃん=フーユアンアイを熱烈に応援する、この空前絶後の人気ぶりは、歴史に刻まれる価値のある偉業とはいえないだろーか?

[※  『ウェイボー』における、愛ちゃんのフォロワー数は500万人以上である]

SNSでは、「愛ちゃんはもう中国人だよ」と言われるほどに、愛ちゃん礼讃者が多い

北京オリンピックへの強力なオファーも受けているらしい愛ちゃん、軸足を日本や台湾から中国大陸に移すつもりかも知れないな

         _________ 玉の海草


強くなり過ぎた戦狼〜 卓球王国・中国

2021-08-06 10:33:26 | 卓球

卓球・女子団体決勝戦___

何か、混合ダブルス敗北の責任をとって代表を降ろされた感がある劉詩雯(リュウシブン)選手の代わりに…… 王曼昱(オウバンイク)22歳、なんと世界ランキング4位の若き実力者である

リザーブ選手ですら、こんなに強い中国の選手層の分厚さを感じさせる(劉詩雯は、「日本人キラー」だから戦略的な采配だったのかも知れない)

 

総人口14億人のうち、卓球人口は3000〜8000万人、学校や公園やらどこにでも卓球台は設置されていて、国民皆が卓球プレイヤーである

私は、中学時代卓球部でシゴかれたので、卓球については一家言もっている

中国の卓球代表選手はだから、私のよーな経験者の五月蝿い批評につねに晒されているわけだ

そんな中から揉まれて昇りつめた卓球エリートたちは、ちょっとやそっとの技術レベルではない

そんな卓球自慢の国民の憧れとなっているのが、中国国内の卓球リーグ『超級リーグ』である

福原愛ちゃんも、このリーグへ挑戦して所属選手となり活躍した(「国民の妹」としての愛ちゃんの人気は未だに凄まじく、ウェイボーには500万人以上のフォロワーがいる、離婚騒動にも曰く「何があっても愛ちゃんを永遠支持する!」ーーーちなみに石川佳純選手のウェイボー・フォロワー数は57万人以上であります)

 

日本なんか、昔タモリの唱えた「卓球地味」説どおりで、長い間根暗でマイナーなスポーツであり続けたから、競技人口は現在どのくらいなんだろー?

中国の8000万人といえば、日本人の総人口の3人に2人がやっている程の莫大な規模である

日本でフツーにやっていては、最初っから到底敵わない

365日、卓球に人生を懸けている人にして、やっと同じスタート・ラインに立てるくらいでしょー

伊藤美誠ちゃんは、お母さんの全面的な支援もあって、のびのびと創意工夫をこらした卓球に励んで来た

ただ中国では、国家事業だから、指導陣からして違うのだ

技術レベル・戦略・メンタル強化まで、熟練の指導者が専門に子ども達(ごく一握りの才能のある幼児が選抜されて英才教育をうける)を鍛える

 

石川佳純にしても伊藤美誠にしても、中国語に堪能だが……  中国語を覚えると中国の練習方法についての理解も深まり、中国独特の戦術を実行できて実際に強くなるそーだ

中国では、ドライブやスマッシュにつかう特別な卓球用語が幾つもあるからだ、卓球の打球に対する意識がまるで違うのだ、例えば、

日本語でスマッシュと言えば思い切り叩くイメージ。だが中国語では戦術や力の入れ具合によって幾通りもの言い方がある。

「ディエン」「ファリー」「コウシャ」

ディエンは表ソフトラバーで30%の力で打つ。ファリーは70%。コウシャは一撃で仕留める100%そして120%「ファスーリー」

より細かく分かれた豊富な語彙により技を明確に表現出来るから技術を正確に短期間で習得できる。

‥‥ コトバと身体の操法とは密接なつながりがある

格闘王・前田日明選手も云っておられた

> 生きてて、運動関係であっても、見たものを自分の中で言葉にする能力ってすごい大事なんだよ。
言葉に出来なかったら、イメージ出来ないんだよ。
イメージ出来なかったら、身につかないんだよ。

[※ YouTube で朝倉未来選手との対談にて]

