相場三昧 マーケットウォーカー

株・商品・FXマーケットに立ち寄る
SOUL, SMOOTH JAZZを愛するトレーダー

 

科学的投資術 9

2012-03-21 13:51:55 | スクリーニング
銘柄選択の手順


エビデンスを組み合わせて手順にする
「割安性」「財務」「収益性」の3つの視点からファクターをチェックし、銘柄
を絞り込んでいきます。そして、業績予想修正など、いくつかの点をチェック
して、採集的な決断を下します。

中でも最も重要なのは割安性のチェックで、EBIでは割安が銘柄選択の大前提と
なっています。目安となる数値は次の通りです。
・PER(株価/EPS)<15 
・PCFR(株価/1株あたり営業キャッシュフロー)<12
・EV/EBIT(企業買収価値が何年分のキャッシュフローにあたるかで投資効率
      を測るもので、代表的な買収指標)<8

財務はRODでチェックする
株式資本比率や負債比率はアテにならないし、株価リターンとの相関も弱い
・ROD(経常利益/有利子負債)>0.3
ただし、財務ファクターはリターン相関が弱いのであまり重要視しません

収益性と収益の質を見る
具体的には、ROAまたはROICを見ます。
・ROA(純利益/総資産)>7%、ROIC(営業利益×0.58/投下資本)>12%
・営業利益率>15%
・アクルーアル<0
*企業収益=キャッシュフロー+アクルーアル
アクルーアルの多い企業は要注意です。アクルーアルの多い企業の売上高、
利益、売掛債権、棚卸債券、買掛債券などの経年変化を見ると、アクルーアル
が多い年には、売掛債権、棚卸債券が急増しますが、売上や利益の鈍化は
1年遅れて発生しています。何らかの会計上の操作が行われている可能性が
あります。もちろんアクルーアルの多い企業がすべて操作を行っているという
わけではありません。業態の変化により必然的に増える場合もあります。

低アクルーアル銘柄はリターンがいい!
アクルーアルの多い企業ほどその後の業績が下方修正される場合が多く、
少ない企業は上方修正される場合が多くなっています。日本株の場合
業績修正が出る1月以降にこの傾向が顕著になることがあきらかになっている

Janet Jackson: All For You (Official music Video)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

科学的投資術 8

2012-03-20 09:31:59 | スクリーニング
認知上のバイアスから抜け出すための「EBI」


行動ファイナンスの視点からの結論
大部分の投資家が市場平均を上回るリターンを上げられない最大の理由は
個人的な経験や楽観的な予測に基づき、認知上のバイアスのかかった投資
行動をとるからだ。そして、その認知上のバイアスから抜け出すのは、
非常に困難だ。

認知上のバイアスに左右されないための医療が「EBM」
医学においては、今まで理論や経験から当然正しいと信じられていたことが、
化学的な検証により、正しくないということが判明することは珍しくあり
ません。ですから、誤信の原因となる認知上のバイアスから逃れるために、
化学的な検証結果を利用する方法が整備されています。
例えば、医薬品は理論や経験だけでは認可されず化学的な治験が必要です。
またサプリメントも同様に、理論通りの効果が得られないことがしばしば
実証されています。例えば、βカロテンやビタミンEはその抗酸化作用から
健康に良いだろうと想像されていましたが、ランダム化比較試験では、β
カロテンを飲んだグループの死亡率は飲まないグループより高く、ビタミンE
を飲んだグループの死亡率は飲まないグループと変わらなかったという結果
でした。ですから医師はβカロテンやビタミンEのサプリを特に勧めたりしま
せん。このような科学的に検証されたエビデンスに基づいて医療を行うことを
EBM(Evidence-Based Medicine)と言います。

