ゴールデンウイークは、近場の映画館へと出かけました。 「新所沢レッツシネパーク」で待ちに待った「テルマエロマエⅡ」が上映中でした。
「テルマエ・ロマエⅡ」は古代ローマの浴場設計技師が現代の日本へタイムスリップするヤマザキマリの人気コミックを実写映画化した『テルマエ・ロマエ』の続編です。
新たな浴場建設を命じられアイデアに息詰まったルシウスが、再度日本と古代ローマを行き交うさまを描いたもので、主演の阿部寛や上戸彩、市村正親ら主要キャストが続投し、ブルガリアに実物大のコロッセオを建設するなど大規模なロケを敢行。帝国を揺るがす危機的状況を、日本の風呂文化によって救おうとルシウスが奮闘し、頑張るのですが・・・。
さてこの映画ですが、話題が盛りだくさん。 まず映画の制作にあたり「第1回 国民的平たい顔コンテスト」も開催。60歳以上の男性で「味わいのある日本人顔をされた方」を募集。グランプリ受賞者には、映画「テルマエ・ロマエII」への出演権と賞金10万円を贈呈したとのこと。
そういえば 田舎の竹林の桶風呂で登場した「ヘイヘイホウ」のあのおじさんはどう見てもずぶの素人と思って見ていたら、さにあらず「イカ八郎」というわき役の常連でした。 では「コンテストのグランプリ受賞者はどこに?」結局見つかりませんでしたね。
次いで、ブルガリアに実物大のコロッセオをオープンセットとして建設し撮影されたため、前作のローマ・チネチッタ撮影を凌ぐ壮大なスケールの映像となりました。加えてブルガリアで雇ったエキストラは5千人以上。 最近は映画もVFXが多いのですが、これは実写、VFX/SFXについては後述します。上戸が扮(ふん)する漫画家志望の女性・真実はラテン語と東北なまりを使いこなさねばならず、楽しいばかりの撮影でもなかったのだとか、さもありなん「古代ラテン語」なんて、そう簡単じゃないのです。
前置きが長すぎますね。 映画のあらすじは次の通りです。
あらすじ:繁栄を極める古代ローマ帝国。浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は斬新なテルマエ(浴場)を作ったことで一躍人気者となっていた。しかしコロッセオに剣闘士の傷を癒すテルマエ建設を命じられ、壁にぶち当たってもいた。そして再び現代日本へとタイムスリップし、お風呂専門雑誌のライターに転向していた真実(上戸彩)と久しぶりの再会を果たす。
平たい顔族(日本人)の協力を得て、ルシウスはまたしても斬新なテルマエを作る。そんな中、テルマエによって帝国の平和を保とうとしていた皇帝ハドリアヌスと武力によって領土拡大を狙う元老院が対立。ローマ帝国は国家を二分する状況に陥っていた。果たしてルシウスは、日本の風呂文化によって、この危機を救うことができるのか―!?
ルシウスは壁にぶち当たったり、アイデアに困ると一瞬にして日本の風呂文化へタイムスリップします。 実に安易でお手軽な時空間移動の連続。移動先の現代日本で見聞した風呂文化をパクりまくって、ローマのテルマエ文化に融合させます。
あきれて笑ってしまうほど(事実あきれるほど笑うのですが)安直で、節操のないパクリの連続。 タイムスリップし、風呂文化の模倣と実践が 息をつかせぬスピードで繰り広げられます。今回もやたらコマ運びが早く話に無駄がないのです。この物語の根幹である「タイムスリップ現象」はもはや特別なものでもなんでもない、呆れてしまうほどです。でも嫌な感じがしないのは、原作がコミックなので、当り前なのですねえ これは。
あまり深く考えずに、映画のキャッチコピーにもあるSFX(S:.すごいF:.風呂X:.エクセレント超大作)と思って、心から気楽に楽しむのがこの映画の鑑賞法です。 多くの映画評論がそンな風に言っていましたが、まったくその通りです。
わき役陣がまた泣かせます。曙や琴欧洲ら現役、元力士も出演。他にはNHK朝の連ドラ「ごちそうさん」で、「イケズ」という言葉を一躍全国区にのし上げた、あの「意地悪な浪速の小姑」和枝役のキムラ緑子がヒロインの母親役でさりげなく登場。 続いて草津のラーメン屋のおやじ役で白木 みのる、それから混浴シーンでは松島トモ子。多彩な顔ぶれがそろっています。
白木みのるを見たときには思わず「えっ!まだ生きていたのか?」と口走ったほどの衝撃。 少し失礼ながらこの役者さん、1934年5月生れで、80歳だったのですね。(撮影時は満79歳)
われわれ世代なら、大阪・朝日放送の『スチャラカ社員』の給仕役あるいは『てなもんや三度笠』の珍念役で「懐かしさと底知れぬ親しみ」を共有できるのですが、以下 あまりご存じない方のために、
白木みのるは1934年生まれ、島根県出身の役者さんで、愛称は「ベイビー」。身長約140cm。 23歳の時、吉本興業にスカウトされ「白木みのる」の芸名を自ら考案。1959年、ミヤコ蝶々の『あっぱれ蝶助』(関西テレビ)のレギュラーとなり、1961年、大阪・朝日放送の『スチャラカ社員』に給仕役で出演、人気を博す。