‥‥ つまり、ただ打つスマッシュを、コトバによって意識してイメージすることによって、幾つものパターンを修得しているわけだ

人間は、思考するためにはコトバが必要不可欠である、コトバで思考するからである

この練習方法は、中国では中国拳法の「功夫(クンフー、カンフー)」と同じである

同じ「站樁功(たんとうこう=立禅)」であっても、心が身体にイメージさせるものが違うと全く別物になってしまう(例;円柱を抱きかかえるように馬歩する等)

その「イメージ」こそが、何を想ってその動作をするのかが、その流派の「秘伝」となっているのである

卓球でも、細分化された技術は戦略に有益である

 

卓球コラムニストの伊藤条太さんに拠ると‥‥ 

孫穎莎(ソンエイサ)は、終始徹底して伊藤のバック側を狙って打ったと云ふ

 

    【写真】 表ソフト・ラバー(粒々の凹凸が有る)

 

そこまでして伊藤のバック側を狙ったのは、伊藤のバック側の「表ソフト」というラバーを攻める方針だったからに他ならない。

表ソフトは回転がかかりにくく、自分も難しいが相手も難しいという、いわばハイリスク・ハイリターンのラバーだ。

我慢して一定レベルのボールを伊藤の表ソフトに送り続けていればハイリスクの欠点が出て、必ず伊藤が先にミスをするはずだ、それまで待つという作戦だ。

‥‥ 伊藤選手が貼っている「表ソフト・ラバー」は、1980年代に中国が世界王者であった時に使っていたが、1990年代に欧州で主流となった「裏ソフト・ラバー(表面がツルツルの普通使いのラバー)」による強烈なドライブに敗れ去り、中国は「表ソフト」を捨てることによって王座を奪還した経緯があるそーだ

「表ソフト・ラバー」に対する付き合いの年季が、美誠ちゃんでは遠く及ばない奥行きをもっている

それに加えて、ドライブボールの回転量を調節していたと云ふ

全身を使って回転をかけるふりをしながら、わずかに手首の動きを抑えて回転の少ないドライブを打つ、いわゆる「ナックル・ドライブ」を連発していたのだ。

‥‥ しかも、同じフォームで、パワー・ドライブとナックル・ドライブを打ち分けるのだからエゲツない

美誠ちゃんがよく、ネットに引っ掛けていたのは、そのせいだと云ふ

孫選手は、美誠ちゃんのサーブには、かなりの高回転をかけて返していた

表ソフトラバーに回転量で負担をかけてきた、高速卓球はカット(回転をかける)より打つ(スマッシュ)に重点をおくから

 

孫穎莎は、いままで中国国内では「小魔王」と呼ばれ親しまれてきたが……  このたびシングルスで「大魔王・伊藤美誠」を完膚なきまでに叩きのめした功績が買われ、めでたく「大魔王」に昇格成ったよーだ

日本チームは確かに強いが、気をつけなければならないのは伊藤美誠だけだから、われわれには「大魔王・孫穎莎」がいて伊藤の相手をしてくれる、中国の金メダルは揺らがないと…… 

そして、その通りとなった、中国はエース・陳夢でなく、団体戦に若手の孫穎莎を二回起用してきた、テレビ報道では中国と紙一重の実力などと調子のいいことを言っていたが……  まだまだ、たとえ孫穎莎を破ったとしても、その先がまだまだあるのが卓球王国・中国の懐の奥深さなのだ

現状、孫穎莎に二戦連続して完敗、なす術のない実力差がある

中国国内では、女子シングルスの決勝の同国対決はまるで盛り上がらなかったそーだ、やはり鎬を削る敵国、ハラハラさせる実力のある国が必要なのだ

 

「勝ち上がってきた過程を見れば、日本はとても強い。今や、彼女たちを抑えられるのは中国しかいない」

‥‥ こーした情況に追い込まれることこそ中国人は望んでいる、強力な他国の好敵手あっての優勝こそ一番盛り上がりやり甲斐もあるととらえる国民性であるよーだ

このあたりは、隣国K国とは違い、よって立つ気概と誇りがあるよーだ

その点で、強すぎるがあまり、勝つのが当たり前であるが故に、いま中国では卓球が不人気となっているし、今回のオリンピックでそれに拍車をかける形になってしまった

中国が本気を出して立ち向かうほどの強敵はいない

 

