全日本年金者組合は、10月から年金切り下げが強行された場合、行政不服審査請求で闘います。
7月25日の滋賀県本部定期大会で、全日本年金者組合中央本部の森口藤子副委員長が訴えた内容を紹介します。

年金削減を強行すれば行政不服審査請求で抗議
不当な年金削減
年金は今年10月に1%、来年4月に1%、再来年4月に0・5%切り下げられる。
この切り下げは、どこからどう考えても不当で、不当以外の何ものでもない ということを、みんなが確信にすることが重要である。
第一に、決め方が不当である。
解散騒ぎのどさくさの中で、審議らしい審議もせずに決めた。
高齢者の団体が入ってない審議会で、高齢者の生活実態を考慮せず、財源的議論だけで決めたのは高齢者の側から言えば全く不当である。
第二に、切り下げの理由が不当である。
「10年あまり前の2000年から2002年にかけ消費者物価指数が下がった時に年金を下げなかったので 『特例水準』 になっている。
これを今になって下げる」と言っている。
当時は 「現下の社会情勢に鑑みて、高齢者の生活に配慮して」 年金切り下げを凍結した。
現在の社会情勢と高齢者の生活状態も、年金の切り下げを凍結した10年前と同じで、年金を切り下げることは不当である。
その後、2004年の年金改革当時、「特例措置」 については、 「物価上昇の状況のもとで解消する」 つまり、名目年金額は下げない と決めている。
このように 過去に決めたことを全て反故にして年金を切り下げるのは不当である。
第三に、消費者物価指数による 「物価スライド」 と称して年金を切り下げるのは不当である。
「物価スライド制」 は、物価が上昇する際に年金生活者の生活を守るためにできた制度である。
ところが 今は、年金切り下げの道具になっている。
これまでに何回も、「消費者物価指数が下がったから」 と言って年金を切り下げられてきた。
消費者物価指数下落の主な要因は、テレビ、パソコン、冷蔵庫、エアコンなどの下落で、高齢者の生活にはあまり関係ない。
逆に、高齢者の生活に大きな影響をもつ国民健康保険料、介護保険料の引き上げは、消費者物価指数に考慮されない。
高齢者の場合は、医療費の比重が他の年代よりも重いのに、このことも考慮されてない。
今のようなやり方で、消費者物価指数を口実に 年金をどんどん切り下げることは不当である。
第四に、物価上昇の中での年金切り下げは不当である。
日銀は 「2年で2%の物価上昇」 を宣言、円安で食料、光熱費などが上昇している。
誰が考えても 「こんなに物価が上がっている時に年金を下げていくのは如何なものか」 ということになる。
しかも、来年4月から消費税増税になるとすれば、もっと大変だ。
第五に、年金引き下げは経済に大きな打撃を与える。
年金が地方財政の主な収入源になっている時に、年金が切り下げられるということは、地方経済に対する大きな打撃になる。
第六に、年金切り下げは これで終らない。
「マクロ経済スライド」 が待っている。
物価が1%上がった時、「マクロ経済スライド」 を発動して 0・9%引き、年金は 0・1% しか上げない。
物価が 1%上がったのに 年金が上がるのは 0・1%ということになる。
第七に、低年金者を含めての一律の切り下げだということ。
今でも暮していけない低年金者の年金を切り下げることは不当である。
年金は高齢者の生活を保障するものでなければいけない。
これを、保障するどころか切り下げる。
やはり、最低保障年金制度が必要であると主張していきたいと思う。
深刻な高齢者の実態
月額10万円未満が 約1300万人
食べていけるかどうか、食べ物を減らさなければ暮らしていけないという 絶対的貧困の高齢者世帯が7分の1 に増えている。
老齢年金をもらっている2900万人の中で、基礎年金だけの受給者は819万人、そのうちの76%が女性です。
厚生年金受給者は、男性が1015万人、女性は469万人で男性の半分以下です。
厚生年金受給者のうち、月額10万円未満が370万人、無年金者が約100万人いますから、約1300万人が月額10万円未満で暮らしている。
女性はさらに低年金
さらに女性の年金額は男性の47%です。
ヨーロッパでの女性の年金は男性の70%前後、高い国は80%位だが、日本の場合は男性の半分以下だからひどい。
女性は子どもを産んで育てるのに多くの時間を使うので、キャリアが途絶えたり賃金が下がったりする。
しかし、子どもを産んで育てることは社会にとってかけがえのない労働で、素晴らしい貢献である。
社会に対しこういう貢献をしたからといって年金が低いというのは許せない。
一人暮らしも苛酷
一人暮らしの高齢者(65歳以上)は 467万人、男性139万人、女性327万人で、圧倒的に女性が多い。
