【紹介文】
荒れ果てた屋敷が丘の頂から見下ろす町、セイラムズ・ロット。そこに幼い頃住んでいた小説家ベンが帰ってきた。町は平穏に見えたが、ある夜、ベンは丘の上の屋敷に灯が点っているのを見る。あの屋敷を買った者がいるのだ。そしてある日、幼い少年が忽然と姿を消した……巨匠キングが恐怖の帝王の名を不動のものとした名作。(永井 淳:訳)
【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
ドラマ性 ☆☆☆☆★
独創性 ☆☆☆☆★
読み易さ ☆☆☆★★
【西京極の読後感想】
学生時代に集英社文庫版で読んだ本作。文春文庫で新装刊されたので改めて読み直しました。上巻で主要な登場人物と物語の舞台となる町の情景をじっくり描写し、下巻で吸血鬼が動き始めると一気にスピード感がアップするキング独特の構成は既にこの初期長編で確立されている。1975年の作品なので文体には古さも感じますが、吸血鬼の不気味さは十二分に楽しめます。ジェームズ・ワンが本作の3度目の実写映画化計画中との事。公開が楽しみです。