こんなに選手層は厚く、多彩な才能をもつ超エリート選手を大勢かかえているにも拘らず…… 

決勝の日本戦に臨む李準監督の心構えが、真におそろしい

「私たちは毎日(日本に)恐怖を抱き、熟考している。この5年間、毎日が恐怖だった」

‥‥ さすが、「孫子の兵法」を産んだ国ですなあ〜 

つねに、油断なく全力であたるのですな、日本では「楽しんで」などと口走るが、全力を尽くして試合にあたれば、おのずから「楽しい」のです

いみじくも、羽生結弦選手が金メダル獲ってから後続の選手にこーアドバイスしていました

「全力で楽しんでください ♪」

 

‥‥ 女子レスリングの川井梨沙子選手(五輪2連覇達成 ♪)も云っておられました

彼女は日本代表の資格を得るために、4連覇の偉材・伊調馨 選手を打ち破らなければならない荊の道を歩まれた御仁です、さすがに凄いお言葉だと思いました

> 「終わりを考えていると、今日の試合に隙ができるような気がして…… 」

‥‥ 対する『ZIP!』のインタヴュアー吉田沙保里の応えは、

> 「私もリオのオリンピックで4連覇を狙ってて……  梨紗子選手が『これで終わろうという気持ちでは絶対に隙がでる』と言いましたが、私はズバリそのままでしたね。だから『姉妹でそろって金メダルで終わろう』という気持ちがなかったからこそ、この2連覇が達成できたかと思います」

 

‥‥ 今に集中するのが、全力で楽しむことだと思います

「結果は、つねに副産物」 これ、誰の言葉だったかな?

         _________玉の海草

 


してやられた卓球、してやったり柔道〜 五輪の見えない攻防

2021-07-30 23:22:56 | 卓球

ーしてやられた卓球ー

伊藤美誠と同い年、若干二十歳なのにも拘らず、ミルフィーユみたいに重層な懐の深さを持つ中国次世代エース・孫穎莎(ソンエイサ)…… 

オリンピックで初めて日本に金メダルを奪われた混合ダブルス決勝のショッキングな結末、許昕・劉詩雯ペアは中国メディアから手酷く問い詰められた

この屈辱、大粒の涙を湛えて「負けて申し訳ない」と繰り返したチームメイトの復讐を、孫穎莎は誓ったと云ふ

どのようにリベンジを果すか…… 

混合ダブルスの中国ペアは、試合開始後2セットを先取して、それから日本ペアから挽回され、最終7セット目は8点もの大量点差をつけられ、覆すことなく敗れた

孫選手も、1セット先取して、2セット目3ー9と大量点差をつけられた、しかしそこから先が彼女なりの復讐だったのかも知れない

美誠ちゃんも、この大量点差にも拘らず、逆転する気満々の孫選手の気迫を感じ取ったと聞く

ダブルスでの最終セットの大量点差が、この展開にオーバー・ラップする

孫穎莎は、ダブルスで叶わなかった逆転を自分自身が演じてみせた、3ー9の圧倒的劣勢から只の1点も取らせずに、2セット目11ー9でひっくり返してみせたのである、それだけの自信を裏付ける練習量があったのだと思わざるを得ない

彼女は、いかにも飄々とやってのけた

美誠ちゃんは、このセット一度として敵わなかった、てんで相手にされなかったのだ、完璧にマウントを奪られ、積み上げてきた自信と自尊心はズタズタにされたことだろー

 

ー THE DIGEST編集部の江國森記者の取材から、その裏の心理的攻防を垣間見てみよー

試合後、伊藤の松崎太佑コーチは、孫がこれまでとは違う戦い方をしてきたことを明かした。

「孫選手がこれまでと違うことをやってきた。準備していなかったことに対して焦ってしまい、準備してきたところまで崩れてしまった」

 これまで違うやり方とは、「わざとボールの質を下げてきたことだという。

「孫選手の特長は、女子でナンバーワンぐらいの強いボール。それに対してはすごく練習をしてきた。しかし、回転もスピードも少ないボールで、真逆のことをやってきた。(2020年の)ワールドカップで対戦した時も、少しそういう感じを出してきたので準備はゼロではなかったんですけど、極端にやってきたんで、美誠が対応できなかった」

