野球の経験無いのに、140キロのボールを打っちゃう
ガラスのハートさんのポスターを眺めながら、続きを考えていたら
ドキドキしちゃいました
では嵐の『Snowflake』をBGMにどうぞ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『Snowflake』 (21)
悟の個展は新人としては異例の注目を浴びた。
月刊アートの連載を読んで興味を持った人たちは多く、
また女性週刊誌で悟自身に興味を持ったと思われる女性たちも大勢訪れた。
悟は戸惑いを隠せなかったが、それでも女性たちに握手を求められれば応じていた。
「大町さん、お花が届いていますよ」
受付の女の子に声をかけられた。
受付のテーブルの上に、フリージアをメインに使ったアレンジメントが置かれている。
congratulationの文字がプリントされた小さなメッセージカードが添えられているけれど名前はない。
「いい香り、フリージアね。こんな可愛いお祝いを贈ってくださったのは誰?」
美冬が聞いた。
「名前ないからわからないよ」
そう答えたけれど、悟にはわかっていた。
亡くなった母が大好きだった花を知っているのは夏葉だけだ。
帰省した時はいつも二人でフリージアの花束を持って墓参りに行った。
彼女は今、幸せだろうか。
フリージアの香りと少しの後悔とが悟に故郷の風景を思い出させた。
大勢の人々に囲まれ、晴れの日を迎えながらもなぜか寂しさを拭えない。
にこやかに来場者の応対をしている美冬の手をとって、二人きりになれる所へ行きたかった。
もう一度愛情を確かめたくてたまらなくなった。
個展は盛況のうちに終わり、販売予定の絵はすべて売れ、新たな絵の制作依頼もあった。
テレビに出演する話も来たが、悟はかたくなに断った。
出来れば生活していけるだけの絵を描いて、美冬と静かに過ごしたいと思う。
いつの間にか絵を描くことと美冬を愛することが、悟の中で混ざり合ってひとつになり
切り離せないものになっている。
悟は個展の後も制作意欲が衰えることはなく、今までの人生の中で一番充実した日々を過ごしていた。
しかし、悟の望む穏やかな日々は長くは続かなかった。
年の瀬も押し詰まったある日、ギャラリーFREE STYLEは重い空気に包まれていた。
テーブルの上に置かれた週刊誌の表紙を美冬の父、功一が苦々しい面持ちでにらんでいる。
「こんなことを書かれてどうするつもりだ?」
「どうもしない。事実じゃないんだから」
「当たり前だ。でも私は聞かれれば説明しなきゃならないんだよ」
美冬はなにも言えなかった。
週刊誌には美冬が美術界では有名な画商の娘で、画家としての成功をバックアップすることを条件に、
若くて容姿に恵まれた悟を自分の好きにしているといった下劣な内容だった。
実名は伏せられていたが、個展会場の写真や二人が寄り添ってマンションから
出てくる写真が掲載されていた。
悔しくてたまらなかったけれど、どう対処すればいいのかわからない。
「社長、出版社に抗議しましょう」
佐和野が言った。
「そうだな。二人はそんな関係ではないと」
「待って。私達は真剣なの」
「二人が純粋かどうかなんてどうやって証明するんだ?大町悟にだって損得勘定がまるでないと言い切れるか?」
「悟君はそんな人じゃない」
「とにかく今は会うな。大きな商談を幾つか抱えているんだ。ゴシップは困る。
それから大町悟は取材にきた記者に殴りかかったというのは本当か?」
「違う。それはむこうが先に手を出したって」
「美冬さんも一緒にいたんですか?」
「いいえ・・・」
功一は意味もなく歩き回ると、佐和野にむかって言った。
「争っても難しいな。他にも写真を撮られているだろうし、下手すれば余計なことをまた書かれる」
「そうですね。まずは弁護士さんに相談しないと」
「美冬、聞きなさい。私の娘がここに書かれているような人間じゃないことはわかっている。
でも、どうするか決まるまでは大町悟には会うな。彼のほうは佐和野に任せよう」
「大丈夫。あまり心配しないで」
佐和野に言われて、美冬は抑えていた涙を止められなくなった。
---------つづく--------
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あんまりですか?
