冷たい雨が今、雪に変わる~
本当にそんな季節になりましたね。
嵐の『Snowflake』がジ~ンときます。
ではどうぞ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『Snowflake』 (23)
「何か最近疲れてる?」
「ううん、そんなことないよ」
美冬は笑って見せたけど、どこか不自然な笑顔だと自分でも思った。
悟の目を見ることが出来ない。
「さっきから全然食べてないよ。このパスタ大好きだったのに」
「お腹すいてないの」
そう言いわけしてほんの少し口元に運んだけれど、口に入れることはできなかった。
ここ数日、急に食べられないものが増えた。
「すみません、お冷ください」
以前は美味しそう、と感じた店内にただようピザの香ばしい匂いが吐き気をよんだ。
「ごめん。やっぱり疲れてるから今日は帰るね」
美冬は運ばれた水を飲むと立ち上がって、ハンカチで口を押さえた。
「出よう。先に外で待ってて」
悟は支払いを済ませ、料理にほとんど手をつけなかったことを詫びて外へ出た。
「どう?外の空気吸ったら少しは気分が良くなった?」
驚いて悟を見ると、悟は美冬の手を握って微笑んだ。
「隠してることがあるなら言って。打ち明けるなら今がチャンスだよ」
「そうね・・・」
それでもためらっている美冬に悟は言った。
「俺さ、ひょっとしたらパパになるのかなぁって思ったりして」
「いいの?」
悟の真意を確かめるようにじっと目を見た。
「もちろん」
新しい命を迎える喜びが悟の心にじわじわと満ちてきて、
それと同時に、なかなか言い出せずに不安な気持ちを抱えていた美冬が可哀そうで
ますます愛おしいと思う。
悟が美冬を引き寄せた時、街路樹の陰で何かが光った。
カメラのレンズだ。
数ヶ月前、悟となぐりあったカメラマンが、にやにや笑いながら近づいてきた。
「またお会いするなんて奇遇ですねぇ。いい写真が撮れましたよ」
「どういうつもりだ?」
「おっと、お互いのためになりませんから暴力は無しで」
「行こう」
悟は男を無視して美冬の肩を抱くと歩き始めた。
「面白い話を聞いたんですけどね。大町さんはしばらく海外に行かれるとか」
美冬が驚いて振り返った。
「どうせつまらない嫌がらせだ。美冬さん先に帰ってて」
悟はタクシーを拾い、美冬を安心させようと笑顔を見せた。
「どこにも行かないから大丈夫、今は自分の体のことを考えて」
「電話してね」
あたりに人通りがあることを確かめて、美冬はタクシーに乗った。
「なぜ俺たちに嫌がらせをする?今度は金でもゆするつもりか」
男はポケットからタバコを取り出すと火をつけ、自分が吐き出した煙を見ながら自嘲気味に言った。
「金も欲しいけどあんたが妬ましかったのもあるかな。若くて才能があって、付き合ってるのは金持ちの画商の娘。
画家としての将来が約束されたようなもんだ。そのうえ容姿端麗で世間が好きな不運な生い立ちときた。
なんだかイラつくんだよ」
「人を妬んで陥れたって、あんたが幸せになれるわけないだろ」
「まあね」
「それで俺が海外へ行くってのはなんのことだ?」
「彼女から聞いてないのかな?父親がふたりのこと反対してるって。それで美味しい話を用意して大町悟を追い払おうってことらしい」
「そんなこと出来るわけがない」
「どうかな。あんただって絵が売れなくなると困るでしょ。あの人は美術界では影の大物だからね」
男はたばこの火を靴でもみ消すと、ひとりごとのように言った。
「どうなるか楽しみだな」
-------つづく------
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あ~なんであんなことにしちゃったんだか・・・
22回の終わり方を後悔しました。
おかげで“行き詰って”3回くらい書き直しちゃった
私が行き詰ったら誰に電話していいの~?