 伊藤とともに二人三脚で金メダルを目ざしてきた松崎コーチは、「美誠の力を出さないようなやり方を、まんまとやられてしまった」と唇を噛んだ。

 

‥‥ 美誠ちゃんが、一ヶ月間の中国遠征に臨んだとき、孫選手は練習中に近づいてきて、一緒に練習しよーと持ちかけて、最後に練習試合をしよーと誘ってきた

そのときの非公式の試合で孫選手は、いままでと違う試合運びで美誠ちゃんを戸惑わせた

彼女は、得意の強力な攻撃を返してこなかったのだ、いつもなら二人で高速ラリーで張り合い続けるのだが、彼女は何故かゆっくりしたリズムで「高速卓球」を避けていた

この練習試合、テレビ画面ではどちらが勝ったのか分からなかった、しかし勝者は孫穎莎だったに違いない

美誠ちゃんは、この交流がよほど嬉しかったらしく、持参のおにぎりを孫選手へプレゼントしていた

ソン・エイサは、喜んで口にして美味しいと大人の対応をした(このへんは、周恩来首相みたいだった)

まー、敵わないよ、このときの戦略を更に先に進めて、本番のオリンピックでは、従来と真逆の戦い方で揺さぶってきたわけだ

流石に、兵法の天才・孫子を産んだ国だけのことはある、まるで駆け引きのレベルが違う、大人と子どもみたいなものである

孫穎莎が短時間で勝利をモノにした時、わたしは金メダルは陳夢だなと察した、まだまだ中国の奥行きは日本の及ぶ処ではないと暗示したのだと思う

孫穎莎(ソンエイサ)は、リオ五輪の金メダリスト・丁寧選手のお抱えの練習相手(世界各国の強豪選手のコピー選手をつくって専用の対策を練る)を仕方なくつとめ、そこから同じ舞台にまで這い上がってきた叩き上げの猛者である

伊藤美誠ちゃんの三位決定戦は、目が死んでいた

はたして、そのトラウマに押し潰されることなく、反発のエネルギーとして全力でリベンジに臨めるものだろーか?

全力で自らを出し切る、それが「試合を楽しむ」とゆーことだと思います

「58歳で、あれだけ動けるのは凄い」とネット上で話題になっている、ルクセンブルクの姐御 、ニー・シャーリエン 選手(元・中国代表選手)は、タイム休憩中にコーラをガブ飲みしておられた ♪

惜しくも、韓国の天才少女に敗退してしまったが、昔懐かしいペンホルダーであの老獪な戦いぶりは、往年の名選手であるだけでなく、いまも老兵としての熟練したスキルと一切の無駄を排した(ある種の)芸術的パフォーマンスを遺憾なく発揮しておられた

あの御姿こそ、「全力で楽しむ」とゆーことなんじゃないかな

 

ーしてやったり柔道ー

「寝技の女王」、寝技師・濱田尚里選手は何と4戦オール寝技勝ちとゆーとんでもない戦い方を世界中に教えた

ロシアの格闘技「サンボ」でも世界チャンピオンになられたらしい

宗教が高い人間性を求めるものだとすれば、高度な宗教には必ず高度な体術(身体の動かし方)が存在するとゆーのが私の持論だが…… 

例えば、禅宗には少林寺武術、道教にも武当派の中国武術、イスラム(回教)には八極拳心意六合拳、日本神道にも神道流(塚原卜伝の新当流は同じ意味)や鹿島神流や『子連れ狼』の水鷗流など……  日本禅の影響が大きいのは無住心剣術(新陰流系統)や『剣客商売』の無外流、山岡鉄舟の一刀正伝無刀流などがある

ハマダ選手が修めた「サンボ」は、ロシア聖教(キリスト教)の体術とも云えるものである、軍隊で発達した「コマンド・サンボ」もある

日本柔道には、嘉納治五郎が「講道館」を設立し、古流柔術を「柔道」に改変するときに捨てた、関節の逆極め技や絞め技や当て身技などが地下水脈として、秘かに連綿と流れ続けている