これを機にミヤコ蝶々の押しかけ弟子となる(日向企画所属、マネジメントは吉本興業)。1960年代を代表するテレビコメディー『てなもんや三度笠』に珍念役で出演し、時に子役と誤解されつつも、藤田まこと・財津一郎らと絶妙な掛け合いを展開し、お茶の間の人気を集めた。しかしNHKからは「白木が出ると視聴者に不快感を与える」との理由で長らく出演を許されなかったため、腹を立てた白木は受信料の支払いを拒否した他、NHKが一切見られないよう電器屋を呼んで自宅のテレビのチャンネルを削らせたという硬骨漢。
混浴の入浴シーンでは松島トモ子(1945年7月生まれ)、が熊と入浴し、噛まれて「痛いよ」というシーンがあります。 さりげない一言ですが、これはご本人の不幸を逆手に取ったパロディです。 松島トモ子は満州国奉天生まれの日本の歌手、女優。
1945年生まれながら今なおデビュー当時からの雰囲気を維持しているユニークな、タレントさんです。
1986年には日本テレビ『TIME21』の撮影でケニアを訪れて、10日の間にライオンとヒョウに立て続けに2度襲われ、帰国後にギブス姿で記者会見して話題になった。 ヒョウに襲われた後も撮影を続けて、2月17日に帰国、コルセットをつけて記者会見に臨み「それでも動物が好き」とコメントした。このときに撮影された映像は3月31日に「それでも私はライオンが好き」と題して『TIME21』で放送された。
1月28日にジョイ・アダムソン(『野生のエルザ』の作者)の夫であるジョージ・アダムソンと共にナイロビのコラ動物保護区で人に慣れた野生のライオンの群れと接触し子ライオンと戯れていたところ、ジョージが松島とライオン達から目を離した隙にその子ライオンの母親に襲われ、首や太腿に全治10日の怪我を負う(目を離していたジョージは耳が遠く助けに行くのが遅れた)。その際にジョージにより松島は助けられている。
治療後再び別の動物保護区を訪れ、万全の態勢でロケに挑むが、10日後の2月7日に保護区のスタッフの男性と共にこの保護区で飼育されているヒョウを見に、周りを高い柵で囲われた施設に行った。施設の外に出たところ、その柵を跳び越えて中にいた雌ヒョウに襲われ首に噛み付かれ持ち上げられた。隣にいたこのヒョウの飼い主の男性が、松島と親しくしているように見えたためヒョウが嫉妬したと考えられている。
この後、松島は救助隊に救急ヘリを要求したが、夜間の飛行は危険であるとして拒否されたため朝まで止血しながら耐え、その後、朝になり救急ヘリが到着し病院に運ばれた。
映画では漫画チックに熊と戯れていましたが、実際にはこの人 大変な目に遭っていたのですよ。
この作品は 他にも話題はあるのですが、私は なぜか戦闘士役の元横綱「曙」の役に徹した演技が奇妙に記憶に残りました。 すっかり役者さんでした。 「痛くない」とたった一言でおどけた、ほんの1シーン登場の琴欧州とは異なり、曙はしっかり演技していましたね。 それがどこか可哀想に見えたのは私だけでしょうか? ちょっとだけホッとしましたが、少し寂しくも感じました。
2012年「テルマエ・ロマエ」は、興行収入59.8億円になりました。(Gooニュース2014年5月2日より)邦画で大台を突破したのは、2010年の「THE LAST MESSAGE 海猿」以来の快挙。さらに、世界20カ国以上からの公開オファーが殺到し、「テルマエ現象」は日本だけでなく海を渡ることになったのです。
前作は台湾でも2週連続1位、興収8800万円のヒットを記録しました。「Ⅱ」では上映規模を約2倍に拡大。台湾にある劇場約100館中42館で上映されています。映画好きの国・台湾では洋画大作でも50館ほどが相場で、まさにハリウッド級の銀幕ジャックなのだとか。日本びいきの台湾とはいえこれは驚きですが、昨年この時期に訪れたせいもあって、この時代に日本人と笑いを共有したい台湾人の気持ちが手に取るように理解できるのです。
SFX(エスエフエックス)とは特殊撮影(特撮)を意味する英語 Special Effects の略語で、フィルム、ビデオ映像に対して美術、光学処理などにより特殊な視覚効果を施し、通常ではあり得ない映像を作り出す技術をいい、特殊効果とも呼ばれる。古くは活動写真の時代から「トリック撮影」と呼ばれ、「特殊効果」や「特撮」と呼ばれていたが、映画評論家・中子真治著『SFX映画の世界 CINEMATIC ILLUSION』(1983年)のタイトルに用いられて以降、一般に広く使われるようになった。1980年代以降はコンピュータグラフィックスなど、映像を後から加工する技術が生まれ、それらはSFXに対してVFX(Visual Effects, 視覚効果)と呼ばれ、映画「三丁目の夕日」で登場する昭和30年代の東京の懐かしい電車通りなどが、それにあたる。CGで描かれた映像が画面上であたかもセット撮影でもされたように登場する。
映画業界ではSFXとVFXは別々のものとしてはっきりと区別する傾向が強いが、一般には浸透しておらず混同されている。
注)文中 青文字はフリー百科 「ウイキペディア」から抜粋したものです。
映画のスチール写真の著作権は「テルマエロマエ制作委員会」のものです。
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