「EBM」の基本は確率でものを考えること
今日ではEBMは医学のスタンダードとなってます。おかげで研修医でさえ
「この状態の患者を薬剤で治療しなかった場合、5年以内に心筋梗塞になる
確率は何%で、死亡する確率は何%というデータがある」「治療を行えば、
それぞれリスクを何%減らせる」ということを知っています。
しかし、多くの人は、「私の父は高血圧を放置したけど95歳まで長生きした。
だから私も薬を飲まない」「私のおじさんは、血圧はまったく正常だったけど
去年心筋梗塞で死んだ。だから血圧なんて関係ないさ」などと言います。
多くの人は、統計学的事実を理解できず身近な例でしか、ものを考えられない。

投資にもエビデンスを
同じことが株式投資にも当てはまるのではないでしょうか?
多くの投資家は統計学的事実を理解できず、身近な例でしかものを考えて
いません。それに対してエビデンスを活用すれば、投資を始めたばかりの
個人投資家でも、認知上のバイアスに囚われることなく、市場に勝ち、プロ
顔負けのパフォーマンスを達成できる可能性があります。

エビデンスをもとに銘柄を選択する方法 名付けて

EBI(Evidence-Based Investment)

ここで「株式投資にエビデンスなんてあるの?」と疑問に思う方がいるかも
しれません。もちろん、あります。
ただし、注意が必要なのが、統計的な調査がすべてエビデンスとは限らない
ことです。短期間の検証で得られた結果はエビデンスではありません。
ある市場・時期だけに特有な相関関係はなるべく排除し、多くの市場・時期に
おいて見出される普遍的な相関関係だけが、エビデンスと呼べます。

私は、過去の各種ファクターとリターンとの関係を解析した統計学的事実から
エビデンスに相応しいものだけを捜しだしました。
各ファクターの有効性は、人間の根源的な性癖に基づいているので、過去から
現在までほぼ一貫して持続的であり、おそらく将来も継続するものと思います。

人間は個人的経験を重視しがちですが、長期的にはエビデンスは個人的経験に
勝ります。よほどの上級者は自分で銘柄を選んでもいいと思いますが、その
ほとんどは自信過剰バイアスで、思い込みであることは、過去を振り返れば
よく分かるのではないでしょうか?



Soul Ballet The Cool Down
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

科学的投資術 7

2012-03-20 08:44:50 | スクリーニング
投資家が市場に勝てない本当の理由


認知上のバイアスからはプロも逃げられない
前回で見たように人間は、様々な認知上のバイアスに囚われています。
こうしたバイアスによって投資家は「合理的でない」判断を下すことになる
さらに、プロでさえヒューリスティックによる判断ミスを起こします。

情報過多による自信過剰がもたらすプロの失敗
自分達の楽観的な予想に対し自信過剰になれば、将来は収益が伸びると
いう予想のもとで、現時点でPERが高くても、そのPERは成長性で正当化
できると考え、高PER銘柄を過剰に買い進めがちです。
ファンドマネージャーはチームで結論を出すことが多いためリスキーシフト
が起こりやすいことも、この傾向を加速させます。

バイアスに囚われた人はバイアスに気づかない
例えば、株価を予想する際、あらかじめ期間を設定しないことにより、
テクニカル分析やファンダメンタル分析などで上昇すると信じていた銘柄
が一度でもそう考えた時点での株価を超えると、たとえその後株価が下げ
ても「やはり私の分析どおりだ」と記憶されるのです。
人間は、先入観、思い込み、信念と合致するデータだけを過大評価し、
仮説に合致する情報だけを捜そうとする傾向を持っています。したがって
自分の信じている投資法については、上手くいった例だけが記憶に残り
やすく、失敗の例は忘れ去られてしまう、あるいは都合がいい言い訳や
解釈が与えられる傾向があります。

これらが、テクニカル分析やファンダメンタル分析などが
有効に感じられる大きな原因と言えるでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