寝技にしても、戦後マッカーサー占領下で旧制高校が廃止になって、やむなく歴史上から消えた「高専柔道」なる、寝技に特化した特殊な柔道が存在する

「高専柔道」の「高専」とは、旧制高校・大学予科・旧制専門学校を包括した呼称で、現在の高専(高等専門学校)とはまったく違う

寝技とゆーものは、練習量を裏切らない、やればやっただけ練度が増してゆく、あまり才能に左右されないスキルである

だから未経験の旧制高校生をはじめ、短期間の修練でモノになるので、文武両道のエリート達の間で、異常なまでに寝技が発達した

現在つかわれる、「三角絞め」や「膝十字」などは「高専柔道」で学生さん達が編み出した技である

自由な気風でクリエイティヴに開発された「高専柔道」の技や戦略は、現行の柔道に甚大なる影響を与えた

木村政彦先生と山下泰裕先生が絶対的な王者だったのは、2人とも「講道館柔道プラス高専柔道」という理想的な技術を持っていたからだ。

(木村先生は自らが高専大会に参加していたし、山下先生は師の佐藤宣践先生から高専柔道の寝技技術を吸収していた)

[※ サイト『増田俊也の執筆生活』より]

‥‥ 「木村政彦」といえば、プロレスの力道山のパートナーであった時代もある超一流の格闘家である

いま世界を席巻している 「グレイシー柔術」の創始者エリオ・グレイシー を柔道の関節技 「キムラロック(腕がらみ、チキンウィング・アームロック)」 で破った伝説の柔道家でもある

今回金メダルを奪った濱田選手は、こーした歴史的地下水脈となっている伝統の寝技技術を受け継いで体現しておられる武道家でいらっしゃるのである

そりゃ強いわ、立ち技から寝技に誘なう「引き込み」も自然で見事だし、あれだけ寝技が出来ると、立ち技にも自信をもって大胆になれる

いくら、研究して万全の対策を練ったつもりでも、日本柔道にはその上をゆく武道の伝統があります、濱田さんはその洗練されたスキルを世界に示してくださった

 

ー現在、濱田女史は自衛隊体育学校に所属しておられる陸上自衛官であられるとか…… 

自衛隊は物凄いですね、オリンピックの現場でもたんたんと活躍なされている

霧島ご出身の「薩摩おごじょ」は日本婦女子の鑑、良かおなごですたい ♪

          _________玉の海草

 

 


「卓球王国」 奪還なるか〜 歴史的金メダル

2021-07-27 23:15:08 | 卓球

卓球・混合ダブルスの世界最強ペアである 許昕/劉詩

許昕(キョキン、美誠ちゃんはシュシンと発音していた)は、中国型ペンホルダー・グリップの名手で(シェイクハンド・グリップ全盛の現在、極めて珍しい絶滅危惧種)、ギュイーンとバナナ・カーブするエゲツない「ドライブ・ボール」を放り込んでくる

身体も柔らかく、高身長で手脚も長い、ボールの回転が凄まじいので返球が難しい、美誠ちゃんはラケットの片面が表ラバー(凹凸がある)を貼っているので、尚更大変だったろー

劉詩雯(リュウシブン)は、世界ランキングはしばし置いといて、中国女子で一番卓球の上手い人ではないかと思う、攻めも受けも安定していて盤石の感あり、オールラウンドに高度な技術を有する彼女あたりから、中国の「高速卓球」が始まったのではないかな、日本人選手に対する勝率が一番高い、美人だがつけいる隙のない玄人好みのプレイ、クールでほとんど感情を表に出さないタイプ……  福原愛ちゃんの親友である

この「絵になる」お二人を組ませたら、いぶし銀の風格を漂わせる世界最強ペアになる、う〜  (/ _ ; ),,, 戦いたくない気持ちがよくわかる、弱点がおいそれとは見つからないから…… 

ミックスダブルス決勝も、そーだった…… 1セット・2セット目は苦もなく討ちとられた

美誠ちゃんは、集中して目まぐるしく考えているのが分かった、ベテランの中国ペアは裏も表も知り尽した試合運びだったから(いままで4回対戦して全敗)

