●自由な生活時間の下でのバイト三昧(その4)
雪解けの春以降にできるだけ早く愛車を得るための倹約生活としては、カラオケスナックのバイトは好都合だった。夕方に店入りすると開店準備中に賄い飯を出して貰った。店はセット利用金により惣菜をバイキング形式で提供するスタイルだったのだが、その一部を副菜にして炊きたての白米を頂くというものだった。
惣菜は雇われた近所の中年女性が一人で毎日8種類程度を大皿に用意してカラオケステージ脇のカウンターに並べており、客は都度自分で欲しいだけ自分の皿に持って行く。カラオケがメインの客層なので、料理そのものは店も客も重要視しておらず、田舎の日常的な惣菜といったものや既製の乾き物などが定例であった。
それでも、バイトの日は夕食代が浮いたし、客が残したミニボトルのウイスキーなどを土産にもらえたりしたので、50歳を過ぎた今よりも酒量の多かった二十歳前後の私には有り難かった。当時は酒税の関係でウイスキーはやたらと高かった。ホワイトホースやカティサークといった定番が何故か一律3,500円と高価だったのだ。
カラオケスナックが混み合う週末などになると、応援と称して「サラリーマンから水商売に転落したような怪しげな中年男性」や、いわゆるドサ回りタレントでママが「芸人」と呼ぶ演歌歌手崩れのギラギラした若い男性が盛り上げ役として呼ばれた。彼らは私が大学生と知ると、からかい半分に、有ること無いことない交ぜにして話してくれた。
大学生を相手に虚勢を張っているかのように「盛った話」も多かったと思うが、会話の随所から垣間見える水商売や夜の世界の話は非常に興味深いものだった。特にカタギで無い者とのいざこざやもめ事、不条理さとの折り合いの付け方などは、社会ずれしていない私には大いに勉強となるものだった。
"より幅広く多様に"と考えたバイト三昧の企ては、愛車の事故による廃車を契機に、資金づくりの手っ取り早さから専ら夜の水商売になってしまったのであるが、昼間の事務や販売など表の仕事では決して得られないような、ここでつまびらかにはできないのであるが、"闇の近くに棲む人達"の生き様などを知り得て学び多かったのだ。
惣菜は雇われた近所の中年女性が一人で毎日8種類程度を大皿に用意してカラオケステージ脇のカウンターに並べており、客は都度自分で欲しいだけ自分の皿に持って行く。カラオケがメインの客層なので、料理そのものは店も客も重要視しておらず、田舎の日常的な惣菜といったものや既製の乾き物などが定例であった。
それでも、バイトの日は夕食代が浮いたし、客が残したミニボトルのウイスキーなどを土産にもらえたりしたので、50歳を過ぎた今よりも酒量の多かった二十歳前後の私には有り難かった。当時は酒税の関係でウイスキーはやたらと高かった。ホワイトホースやカティサークといった定番が何故か一律3,500円と高価だったのだ。
カラオケスナックが混み合う週末などになると、応援と称して「サラリーマンから水商売に転落したような怪しげな中年男性」や、いわゆるドサ回りタレントでママが「芸人」と呼ぶ演歌歌手崩れのギラギラした若い男性が盛り上げ役として呼ばれた。彼らは私が大学生と知ると、からかい半分に、有ること無いことない交ぜにして話してくれた。
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(「新潟独り暮らし時代16「自由な生活時間の下でのバイト三昧(その4)」」終わり。仕事遍歴を少し離れた独り暮らし時代の思い出話「新潟独り暮らし時代17「自由な生活時間の下でのバイト三昧(その5・番外編)」」に続きます。)
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