丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

59. 勧善懲悪の世界から

2008-05-14 12:29:12 | 閑話



             59. 考察その1. 勧善懲悪の世界から



 面白おかしい話ではないが 今の世の中を語る上で 我々の両親の生きてきた時代を客観的にみることも必要だと思う。 一回目の今日は 特にわれわれ団塊世代の両親の立場について考えてみた。

              

 やがて四人に一人以上が六十五才以上の高齢者となる世の中が来る。中でも団塊世代の両親たちが 人生の最終局面を迎えている。 大正中期から末期に産まれたこの世代の人生は この国開闢(かいびゃく)以来の 変化に富んだ時代であったといえる。

 団塊世代の両親たちは 戦中・戦後の価値観の革命的な変化に 右往左往しながらも 経済復興の波に乗り、しゃにむに働いた。 価値観・倫理観の急激な変化が原因で 子育てに戸惑いつつも 団塊世代を育てていった。 大正・昭和・そして平成の世を生き抜き そして老いて行った。

 「戦中派」と呼ばれる われわれの両親は 明治維新以降の国家を支えてきた儒教的道徳観を植えつけられてきた。 儒教的道徳とは すなわち忠臣・孝子・貞婦のおこないは報いられ、佞臣・姦夫・毒婦のおこないは罰せられる。 その倫理観は 儒教的道徳にもとづいた勧善懲悪の世界であった。

              

 戦後 神と崇めた天皇は人間と化し 国家の象徴となった。 言論と結社の自由が認められ 自由の名の元に 「何でもありの社会」が生まれた。とはいえ 戦後はまず経済の復興が急務であった。 国家をあげて経済成長を目指し 右上がりに社会は発展していった。

 貧しい家庭では 丁稚からスタートする「滅私奉公」の世界は当たり前であった。 儒教的道徳にもとづいた勧善懲悪の世界で生きてきた彼らは 忠実に主人に仕え 質素を美徳とし、 つつましく生きていった。戦後の闇市で時代の変化を先取りして のし上がった一部の「成り金」以外の庶民は皆同じであった。

 男尊女卑の時代から 女性の地位が大きく社会的に変化していく時代でもあった。幼い頃から家父長に従い、嫁いでは夫と姑に従った。 ところが息子が嫁をもらえば 戦後の新しい教育を受けた嫁に気を使うことになった。

              

 核家族化が進み 親と同居しない娘や息子夫婦も増えて行った。お互い別居の気安さも手に入れたが 団塊世代の母親たちのみが 嫁に気遣うという女性の新たな歴史の流れを 自ら味わうことになっていたのである。
            続きは次回に…


              

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