三セット目からは、果敢に攻めた、やっぱ 水谷選手(ドイツ仕込みの天才、ラリー巧者)が全く諦めることなく俄然と攻勢に転じたのが功を奏した、水谷の「ナックル・ドライブ(回転をかけないドライブ)」が回転にこだわる中国ペアに効果した

下から上へ強烈に擦りあげる、回転量の豊富な「パワー・ドライブ」のつもりで「ナックル・ドライブ」に対処すると……  勢い余った返球が卓球台からハミ出してしまうのだ、ちょうど野球のチェンジアップみたいな透かし技である

やはりリオ五輪で初めて許昕を破って、許昕の怖さを熟知している水谷だからこそのアドバイスが生きたのだと思う

美誠ちゃんのクリエイティヴな卓球 は、自分を信じることから始まる、迷いのない彼女は無敵だ

文字通り、水谷の鉄壁の後ろ盾を得て、自由奔放に弾け始めた

中国ペアは、二人揃ってボールにかなりの高回転をかけていた、ラケットの角度や返す方向を間違えるとあらぬ方向へ飛んでいってしまう厄介な球質である

通常、卓球は肩の高さくらいでラケットを振るが…… 許昕にしても美誠ちゃんにしても、剣道の上段みたいにあらゆる打点で変幻自在な返球をしてくる、全空間を支配する、テニスみたいな広範囲の卓球と言えるかと思う

まるで剣豪の居合いみたいに、エグいカットボールを放つんだよな ♪

レイコンマ何秒かのせめぎ合いは、「剣はそれ瞬息」(北辰一刀流の千葉周作)の瞬きせぬ世界、一刹那で勝負が決する

卓球は100m全力疾走しながら、チェスを打つ様なスポーツである ” と日本卓球の先人は看破されました

 

最終セットは、正味おどろきました、あの常勝不敗の中国から、連続得点「8ー0」

「こりゃ勝てるんじゃないの?」ではなく、「こりゃ負けそうにないな ♪」に変わりはじめ……  世にも嬉しいカウントダウンを、いまか今かと相当長い時間愉しめました

 

美誠ちゃん秘蔵のロングサーブを、許昕がネットに引っ掛けたとき…… 

我知らず、立ち上がって諸手を天に突き出して叫んでいました、「勝ったぞー♪」

まったく気乗りのしないオリンピックだったのですが……  この瞬間の為だけであってもオリンピックは日本で開催した意味があったと思いました

 

大舞台での勝利は、今回で三度目になるのか……

平野美宇ちゃんの偉業、中国選手三人抜き優勝はローカルな「アジア選手権(中国開催、2017年)」でのこと……  伊藤美誠ちゃんが圧倒的な強さで「大魔王」と呼ばれるキッカケとなった「スウェーデン・オープン(2018年)」での中国選手三人抜きの偉業も合わせれば、今回のオリンピック金メダルは三度目の正直とゆーことになるんだなあ〜

迂闊ながら、いま気がついた

日本の国技柔道が、アントン・ヘーシンクと神永選手との試合で、初めて日本が敗北した当事者のショックがいま、分かるよーな気がする

中国は、たいへんな意気消沈ぶりである、劉詩雯はボロボロ泣いて謝っておられた、国家の威信が乗っかっているスポーツなのである

卓球界に、卓球専門誌として『卓球王国』があるが……  あれは昔日、中国が卓球界で覇権を握る以前には、日本が卓球王国だったことを偲んで、いつの日か「卓球王国」の名を奪還する日が来ることを期して、つけられた誌名である

日本卓球が世界のトップレベルだった時代は、1952〜1979年頃までであろー、50年代から70年代までの約30年間は、確かに日本は「卓球王国」だったと云えるかと…… 

では中国に勝って優勝したのは、いったいいつ以来なのか?…… 

男子は、最後に勝ったのが24年前、1997年のアジアチームカップ(上海)の団体戦、Tリーグ初代チェアマンの松下浩二さんが2勝の大活躍で、3ー1で中国を降した

女子は、最後に勝ったのが47年前、1974年のアジア選手権(横浜)の団体戦、3ー1で中国に勝利したが、1975年以降は中国が天下を握った

卓球が、オリンピックの正式種目となったのは、1988年のソウル・オリンピックだから、五輪の歴史はまだ浅いのだが……  

2012年ロンドン五輪女子団体の銀メダル、2016年リオ五輪女子団体の銅メダル、男子団体の銀メダル、そして男子シングルスの水谷の銅メダルのみである

 

