西京極 紫の館

サッカー観戦、映画や音楽鑑賞、読書などなど、
日々のなんやらかんやらを書いてみようかな、と♪

呪われた町(上・下) スティーヴン・キング/著 文藝春秋

2023年11月02日 22時08分49秒 | 西京極の本棚
     
【紹介文】
荒れ果てた屋敷が丘の頂から見下ろす町、セイラムズ・ロット。そこに幼い頃住んでいた小説家ベンが帰ってきた。町は平穏に見えたが、ある夜、ベンは丘の上の屋敷に灯が点っているのを見る。あの屋敷を買った者がいるのだ。そしてある日、幼い少年が忽然と姿を消した……巨匠キングが恐怖の帝王の名を不動のものとした名作。(永井 淳:訳)

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆★★

【西京極の読後感想】
学生時代に集英社文庫版で読んだ本作。文春文庫で新装刊されたので改めて読み直しました。上巻で主要な登場人物と物語の舞台となる町の情景をじっくり描写し、下巻で吸血鬼が動き始めると一気にスピード感がアップするキング独特の構成は既にこの初期長編で確立されている。1975年の作品なので文体には古さも感じますが、吸血鬼の不気味さは十二分に楽しめます。ジェームズ・ワンが本作の3度目の実写映画化計画中との事。公開が楽しみです。

人気ブログランキングへ

女子柔道部物語(高校柔道編 15巻完結) 原作/恵本裕子 作画/小林まこと

2023年08月28日 00時16分40秒 | 西京極の本棚
    
【紹介文】
『柔道部物語』から25年、小林まことが再び“本格柔道漫画”を描く!原作はアトランタオリンピック女子柔道61kg級で、日本女子柔道界に初めての金メダルをもたらした恵本裕子!!雪の旭川を舞台に、白帯の女子高生が世界の頂点を目指す!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ストーリー ☆☆☆☆★
  アイデア ☆☆☆★★
   描写力 ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
一度は漫画家業を引退した『1・2の三四郎』『柔道部物語』の小林まことが復帰して取り組んだ本作。連載途中で「イブニング」休刊に伴いデジタルコミックに舞台を移したがようやく高校柔道編完結となる15巻が発売。ベテランになると変に手癖が出て絵が荒れる漫画家も多いが、小林まことにはそれがまったくない。そして老若男女すべてにおいてキャラの描き分けが完璧。そして独特のテンポのギャグも健在。ギャク要素満載ながら正統派のスポ根マンガでもある。ラストとなる15巻で描かれる北海道大会決勝戦は迫力満点でラストは感動の涙が…。これからも「コミックDAYS」で社会人編の連載が続くようなので、また単行本化されるのを楽しみに待ちます!

人気ブログランキングへ

織田一 丹羽五郎左長秀の記 佐々木功/著 光文社

2023年08月08日 20時27分25秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
「織田信長公死す」  本能寺が燃え落ち、織田家中の誰もが右往左往するなか、「織田一の男」と謳われた丹羽長秀は何を思い、何を為すのか? 山崎の合戦、清洲会議、賤ヶ岳の戦い、小牧・長久手の戦い  歴史の転換点で長秀が見せた不可解な言動の裏には、未来を見据えた深謀遠慮があった。「信長公記」の著者、太田牛一の視点から描かれた戦国秘史!

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
♪さらば~地球よ~♪のささきいさおじゃなくて、本作の著者はササキコウ。本作の主役は丹羽長秀と言いつつも実際は語り部である太田牛一です。その太田牛一から見た丹羽長秀は、秀吉や家康よりも深慮遠謀に長け、人としても優れた名将として描かれている。なぜ徳川二代将軍・秀忠が長秀の死後に丹羽家に十万石を与え存続を許したのか?その謎を解く鍵が本作の主題。歴史小説ってのは著者の新解釈が入っているところが面白いのだが、ちょっと贔屓目過ぎると思った。口語調で書かれていて読み易くはあるが、歴史小説初心者に薦めるには丹羽長秀って地味過ぎるよな…(苦笑)

人気ブログランキングへ

腐食の構造  森村誠一/著  角川書店

2023年07月24日 22時28分16秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
原子力科学の若き第一人者である新婚の夫・雨村を乗せた旅客機と自衛隊機が北アルプス上空で衝突した。乗客全員の生存が絶望視されるが雨村の遺体は見つからず、生存を信じる雨村の妻・久美子は捜索に乗り出す。やがて研究成果に群がる政財界の陰謀と、妖しい女の影が浮かび上がり―。最先端技術を巡る恐るべき“腐蝕の構造”の正体とは!?日本推理作家協会賞を受賞した、巨悪の癒着と戦う愛の行方を描く壮絶なロマン。

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆☆
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
70年代後半、角川書店のメディアミックス戦略で一大ブームを巻き起こした森村誠一が亡くなった。享年90歳とのこと。当時映画化された『人間の証明』『野性の証明』の他、太平洋戦争時代軍部が密かに行っていた人体実験を暴いた『悪魔の飽食』などを発表。推理作家の枠を超えた活躍をした作家さんだった。その森村誠一で僕が一番最初に買った小説がこの『腐食の構造』。御巣鷹山の民間機と自衛隊戦闘機が衝突墜落した事件をモチーフにし、男と女の業や哀しみを描いた名作です。他にもホラーサスペンス調の短編集『魔少年』も怖かったという記憶がある。
一ファンとして森村誠一先生のご冥福を心よりお祈り致します。お疲れ様でした。

人気ブログランキングへ

さえづちの眼  澤村伊智/著  角川書店

2023年07月15日 21時25分56秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
「わたしは人じゃないの。強いて言うなら“さえづち”かしら」郊外にある架守家では不穏な出来事が続いていた。短期間で入れ替わる家政婦、廊下に響く何かの這い回る音、深夜に現れる赤い目。やがて架守家の一人娘・冴子が失踪し、数十年後には当主が「アカイ、メ」と言い残して死ぬ。架守家への祟りを鎮めるために依頼された霊能力者は、比嘉琴子と名乗り  書き下ろしの表題作ほか2篇を収録した、比嘉姉妹シリーズ初の中篇集!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
比嘉姉妹が登場するのは3篇のうち2篇。では一言レビュー。
母と:親から捨てられた子供らが集団で暮らす施設に起こる怪異。そこに関わる事になった野崎と比嘉真琴。作者のミスリードが巧みで僕も騙された。読み終わるとちょっともの悲しくなる。
あの日の光は今も:比嘉姉妹は登場しない代わりに謎解き役に辻村ゆかりという小説家が登場する。UFOミステリー物かと思いきや…。こちらは読み終わってからジワジワ怖くなる。
さえづちの眼:三代に亘って隆盛を極めた架守家に罹けられた佐江槌山の主の呪いとは一体何なのか?その秘密を比嘉琴子が解き明かす。ラストに意外性はさして無いけど、そこへ至るまでの展開が面白い。

人気ブログランキングへ