丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

273.映画「小三治」を観て

2009-03-04 01:22:06 | 芸能・映画・音楽

 26日の午後 この日2本目の映画を観ました。 映画のタイトルは「小三治」です。噺家の小三治師匠の映画です。

 人気、実力ともに江戸落語を代表する10代目柳家小三治を3年半かけて追ったドキュメンタリー作品です。この映画は2月21日都内2館で封切られたのですが、神保町シアターで1週間上映。ポレポレ東中野という映画館で2週間上映されています。

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 ポレポレ東中野というのは東中野駅前の雑居ビルの地下にある定員100人くらいの小さな映画館でした。

 映画の宣伝用横断幕が 2階の酒処「魚民」の看板の上に あったのですが、とても上映中の映画のポスターには見えないできばえ。

 すっかり街の雰囲気に溶け込んでいて映画のポスターとは思えず、見過ごしてしまうほどでした

 さて 映画の内容は独演会や落語会で高座に上がる姿を映すのはもちろん、地方への旅の道中や舞台裏でインタビューを行い、小三治の魅力を解き明かすというものです。 また、弟子の柳家三三や上方の落語家で人間国宝の桂米朝なども出演し、自らのことを語りたがらない小三治について立川志の輔が語ったりします。

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 多くのファンを惹(ひ)き付けてやまない10代目柳家小三治。小三治の落語の魅力をカメラに収めようと、高座や舞台裏、地方公演の移動に密着取材。 さらに、それだけでは飽き足らず、スキーやクラシック音楽など趣味に興じるプライベート部分も追い、人間・柳家小三治をとらえています。(シネマトゥデイ)

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 筆者は小三治師には、銀座の老舗天麩羅屋とか、電車の中で偶然 何度か遭遇しています。 いつも気難しそうで生真面目な顔をした 不思議な噺家さんです。映画でもプライベートの様子からは、小三治師の真摯(しんし)な人間性の一端を随処に観ることになります。

 たとえば テーブルやちゃぶ台を前にすると さりげなく台の上を拭き始めます。 柳家小さん門下は知らないうちに皆拭くのだそうです。「柳家一門はみなこうしちゃうんだってねえ」と言いながら黙々と自分の前を拭く姿に人間性の一端を見ます。

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 お弟子さんの中から9人目の真打柳家三三が生まれ、その真打昇進披露口上でも この人らしい挨拶を聞かせます。

「三三には一度も稽古なんかつけたことがありません。」
「最初に大声で喋れ。と言ったのと のちに落語らしく話せと言っただけです。」

 面白くもなんとも無い口上です。 でも 実にこの師匠を表現している気がします。

 入門同期生である 三遊亭扇橋師との温泉旅行を実現。入浴シーンで見せる筋骨隆々たる締まった体型はとても69歳の年齢とは思えないものです。

 他にもスキーや声楽など 小三治師の日ごろの努力や節制ぶりを知ります。

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 多彩な趣味人としての私生活も 高座からはおよそ予想もつかないものですが 好奇心旺盛な努力家の一面を見せてくれます。

 そして 映画の最後に古典落語「鰍沢」を通しで演じます。 これが実にどうもうまいのです。 そして見せます。 聴かせます。 さすがと感じさせた1時間40分でした。

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今日もお立ち寄りいただいて有難うございます。


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