日中国交正常化は、1972年だが…… 

(wikiより)>1971年3月に名古屋市で開催された第31回世界卓球選手権に文革後初めて選手団を送り、当時のアメリカ選手団を大会直後に中華人民共和国に招待するピンポン外交が展開されて…… 

中国へ渡航しやすくなったのは、70年代後半ころか、この辺りから中国は卓球に本腰を入れ始めた感じがする

やはり、昔日の貧しかった中国にとって、卓球台とラケットがあればすぐに始められる卓球はうってつけの娯楽であり、投資であったことだろー

なんでも国威発揚に結びつける中国は、珍獣「パンダ」と卓球を外交に組み込んで躍進してきた

オリンピックで、卓球の試合を観ていると、首を傾げるのが、各国の代表選手に中国人の帰化人が多いとゆーこと、

これは、中国で「養狼計画」と称されているもので、卓球人気を世界中で保つために、各国に中国人選手を送り込み、その国の人間にさせる(忍者の「草」みたいに他国の住人になりすます)

そして、国の代表選手にさせて、卓球の世界レベルを底上げして、その頂点に中国が君臨するとゆー遠大な国家計画である

リオ五輪でも、シンガポールなんか代表選手全員が元中国選手であったし、きょう美誠ちゃんと戦ったポルトガルの選手もまた元・中国選手であった(実に渋いペンホルダーのおばさん選手で、無駄のない動きに年季を感じさせた)

養狼計画はほぼ成っているのだろー

卓球と云えば、中国が絶対王者、その地位は身じろぎもしないのが中国の国家的アイデンティティと成っていることだろー

その一角を崩したとなれば、これは大問題であるが、中国とゆー国は好敵手を尊重するお国柄でもあるのだ

「なかなかやりおるな」と認めたライバルを、さらに上回ることが大好きなのである

だから、美誠ちゃんを「大魔王」と仇名したのは、やっと中国に伍する人傑があらわれて歓迎している一面がある

コロナ禍で大会もなかなか開催できなかった去年、美誠ちゃんは中国開催の大会に参加するために、一か月間も中国に渡った

そのときに、練習場で同い年の天才プレーヤー孫穎莎選手(ボーイッシュだが笑顔が妙に可愛い)に声をかけられ、一緒に練習したことがある、これは勿論探りに来ているのだが…… その一方で一緒に練習したくなるほど中国では実力が認められていることを証ししている

中国は、強敵があらわれると、そのコピー選手を造り上げて、臨場感をもって徹底的に対策を練る

しかし、大魔王・美誠ちゃんは余りにも独創的なプレイ・スタイルで、そのコピーを造ることが至難なのである

卓球界の常識やセオリーの上を独り行く美誠ちゃんは、中国女子No. 1の丁寧選手に引導を渡した下剋上・次世代エースの孫穎莎(ソンエイサ)選手をして何年もライバルであり続ける好敵手だと言わしめる実力者である、但し彼女の上にまだ陳夢選手が君臨している、幾重にも選手層の厚い中国なのだが

 

THE DIGEST編集部より引用しよー

試合後、中国メディアの取材に応じた許昕は記者から「なぜ伊藤は君のショットを打ち返せたのか」と問われると、「いや、彼女は素晴らしかったよ。試合が進むにつれてどんどん僕の打つサーブに対応できるようになっていったし、なにより男子選手にも立ち向かう勇気がある。ラリーになっても臆せず、最後までとても勇敢だった」と絶賛した。

 

ーお芽出とう、水谷選手・美誠ちゃん、興奮してテレビの前で大音声で叫んだのは一生のうち何度もあることではない、それだけ光明の差し込めた輝かしい一瞬だったのです

嬉しかった、本真にありがとう……   生きている内に、オリンピックの国旗掲揚の場面で、卓球の絶対王者・中国の国旗🇨🇳を下に従えて、真っ先に昇ってくる🇯🇵「日の丸」を眼にする日がやって来よーとは…… 

           _________ 玉の海草