だってドラマですもん
ではまた
ガラスのハートさんのポスターを眺めながら、続きを考えていたら
ドキドキしちゃいました
では嵐の『Snowflake』をBGMにどうぞ。
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妄想ドラマ 『Snowflake』 (21)
悟の個展は新人としては異例の注目を浴びた。
月刊アートの連載を読んで興味を持った人たちは多く、
また女性週刊誌で悟自身に興味を持ったと思われる女性たちも大勢訪れた。
悟は戸惑いを隠せなかったが、それでも女性たちに握手を求められれば応じていた。
「大町さん、お花が届いていますよ」
受付の女の子に声をかけられた。
受付のテーブルの上に、フリージアをメインに使ったアレンジメントが置かれている。
congratulationの文字がプリントされた小さなメッセージカードが添えられているけれど名前はない。
「いい香り、フリージアね。こんな可愛いお祝いを贈ってくださったのは誰?」
美冬が聞いた。
「名前ないからわからないよ」
そう答えたけれど、悟にはわかっていた。
亡くなった母が大好きだった花を知っているのは夏葉だけだ。
帰省した時はいつも二人でフリージアの花束を持って墓参りに行った。
彼女は今、幸せだろうか。
フリージアの香りと少しの後悔とが悟に故郷の風景を思い出させた。
大勢の人々に囲まれ、晴れの日を迎えながらもなぜか寂しさを拭えない。
にこやかに来場者の応対をしている美冬の手をとって、二人きりになれる所へ行きたかった。
もう一度愛情を確かめたくてたまらなくなった。
個展は盛況のうちに終わり、販売予定の絵はすべて売れ、新たな絵の制作依頼もあった。
テレビに出演する話も来たが、悟はかたくなに断った。
出来れば生活していけるだけの絵を描いて、美冬と静かに過ごしたいと思う。
いつの間にか絵を描くことと美冬を愛することが、悟の中で混ざり合ってひとつになり
切り離せないものになっている。
悟は個展の後も制作意欲が衰えることはなく、今までの人生の中で一番充実した日々を過ごしていた。
しかし、悟の望む穏やかな日々は長くは続かなかった。
年の瀬も押し詰まったある日、ギャラリーFREE STYLEは重い空気に包まれていた。
テーブルの上に置かれた週刊誌の表紙を美冬の父、功一が苦々しい面持ちでにらんでいる。
「こんなことを書かれてどうするつもりだ?」
「どうもしない。事実じゃないんだから」
「当たり前だ。でも私は聞かれれば説明しなきゃならないんだよ」
美冬はなにも言えなかった。
週刊誌には美冬が美術界では有名な画商の娘で、画家としての成功をバックアップすることを条件に、
若くて容姿に恵まれた悟を自分の好きにしているといった下劣な内容だった。
実名は伏せられていたが、個展会場の写真や二人が寄り添ってマンションから
出てくる写真が掲載されていた。
悔しくてたまらなかったけれど、どう対処すればいいのかわからない。
「社長、出版社に抗議しましょう」
佐和野が言った。
「そうだな。二人はそんな関係ではないと」
「待って。私達は真剣なの」
「二人が純粋かどうかなんてどうやって証明するんだ?大町悟にだって損得勘定がまるでないと言い切れるか?」
「悟君はそんな人じゃない」
「とにかく今は会うな。大きな商談を幾つか抱えているんだ。ゴシップは困る。
それから大町悟は取材にきた記者に殴りかかったというのは本当か?」
「違う。それはむこうが先に手を出したって」
「美冬さんも一緒にいたんですか?」
「いいえ・・・」
功一は意味もなく歩き回ると、佐和野にむかって言った。
「争っても難しいな。他にも写真を撮られているだろうし、下手すれば余計なことをまた書かれる」
「そうですね。まずは弁護士さんに相談しないと」
「美冬、聞きなさい。私の娘がここに書かれているような人間じゃないことはわかっている。
でも、どうするか決まるまでは大町悟には会うな。彼のほうは佐和野に任せよう」
「大丈夫。あまり心配しないで」
佐和野に言われて、美冬は抑えていた涙を止められなくなった。
---------つづく--------
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あんまりですか?
だってドラマですもん
ではまた