西京極 紫の館

サッカー観戦、映画や音楽鑑賞、読書などなど、
日々のなんやらかんやらを書いてみようかな、と♪

眠れる美女たち(上・下) スティーヴン・キング&オーウェン・キング/著 文藝春秋

2023年06月28日 06時19分44秒 | 西京極の本棚
     
【紹介文】
はじまりは小さな町ドゥーリングの女子刑務所だった。受刑者たちが眠りにつき、白い繭に覆われていく。女性だけが眠りに落ち、目覚めなくなるこの奇妙な現象は「オーロラ病」と名付けられ、やがて世界中に発生する。恐怖でパニックに陥る人々。しかし、病を恐れる様子もなく静観する“謎の女”がいた。キング親子が贈る、SFホラー巨編。(白石 朗:訳)

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆★★

【西京極の読後感想】
キングの次男で父と同じく小説家のオーウェンとの共作長編。過去の父キング作品同様、設定は面白い。老若関わりなく女性だけが発症する“眠り病”。それによって起こる男社会と女社会の分断。コロナ禍発生前の2017年に発表されたのだからある意味予言の書っぽくもある。読み進めていくといかに男だけの社会が暴力的で不寛容であるかを思い知らされます。(とはいえそれはアメリカ社会の事であって、我が国日本で同じ結果に至るかはかなり怪しいですが…)ラストへの展開は若干盛り上がりに欠け、納得しづらい点もありましたが、父キングのファンなら楽しめると思います。

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アサギロ-浅葱狼- 24~27巻(続刊) 作画/ヒラマツ・ミノル 小学館

2023年05月15日 22時26分34秒 | 西京極の本棚
 
24巻/西郷吉之助          25巻/沖田総司

 
26巻/桂小五郎           27巻/伊東甲子太郎

【紹介文】
時代の“最前線”の京で存在感を増す新選組。一方、江戸では動くべき時を待ち続け、あまりに待ち過ぎもはや出遅れたのではと感じて焦燥する男が一人……その男、伊東大蔵。後の名を伊東甲子太郎。かつて門下にいた藤堂平助を介しての新選組への誘いにどう動くか  !?そして、京では薩摩の西郷と坂本龍馬、国を揺らす出会いが!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ストーリー ☆☆☆☆★
  アイデア ☆☆☆☆★
   描写力 ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
2年に一度のペースで紹介を続けている『アサギロ』。24巻から25巻にかけては池田屋事件、それ続く26巻では禁門の変と七卿落ちと新選組にとっての大イベント目白押しの急展開。まさに時代の中心になっていく新選組と相反して主役である沖田総司の病状はどんどん進行し、時代の流れから取り残されていく…幕末維新好きには堪らないドラスティックなパートです。最新刊である27巻ではついに伊東甲子太郎とその一派も合流し、いよいよ終盤に向けた舞台設定が整ってきました!

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恋愛禁止  長江俊和/著  角川書店

2023年02月07日 21時36分15秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
瑞帆の前に現れた3人の男  。1人は、ある時期、彼女の世界の中心だった。だが、いつしか愛情は憎しみに変わり、口論の末、彼を衝動的に殺してしまう。発覚を恐れた瑞帆だったが、一向に殺人は露呈しない。そのことに戸惑う中、知人の紹介で知り合った男と交際を重ね、やがて子供を授かる。そしてもう1人は、純粋さの果てに歪な愛を向けてきた……。彼らは瑞帆に何をもたらしたのか。恋愛の“業を描き出す戦慄の長編!

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
長江俊和の過去作・禁止シリーズはいずれもラストの意外性が好きで読んだのだが、それに比べると本作は展開もラストも割とフツー。でも主人公・瑞帆の心情には共感出来る部分は多いし、追い込まれていく過程もさもありなんと思わせてくれる。それだけにラストが無難な着地なのが残念。次回作は是非びっくりするようなどんでん返しをヨロシク!

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震える天秤  染井為人/著  角川書店

2022年12月24日 22時41分24秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
高齢男性の運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、店員を轢き殺す大事故が発生。アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者の老人は認知症を疑われている。事故を取材するライターの俊藤律は、加害者が住んでいた奇妙な風習の残る村・埜ヶ谷村を訪ねるが……。「この村はおかしい。皆で何かを隠している」。関係者や村の過去を探る取材の末に、律は衝撃の真相に辿り着く  。横溝賞出身作家が放つ迫真の社会派ミステリ。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆★★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
2019年に池袋で起きた高齢者ドライバーの事故には当時衝撃を受けた。加害者が元高級官僚だったこともあったが、その弁明が「自分は操作を間違っていない。車が誤作動したのだ」という内容だったのには本当に怒りがこみ上げた。そんな高齢ドライバーの問題がテーマだと思って読み進めていくと、どんどん話は意外な方向に展開していって…。小説のラストには賛否が分かれそうな気もするが、高齢者の認知症となるとその判定は難しく、こういう結末が一番納得感あるのかもと思いました。

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変な絵  雨穴/著  双葉社

2022年12月04日 16時49分51秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
見れば見るほど、何かがおかしい?とあるブログに投稿された『風に立つ女の絵』、消えた男児が描いた『灰色に塗りつぶされたマンションの絵』、山奥で見つかった遺体が残した『震えた線で描かれた山並みの絵』…。いったい、彼らは何を伝えたかったのか  。9枚の奇妙な絵に秘められた衝撃の真実とは!?その謎が解けたとき、すべての事件が一つに繋がる!今、最も注目を集めるホラー作家が描く、戦慄のスケッチ・ミステリー!

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
変な家』に続く雨穴さんの小説第2弾。今回はホラーというより純粋に推理ミステリー。落書きレベルのスケッチだが、そこに秘められた謎はなかなかよく考えられている。時系列を前後入れ替えたエピソードで構成されている為にちょっと読む時混乱した。オチへの持って行き方にやや強引さも感じるが、ボリューム的にはダレなくて丁度いい。雨穴さんの次回作が楽しみになってきた。YouTube動画の方も期待してます。

P.S.:
ほとんど同じ装丁なのに出版元が『変な家』の飛鳥新社からなぜか双葉社に変更されてる…。大手出版社に目をつけられた…ってコトか?目敏いな双葉社w

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