一人暮らしは男女ともに生活が苦しいが、高齢者の貧困が一番溜まっているのが、一人暮らしの女性である。
子どもに頼れない
安倍政権の社会保障制度改革推進法では、家族の助け合い 「共助」 を強調しているが、実態に合わないし社会保障の理念に反する。
生活が苦しい方ほど、子どもも 生活が苦しいことが多いし、子どもとの関係が疎遠になっていることが多い。
子どもも 高齢者も 必死で暮らしている。
そんな中で子どもに助けてもらえと言っても出来るわけがなく、実態に合わない。
しかも、それが社会保障だとは、とんでもない。
3世代世帯は1980年には約50%あったが、2012年には約15%に減っている。
女性高齢者実態調査で、子どもから援助があると答えたのは約6%だった。
ヨーロッパでは既に、高齢者の住宅、医療、介護、年金は公的に支えることになっていて、子どもが支えることにはなっていない。
子どもは18歳になったら親から離れる。これが当たり前なんです。
その代わり大学などの高等教育の教育費は無料、これが当たり前になっている。
親が子どもにお金をかけない代わりに、子どもが高齢の親の面倒をみるという考えはない。
日本は農業国だったので一家が自給自足で暮らし、年をとっても子どもや孫の面倒をみながら暮らしていけたが、今はそういう社会になっていない。
だから 社会保障の考え方を変えなければいけない。
つまり、高齢者の暮らしは100%公的に保障する。
働きたい高齢者は働いてもいいが、最低保障は公的にしなければいけない。
それがなければ、高齢者は死ねということになりませんか。
追い詰められた高齢者の孤立、餓死、自殺、犯罪が増えている。
この20年で高齢者の犯罪検挙率が6倍になった。
しかも、万引きが増えている。
こういう状況のもとで、年金を一律に減らすのか、本当に・・・。
「不当なことは不当!」
私たちは、年金切り下げは不当であり不服である、認められないとして、行政不服審査請求の申立てをしていく。
行政不服審査請求は法律で認められている国民の権利である。
これを11万人で行えば、政治的社会的インパクトになる。
行政不服審査請求そのもので、年金切り下げをひっくり返すのは難しいと思うが、政治情勢を変えていく力にしたい。
年金削減は今年から3年続くので、今年は強行されても、来年以降は凍結させたいということで、全力をあげよう。
7月25日の滋賀県本部定期大会で、全日本年金者組合中央本部の森口藤子副委員長が訴えた内容を紹介します。

年金削減を強行すれば行政不服審査請求で抗議
不当な年金削減
年金は今年10月に1%、来年4月に1%、再来年4月に0・5%切り下げられる。
この切り下げは、どこからどう考えても不当で、不当以外の何ものでもない ということを、みんなが確信にすることが重要である。
第一に、決め方が不当である。
解散騒ぎのどさくさの中で、審議らしい審議もせずに決めた。
高齢者の団体が入ってない審議会で、高齢者の生活実態を考慮せず、財源的議論だけで決めたのは高齢者の側から言えば全く不当である。
第二に、切り下げの理由が不当である。
「10年あまり前の2000年から2002年にかけ消費者物価指数が下がった時に年金を下げなかったので 『特例水準』 になっている。
これを今になって下げる」と言っている。
当時は 「現下の社会情勢に鑑みて、高齢者の生活に配慮して」 年金切り下げを凍結した。
現在の社会情勢と高齢者の生活状態も、年金の切り下げを凍結した10年前と同じで、年金を切り下げることは不当である。
その後、2004年の年金改革当時、「特例措置」 については、 「物価上昇の状況のもとで解消する」 つまり、名目年金額は下げない と決めている。
このように 過去に決めたことを全て反故にして年金を切り下げるのは不当である。
第三に、消費者物価指数による 「物価スライド」 と称して年金を切り下げるのは不当である。
「物価スライド制」 は、物価が上昇する際に年金生活者の生活を守るためにできた制度である。
ところが 今は、年金切り下げの道具になっている。
これまでに何回も、「消費者物価指数が下がったから」 と言って年金を切り下げられてきた。
消費者物価指数下落の主な要因は、テレビ、パソコン、冷蔵庫、エアコンなどの下落で、高齢者の生活にはあまり関係ない。
逆に、高齢者の生活に大きな影響をもつ国民健康保険料、介護保険料の引き上げは、消費者物価指数に考慮されない。
高齢者の場合は、医療費の比重が他の年代よりも重いのに、このことも考慮されてない。
今のようなやり方で、消費者物価指数を口実に 年金をどんどん切り下げることは不当である。
第四に、物価上昇の中での年金切り下げは不当である。