科学的投資術 6

2012-03-19 13:56:23 | スクリーニング
先が長いので少し駆け足で行きます。

行動ファイナンスとEBI

アノマリーはなぜ存在するのか?
実際の市場は、効率的市場仮説の理論通りには動いていません。こういう
合理的に説明できない市場の動きが「アノマリー」です。
では、なぜアノマリーが存在するのでしょうか、その理由を、投資家の感情や
判断のバイアスという視点から解き明かしたのが「行動ファイナンス」です。
プロの成績がなぜ悪いか、行動ファイナンスは非常に明快に説明しています。
そして、そこから市場平均に勝つための投資のヒントが見えてきます

恣意的な値が判断に影響する「アンカリング」
アンカリングは「保守的バイアス」と結びつきます
例えば「優良企業はいい企業であり、投資対象として好ましい」という先入観
がアンカーとなって、その企業に関する良い情報と悪い情報が混在している
場合、良い情報だけを無意識に選別してしまう

共通性に囚われる「代表性バイアス」
2つの類似した事象がある場合、その類似性に注目して、確率など考慮せずに、
その事象がその集合に属しているかのように判断してしまう傾向

接触頻度に惑わされる「利用可能性のバイアス」
思いつきやすいことに関しては発生頻度が高く、思いつきにくいことについては
発生頻度を低く判断する傾向のこと
例えば、狂牛病とタバコ 一時狂牛病を恐れてタバコを1日40本吸っている人が
牛肉を食べなくなったなど、科学的には牛肉を食べて狂牛病に感染するよりも
毎日の喫煙の方がよっぽど死亡率は高くなります。明らかな判断ミスです。
株式投資の例だと、営業利益、経常益、純利益などの会計情報に比べて、
キャッシュフローやアクルーアルの方が株価リターンに対する有効性が一般的に
高いのも、後者の情報の方が投資家に利用されにくいので、株価に織り込まれる
のに時間が掛かるためだと思われます。

「自信過剰」と「楽観主義」
株式投資など予見現実性の低い分野では、情報の数が増えるほど精度が上がる
ことはなく、自ら下した判断に自信過剰になるだけであるとDremanは指摘。
彼はこれを「専門家の錯誤」と呼んでいます。

痛みを嫌う「損失回避の傾向」
人間には、一般的に利益よりも損失のほうを重く受け止める傾向が見られ、
「損失の2~3倍の利益が見込めるのでなければ、50%ずつ確率で利益と損失が
生じる賭けには参加しない」とする実験結果が報告されています。

このように、人間は様々な認知上のバイアスに囚われています。こうした
バイアスによって投資家は「合理的でない」判断を下すことになるのです。

では、具体的に投資家がどのような局面で、どのような判断ミスを犯して
しまうのか。



【PV】ALIVE feat. DESTINO - KOWICHI from enmaku
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

科学的投資術 5

2012-03-16 12:57:59 | スクリーニング
パッシブ運用の真実


伝統的ファイナンスの結論たるパッシブ運用

ここまで見てきた結果、テクニカル分析は「化学的で普遍的であるか」という
点から論外だと分かりました。
一方、極めて少数の投資家はファンダメンタル分析で利益を上げていますが、
プロを含めて大多数の投資家はファンダメンタル分析をしても「市場の平均」
に勝つ事が出来ないことも判明しました。
プロよりも知識や情報の点で格段に劣っている私やあなたが、利益を上げられ
るという根拠は何もありません。
そこで、伝統的ファイナンスの学者が薦めているのが、インデックスに投資
するパッシブ運用です。

効率的市場仮説の限界がインデックスに勝つ鍵

しかしながら、私はインデックス・ファンドやETFに投資する気になれません。
なぜなら、パッシブ運用の前提となる「効率的市場仮説」には、事実にそぐわ
ない点があるからです。そして、なぜそうなるかを考えていくとインデックス
よりはるかに高いリターンが望める投資法に辿り着きます。
それは具体的にどういうことなのか?



Veronica ft Fat Joe - Rise (HD-Full version)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする