新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課5「トップとの近さ、全国市長会随行(その1)」編

●5トップとの近さ、全国市長会随行(その1)

 燕市企画財政課長に出向赴任して一月ほど経過した頃、市長秘書から6月上旬の市長の上京に随行して欲しいとの連絡が来た。定例の全国市長会と市のイベント施策関連事業者との面談等で一泊二日の予定。上越新幹線の燕三条駅から早朝の便に市長と共に乗り込み、午前中から都内での視察等を始めとする行程に随行する。
 市長の指示というので是非もなく了解したが、随行は秘書の本来業務ではないかと部長に話すと、「随行員を都度変えて出張するのが市長流」だという。業務上の協議以外に接点を持ちにくい秘書以外の職員から市長か都度名指しして随行させるのだという。このたびは、県庁から出向してきた新参者の私に白羽の矢が立ったといいわけだ。市役所の業務には馴染んだか、何か言いたいことはないかなどと所感を聞きたいのかもしれない。
 ところが、日取りがあまり上手くない。私が初めて経験する市議会である6月議会の、本会議に先立って行われる全員協議会という会合の前々日と前日の旅程なのだ。全員協議会とは県職員としては聞き慣れないもので、議会に提案される予算議案等について、市議全員と課長以上の執行部が向き合い、丁々発止で質疑応答する会議なのだという。予算議案は当然に有るので企画財政課長は議案と関連資料の説明もすれば質疑に応じることも多いだろう。事前通告無しの質疑に対応するためには幅広に準備や予習をしなければならない。そのために貴重となる直前の二日間が消えてしまうのだ。
 それでもアウェイである出向先で弱気を見せるわけには行かない。「議会直前で日が悪いよな、今回は他の人に交替してもらうか」との部長の声がけに、内心の思いとは裏腹に「大丈夫ですよ。前任者である部長もいらっしゃるので」と軽口含みで気丈に答えてみせたのだ。
 考えようによっては貴重な出張である。県庁では、知事の随行などは財政課の地方交付税担当の調整員の時に一度きり、霞ヶ関で待ち合わせて総務省の幹部を知事と二人で回り歩いたことがあっただけだ。自治体職員が首長と一緒に首長格でなれば出入りできない場所へ赴けるのは大変希有なことなのだ。今までにない知見を得られるかも知れない。
 更に、旅程を見ると極めて過密だ。高速交通網で近くなったとはいえ、東京へはそんなに頻繁に行ける時間も予算もなく、せっかくの機会を最大限有意義なものとするために、市長の個別指示を中心に分刻みの工程となっている。企画財政を統括する立場としては見識は幅広いほど良い。私も自分で県外視察などを企画する時は、交通機関の乗り継ぎや視察先の行き来において走る前提で時間組みするなど、時間を余すこと無く見聞を広める工夫を凝らすものたが(過去の県外視察の回顧録はこちら)、市長も時間の"だぶつき"を好まないらしい。僭越ながら親近感すら感じながら、いよいよ出張の当日を迎えた。

(「燕市企画財政課5「トップとの近さ、全国市長会随行(その1)」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課6「トップとの近さ、全国市長会随行(その2)」編」に続きます。)
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