西京極 紫の館

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戦なき大河ドラマ

2024年12月15日 22時20分17秒 | 日々の雑感
「知らなかったとお思い?」
コワ~!!
夫・道長の浮気(…とも言えないが)相手(まひろ)を呼びつけて放った正妻・倫子(演:黒木華)の一言で終わったラス前回。どうなることやらと思いつつ迎えたNHK大河ドラマ光る君へ最終回。

まひろこと紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)のラブロマンスを中心に、源氏物語誕生秘話と平安貴族の権力闘争を“戦抜き”で描いた大河ドラマでしたが、従来のメインターゲットである男性よりも女性の心に刺さる物語だったのではないでしょうか?男と女それぞれの心の揺らぎを巧みに描く大石静の脚本が絶妙で、大河ドラマの新規層を開拓したはず。とにかく初回から最終回までまったくダレることなく、楽しませてもらいました。

序盤でNHKらしからぬ生々しい殺人シーンもありました。

幼いまひろの目の前で母・ちはや(国仲涼子)が、道長の次兄・道兼(玉木玲央)に理不尽に刺殺されるシーン。平安貴族モノということで「まさか」と油断していただけに序盤の驚きエピソードでした。その母の仇の一族と主人公が恋に落ちるとは中々ヤバい。このドラマの脚本、只者じゃないと気付いた瞬間でした。

そしてこの時代で最も有名なキャラクターと言って良い安倍晴明を演じたユースケ・サンタマリア。

こんな胡散臭くてリアルに「居そう!」って思える清明像って過去にあっただろうか?「祈祷の効果があるかどうかは、貴殿が信じるかどうかです」と嘯き、雨乞いの為にまさに命を削って祈祷の舞を続けるイカレた男。本当に安倍晴明ってこんなんだったのかもって思いました。

そしてまひろのライバルとなる清少納言を演じたファーストサマー・ウイカ。

彼女も上昇志向が高くて、それでいて一条天皇の中宮(高畑充希)へ献身的に仕えるいじらしさを併せ持つ魅力的な人物を演じきってました。まさにハマリ役だったな。

他にもまひろの夫となるも生まれた娘がじつは道長との不義の子と知りつつもそれを己の出世の足掛かりとしようとする信じられない懐の深さと強かさを見せたこれぞザ・平安貴族・藤原宣孝(佐々木蔵之介)なんかも良かったね。

貴族の時代が終わり、やがて訪れる武士の台頭と永い戦乱を予感させて物語は終わるがその不穏なラストも素晴らしい余韻があった。この流れから来年の大河ドラマが『鎌倉殿の十三人』だったら良かったのに…実際は元禄時代の江戸の出版王・蔦屋重三郎を主役にした『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。戦国でもなく、幕末でもない…ちょっと僕的にはビミョーな題材だけど、まぁとりあえずは観ます。