皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

石破茂氏の「女性・女系天皇も排除せず」発言の謎

2024-08-06 20:57:00 | 皇室の話(3)
令和6年8月4日17:40、共同通信より配信の「女性・女系天皇も排除せず 石破氏、皇位継承策巡り」と題する記事がある。

-----引用開始-----
自民党の石破茂元幹事長は4日放送のインターネット番組で、安定的な皇位継承策を巡り「男系の女性天皇、女系の男性天皇の可能性を全部排除して議論するのはどうなのか」と言及した。
-----引用終了-----

安定的な皇位継承ということを考えるのであれば、女性・女系についても議論をするべきというのは当然のことであろう。

憲法第1条に「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と定められているのであるから、議論の上で、国民がどうしても男系男子でなければ認めないということであれば男系男子維持とすればよいし、女性・女系でも認めるということであれば、正統性に何ら問題のない女性・女系天皇を認めればよい話だろう。

こういうと男系派の人たちは、ここでいう「日本国民の総意」とは現在の国民を意味しているのではなく過去・現在・未来の国民の意味だとか言うのだろうけれども、過去・現在・未来を通じての統一体の意識といったものはあまりに観念論であろう。

筆者からすれば、石破茂氏の発言はごく当然のものであると思うのであるが、気になったのは以下の箇所である。
-----引用開始-----
 石破氏は、秋篠宮家の長男悠仁さままでの皇位継承の流れは「絶対に動かしてはいけない」と強調した上で、不測の事態に備えて考えるのが政治家の責任だとの認識を示した。
-----引用終了-----

「秋篠宮家の長男悠仁さままでの皇位継承の流れは「絶対に動かしてはいけない」」というのは、何なんだろう。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議の報告でも、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」という表現は出てきたが、それと同趣旨のようだ。

もちろん、継承ルールの変更を議論する際、いつから適用するかということは大きなポイントとなる。
その際、次期継承資格者が決定していて、当事者も世の中も、みんながそのつもりでいるというのであれば、次期継承資格者までは変更せず、その次から適用することにしようという話であれば理解はできる。

ここで、皇嗣という立場については、皇太子ほど確定的なものではないものの、立皇嗣の礼も行っていることだし、次は今の皇嗣殿下というところまでは前提にしようという言い方であれば、分からなくはない。

しかし、悠仁親王殿下まで確定させようとすることの意味は何なのだろう。

最近の報道では、佳子内親王殿下にも注目が集まっているようであるし、安定的な皇位継承策として女性・女系も認めた方がよいということであるならば、皇嗣殿下の次に佳子内親王殿下とすることを想定した議論というのも、十分にあり得るのではないのだろうか。

敢えて、佳子内親王殿下を想定という必要はなく、まずは皇嗣殿下まで確定、その次の世代については、それぞれどのような御予定でお育ちになったかを踏まえるとか何とか言えば、佳子内親王殿下を外して悠仁親王殿下にもっていくということも十分に可能だろう。

しかし、そういう過程を飛ばして、悠仁親王殿下までを先取りして確定させようとしている。

これって、どういうことなのだろう。

佳子内親王殿下の皇位継承もあり得るということだと困るということなのであろうか。
それは結局、何らかの形で、皇室サイドの意向をくみ取ったということを意味しているのだろうか。

あるいは、皇室サイドの意向は、悠仁親王殿下まで確定して欲しいということだと、忖度したということなのだろうか。

ここからは、筆者の妄想であるけれども、皇室サイドの意向というものが、やっぱりあったのではないかという気がするのである。

すなわち、
このままでは、皇位継承の安定的な確保は難しい。
そこで、対策はいろいろ考えられるが、取りあえず悠仁親王殿下までの流れは動かさないで欲しい。
それさえ守ってくれるなら、旧宮家養子でも、女性・女系でも、可能な対策を導入してもらって構わない。
というような。

皇室サイドの近視眼的身内主義とでも言えようか。

あまり考えたくはないことであるが、こう考えると、つじつまが合ってくる。


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