丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

50. 棘(とげ)も毒も潜ませず

2008-05-03 02:41:43 | 閑話

                  50. 棘(とげ)も毒も潜ませず 

 満開の桜もひと月前の話で、東京ではすでに新緑の季節を迎えている。
その後桜前線は北上を続け 札幌円山公園や 旭川の旭山公園では 5月上旬から中旬にかけて一番の見ごろらしい。旭山動物園ではそろそろ開花したのであろうか。

                          

 日本人は桜を愛する国民である。理由は人それぞれあるのだろうが、ぱっと咲いて さっと散る その潔さが心地よい。満開の桜は豪華であるが、花弁のその色は決して華麗ではない。淡く奥ゆかしいものである。そう「奥ゆかしい」のである。

 奥ゆかしさがとりえのひとつであった日本人から、謙譲の美徳や恥の文化がうすれていったのはいったいいつごろからであろう。 科学技術の進歩は確かにスピーディで便利な生活をもたらした。

 その引き換えに、どこか余裕のない、ともすれば人の情を失くしつつある世の中があちこちに現れた。昭和30年代初頭家庭にテレビが普及し始めた頃の生活を懐かしむ声が多い。

                          

 時代の変化とともに失くしていった何かが そこにはたくさんあった。映画「三丁目の夕陽」が好評であった理由は郷愁であろう。急速な家庭の電化生活への変化、車社会への変化、共通の目指すものが共通の活力の源泉でもあった。

 経済大国となった日本も90年代前半にバブルは弾けてしまった。 弾けてしまうと 急に将来が読めなくなり右肩上がりの成長期も終焉を迎える。なにやら不透明で底知れぬ不安が増していく日々の到来。その格差にはただただあきれる他はない。

 「なりたくてなったんじゃないぞ」とでも言い出しかねない政治家が一国の総理大臣である。そんな人物が舵をとり、政局の混迷は続く。 大きな期待も持てないが、これ以上悪くもならないのだろうと この際 楽観して生きるしかない。そうそう 全ては「これから、これから」そう思うことが大切である。

                          

 話を桜に戻すことにしよう。

 最後にお札になったほどの偉人いわく「桜はその美の下に 棘も毒も潜ませず 自然のままに散り その色は決して華麗ではない。 その香りは淡く人の心を飽きさせない。」 (新渡戸 稲造氏の言葉より)

 奥ゆかしさは飽きさせないのである。  


ほかにもブログを公開しています。
◆「丼季報亭の四方山話」(2002年9月投稿開始)は 
URLhttp://kj2k3.at.webry.info/
◆4Travel.「Donkyさんの旅のブログ」」(2013年6月投稿開始)は 
URLhttp://4travel.jp/traveler/donky2013/


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2 コメント

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昔は懐かしいですよね (「丼」)
2008-05-04 23:30:33
あこさん

いつも読後すぐにコメントをいただき 有難うございます。

みな それぞれに昔は懐かしいですよね。若かった頃を、元気だった頃を思い出すと….。たしかに

「丼」
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Unknown (あこ)
2008-05-03 07:05:13
確かに、昔は懐かしい、そこには若い両親がいるし、幼い友達がいる。
チャンバラ、ビー球、めんこ、駄菓子やなど想い出す。
生活は居候で貧しかったが、人間的触れ合いに満ちていた。
家族で遊びに、桜を見に行ったこともなかった。

私は、特攻で、散る桜のように、潔く散っていた若人を思うと、いつも、気持ちがシャキとする。


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