両眼視機能と視力の発達、この2つの要素は「見る」能力で大切なポイントです。
視力の発達に何らかの支障をきたすと弱視に。
両眼視機能の発達に支障をきたすと両眼視機能(立体視、融像、同時視)低下に繋がります。
◎両眼視について◎
①立体視 物体を立体的に捉える能力
②融像 左右の網膜に映った像を1つにまとめる能力
③同時視 右眼と左眼で見ているものが同時に見える能力
両眼視の成り立ち 同時視OK→step up→融像OK→step up→立体視(完成)
立体視を可能にするには左右眼(網膜上)に微妙に異なった像を映す事が重要です。
◎正常な発達に必要な3条件◎
Ⅰ:顕性斜視の有無(網膜正常対応、網膜対応異常)→斜視の有無
Ⅱ:両眼の視力差、不当像視が小さく、融像の維持が可能→左右の視力差
Ⅲ:視覚中枢に両眼視細胞が存在する→脳と眼を結ぶ視神経細胞
※(Ⅱ)不当像視の許容範囲(左右差)は約13%まで。
※(Ⅱ)左右度数差8D(軸性)までであれば立体視成立に影響は殆んど無い。
※斜視についてはこちらをご覧下さい。
◎両眼視の発達過程◎
両眼視の発達で重要なのがP系とM系の発達です。
小細胞系(parvocellular pathway:P系 )良好な正常静的立体視
大細胞系(magnocellular pathway:M系)大まかな静的立体視、動的立体視や融像
人の両眼視の発達は生後2~4ヶ月から始まり、5才までにほぼ完成されます。
生後2~4ヶ月(両眼視機能発達開始)→2才(正常成人対比で80%完成)→5才(ほぼ完成)
生後2~4ヶ月(M系の急速な発達)→1才(P系の緩やかな発達)→5才(ほぼ完成)
上記の両眼視発達期間に「正常な発達に必要な3条件」を満たしていない場合どうなるか?
両眼視発達(両眼視細胞)の発達が障害され、視覚刺激に反応する両眼視細胞数が激減。
結果的に両眼視(同時視、立体視、融像)の機能が発達過程で著しく低下します。
※P系とM系は網膜から大脳皮質に連結されている2つの独立した神経機構。
◎両眼視と視力の関係性◎
両眼視の発達は左右眼の視力が大きく関わり、お子様の将来にも影響を及ぼします。
左右の視力が順調に発達し、顕性斜視が認められなければ両眼視は順調に発達します。
視力に左右差がある場合や顕性斜視を有する場合、矯正器具(眼鏡)による治療が急務です。