日銀は 「2年で2%の物価上昇」 を宣言、円安で食料、光熱費などが上昇している。
誰が考えても 「こんなに物価が上がっている時に年金を下げていくのは如何なものか」 ということになる。
しかも、来年4月から消費税増税になるとすれば、もっと大変だ。
第五に、年金引き下げは経済に大きな打撃を与える。
年金が地方財政の主な収入源になっている時に、年金が切り下げられるということは、地方経済に対する大きな打撃になる。
第六に、年金切り下げは これで終らない。
「マクロ経済スライド」 が待っている。
物価が1%上がった時、「マクロ経済スライド」 を発動して 0・9%引き、年金は 0・1% しか上げない。
物価が 1%上がったのに 年金が上がるのは 0・1%ということになる。
第七に、低年金者を含めての一律の切り下げだということ。
今でも暮していけない低年金者の年金を切り下げることは不当である。
年金は高齢者の生活を保障するものでなければいけない。
これを、保障するどころか切り下げる。
やはり、最低保障年金制度が必要であると主張していきたいと思う。
深刻な高齢者の実態
月額10万円未満が 約1300万人
食べていけるかどうか、食べ物を減らさなければ暮らしていけないという 絶対的貧困の高齢者世帯が7分の1 に増えている。
老齢年金をもらっている2900万人の中で、基礎年金だけの受給者は819万人、そのうちの76%が女性です。
厚生年金受給者は、男性が1015万人、女性は469万人で男性の半分以下です。
厚生年金受給者のうち、月額10万円未満が370万人、無年金者が約100万人いますから、約1300万人が月額10万円未満で暮らしている。
女性はさらに低年金
さらに女性の年金額は男性の47%です。
ヨーロッパでの女性の年金は男性の70%前後、高い国は80%位だが、日本の場合は男性の半分以下だからひどい。
女性は子どもを産んで育てるのに多くの時間を使うので、キャリアが途絶えたり賃金が下がったりする。
しかし、子どもを産んで育てることは社会にとってかけがえのない労働で、素晴らしい貢献である。
社会に対しこういう貢献をしたからといって年金が低いというのは許せない。
一人暮らしも苛酷
一人暮らしの高齢者(65歳以上)は 467万人、男性139万人、女性327万人で、圧倒的に女性が多い。
一人暮らしは男女ともに生活が苦しいが、高齢者の貧困が一番溜まっているのが、一人暮らしの女性である。
子どもに頼れない
安倍政権の社会保障制度改革推進法では、家族の助け合い 「共助」 を強調しているが、実態に合わないし社会保障の理念に反する。
生活が苦しい方ほど、子どもも 生活が苦しいことが多いし、子どもとの関係が疎遠になっていることが多い。
子どもも 高齢者も 必死で暮らしている。
そんな中で子どもに助けてもらえと言っても出来るわけがなく、実態に合わない。
しかも、それが社会保障だとは、とんでもない。
3世代世帯は1980年には約50%あったが、2012年には約15%に減っている。
女性高齢者実態調査で、子どもから援助があると答えたのは約6%だった。
ヨーロッパでは既に、高齢者の住宅、医療、介護、年金は公的に支えることになっていて、子どもが支えることにはなっていない。
子どもは18歳になったら親から離れる。これが当たり前なんです。
その代わり大学などの高等教育の教育費は無料、これが当たり前になっている。
親が子どもにお金をかけない代わりに、子どもが高齢の親の面倒をみるという考えはない。
日本は農業国だったので一家が自給自足で暮らし、年をとっても子どもや孫の面倒をみながら暮らしていけたが、今はそういう社会になっていない。
だから 社会保障の考え方を変えなければいけない。
つまり、高齢者の暮らしは100%公的に保障する。
働きたい高齢者は働いてもいいが、最低保障は公的にしなければいけない。
それがなければ、高齢者は死ねということになりませんか。
追い詰められた高齢者の孤立、餓死、自殺、犯罪が増えている。
この20年で高齢者の犯罪検挙率が6倍になった。
しかも、万引きが増えている。
こういう状況のもとで、年金を一律に減らすのか、本当に・・・。
「不当なことは不当!」
私たちは、年金切り下げは不当であり不服である、認められないとして、行政不服審査請求の申立てをしていく。
行政不服審査請求は法律で認められている国民の権利である。
これを11万人で行えば、政治的社会的インパクトになる。
行政不服審査請求そのもので、年金切り下げをひっくり返すのは難しいと思うが、政治情勢を変えていく力にしたい。
年金削減は今年から3年続くので、今年は強行されても、来年以降は凍結させたいということで、全力をあげよう。