来週中には最終回にたどりつきたいと思ってます。
それではまた
本当にそんな季節になりましたね。
嵐の『Snowflake』がジ~ンときます。
ではどうぞ。
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妄想ドラマ 『Snowflake』 (23)
「何か最近疲れてる?」
「ううん、そんなことないよ」
美冬は笑って見せたけど、どこか不自然な笑顔だと自分でも思った。
悟の目を見ることが出来ない。
「さっきから全然食べてないよ。このパスタ大好きだったのに」
「お腹すいてないの」
そう言いわけしてほんの少し口元に運んだけれど、口に入れることはできなかった。
ここ数日、急に食べられないものが増えた。
「すみません、お冷ください」
以前は美味しそう、と感じた店内にただようピザの香ばしい匂いが吐き気をよんだ。
「ごめん。やっぱり疲れてるから今日は帰るね」
美冬は運ばれた水を飲むと立ち上がって、ハンカチで口を押さえた。
「出よう。先に外で待ってて」
悟は支払いを済ませ、料理にほとんど手をつけなかったことを詫びて外へ出た。
「どう?外の空気吸ったら少しは気分が良くなった?」
驚いて悟を見ると、悟は美冬の手を握って微笑んだ。
「隠してることがあるなら言って。打ち明けるなら今がチャンスだよ」
「そうね・・・」
それでもためらっている美冬に悟は言った。
「俺さ、ひょっとしたらパパになるのかなぁって思ったりして」
「いいの?」
悟の真意を確かめるようにじっと目を見た。
「もちろん」
新しい命を迎える喜びが悟の心にじわじわと満ちてきて、
それと同時に、なかなか言い出せずに不安な気持ちを抱えていた美冬が可哀そうで
ますます愛おしいと思う。
悟が美冬を引き寄せた時、街路樹の陰で何かが光った。
カメラのレンズだ。
数ヶ月前、悟となぐりあったカメラマンが、にやにや笑いながら近づいてきた。
「またお会いするなんて奇遇ですねぇ。いい写真が撮れましたよ」
「どういうつもりだ?」
「おっと、お互いのためになりませんから暴力は無しで」
「行こう」
悟は男を無視して美冬の肩を抱くと歩き始めた。
「面白い話を聞いたんですけどね。大町さんはしばらく海外に行かれるとか」
美冬が驚いて振り返った。
「どうせつまらない嫌がらせだ。美冬さん先に帰ってて」
悟はタクシーを拾い、美冬を安心させようと笑顔を見せた。
「どこにも行かないから大丈夫、今は自分の体のことを考えて」
「電話してね」
あたりに人通りがあることを確かめて、美冬はタクシーに乗った。
「なぜ俺たちに嫌がらせをする?今度は金でもゆするつもりか」
男はポケットからタバコを取り出すと火をつけ、自分が吐き出した煙を見ながら自嘲気味に言った。
「金も欲しいけどあんたが妬ましかったのもあるかな。若くて才能があって、付き合ってるのは金持ちの画商の娘。
画家としての将来が約束されたようなもんだ。そのうえ容姿端麗で世間が好きな不運な生い立ちときた。
なんだかイラつくんだよ」
「人を妬んで陥れたって、あんたが幸せになれるわけないだろ」
「まあね」
「それで俺が海外へ行くってのはなんのことだ?」
「彼女から聞いてないのかな?父親がふたりのこと反対してるって。それで美味しい話を用意して大町悟を追い払おうってことらしい」
「そんなこと出来るわけがない」
「どうかな。あんただって絵が売れなくなると困るでしょ。あの人は美術界では影の大物だからね」
男はたばこの火を靴でもみ消すと、ひとりごとのように言った。
「どうなるか楽しみだな」
-------つづく------
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あ~なんであんなことにしちゃったんだか・・・
22回の終わり方を後悔しました。
おかげで“行き詰って”3回くらい書き直しちゃった
私が行き詰ったら誰に電話していいの~?
来週中には最終回にたどりつきたいと思ってます。
それではまた
またまた、驚きながら萌えっております。
悟君とのお別れは名残惜しいけど、そろそろ終わりにしなくちゃ。