さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

秀山祭九月大歌舞伎 昼の部

2014年09月04日 | いざ銀座歌舞伎座



朝晩かなり涼しくなってまた体調が心許無くなってきたので、ひどくならないうちにと今日頑張って昼の部にでかけた。


「鬼一法眼三略巻 菊畑」・「隅田川続俤 法界坊」・「隅田川続俤 双面水照月」







「鬼一法眼三略巻 菊畑」


朝から胃の調子も悪かったので、遅く出て「法界坊」から拝見しようかと思っていたが、



家事もすべて放り出して、支度を始めたので開演に十分に間に合う時刻に歌舞伎座についた(笑)



歌六丈の鬼一法眼・松緑丈の鬼三太・染五郎丈の虎蔵は云うに及ばず、



米吉丈の皆鶴姫・歌昇丈の湛海も健闘していて、



それぞれのバランスが丁度良くて実にしまっていい「菊畑」で、きっと見逃したら後悔していただろう。







「隅田川続俤 法界坊」・「隅田川続俤 双面水照月」



勘三郎丈とはまた違った味わいのある吉右衛門丈の「法界坊」


その法界坊に絡む甚三が仁左衛門丈とくれば、お楽しみはさらに倍増!!!


吉右衛門丈の法界坊は愛嬌があってたっぷり観客を楽しませるが、同時にハラに凄味があるのがいい。


仁左衛門丈の甚三はかっこいいオジサマでついて行きたくなるような男性(笑)


芝雀丈のおくみも世間知らずのお嬢様ぽっく、


錦之助丈の要助は二股も納得!とにかく品もあってキレイ!


橘三郎丈の源右衛門が渋く、吉之助丈の番頭長九郎がいい!


そのベテランたちの中で長太の玉太郎丈がきっちりとした芝居をしてる。


それも活き活きと芝居することが楽しそうに見えるのでこちらまで嬉しくなった。


双面水照月の舞踊になってからは、吉右衛門丈の演じ分けも面白かったが、


又五郎丈の渡し守おしづが実に良かった。






法界坊萩盛りなる向島






2014平成中村座NY公演の紹介もあるとのことで、さらっとギャラリーも拝見した。


訪ソ記念に描いたという六世中村歌右衛門の可愛らしい愛犬の絵があった。



秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

2014年09月02日 | いざ銀座歌舞伎座




行きも帰りも土砂降りの中、初日の仁左衛門丈・千之助丈の「連獅子」拝見するため夜の部へ。


「連獅子」


3年前はまだあどけなくてお背もお祖父さまの半分ぐらいだった千之助丈が


もうすっかり青年の面ざしでご立派なのに感動した。


そして前半の狂言師左近は、仁左衛門丈が孝夫としての最後の「連獅子」で共演された孝太郎丈に良く似ておられた。


仁左衛門丈の右近・親獅子の精がとても情愛と品格に溢れていて、


それを受けて千之助丈が若獅子らしい勢いがあって素晴らしかった。


宗論の又五郎丈・錦之助丈も良かった。







「絵本太功記」尼ヶ崎閑居の場


染五郎丈の十次郎と米吉丈の初菊がなんとも初々しく綺麗なので


後半の二人の悲劇がより一層際立った。


竹藪から出てきた吉右衛門丈の光秀は怖いくらいオーラがあって、


間違えて母を竹槍で刺してしまった驚きから大おとし、後半の幕切れまで


竹本の三味線にのってその心情を重厚にみせてくれる。


魁春丈の操のくどきも泣かせてくれる。


吉右衛門丈の光秀に、又五郎丈の正清が豪快で、歌六丈の久吉が立派なので、実にいい幕切れであった。



「曾我綉侠御所染 御所五郎蔵」


傾城皐月の芝雀丈と傾城逢州の高麗蔵丈が良かった。


番頭新造千代菊の歌江丈はいぶし銀。






秀山は初代吉右衛門の俳号であるが、「ホトトギス」の同人としても知られた初世は、


句作は「吉右衛門」の名でしたと筋書の「光秀と法界坊の間 -上村以和於」にあるが、


藤巻透著「歌舞伎の百句」によると、


高浜虚子が


「吉右衛門と言う名は、貴方が初代とうかがっている。


なまじ名家の何代目と言われぬだけ、いさぎよく、立派だから、


それを俳句の名にも用いなさい。・・・・」



ということらしい。




昭和27年11月3日、文化勲章を拝受せし時に、


菊を前恭くも思はるる    



こんな句も作られておられます。


秋の蚊を追へぬ形の仁木かな  吉右衛門





八月納涼歌舞伎 第3部

2014年08月18日 | いざ銀座歌舞伎座



「勢獅子」・「怪談乳房榎」






「勢獅子」



「ぼうふら」は難物と七世の芸談にあるようだが、


当代は和らかくそれでいて振りごとがきっちりと決まっていてさすが!





この舞踊は曽我物語を踊るという点でも難しいらしいが、


専門的な知識がなくても、手古舞あり獅子舞ありと大勢で賑やかな舞台が楽しい。


鳶の春吉・正吉の国生丈と虎ノ介丈の溌剌とした若さも頼もしかった。



「怪談乳房榎」





訪米歌舞伎凱旋記念とあるので、「ロード・オブ・ザ・リング」のパロディなども混ざっていて



赤坂の時とはまた一味違った「怪談乳房榎」を楽しませてもらった。



序幕隅田堤の場、茶店女房お菊の小山三丈の登場に客席から盛大な拍手


「相変わらず若くてお綺麗!」と云われる通り実に若々しく色っぽい風情。







七之助丈の重信妻お関も元武士で当代人気沸騰の絵師の妻の貫録十分で実に美しい。


重信・正助・うわばみ三次と三役早替わりの勘九郎丈


正助はお父さまを彷彿とさせ、うわばみ三次はお父さまを超えた凄味があった!






今月は鯛茶漬け


ふだんお茶漬けというものを頂かないので久しぶりにさっぱりと美味しかった。



八月納涼歌舞伎 第2部

2014年08月13日 | いざ銀座歌舞伎座



「信州川中島合戦 輝虎配膳」・「たぬき」





「信州川中島合戦 輝虎配膳」


十三世に教えて頂いたとおりにと仰っておられた橋之助丈の輝虎が品格・大きさとも素晴らしかった。


また三婆の越路の萬次郎丈も義太夫狂言らしい風格があって輝虎とのやりとりに緊張感があった。






筋書きの上演記録をみても輝虎はずっと十三世が演じてこられたようで、



十三世著「役者七十年」にある舞台年譜をみると、


輝虎役は昭和16年10月角座からのようだ。


原作は近松門左衛門で、勝を演ずるには琴の技量が求められたりと


もっと上演してもらいたい見応えのある狂言。




「たぬき」


三津五郎丈の金兵衛が絶品!


蝶作を演ずる勘九郎丈の佇まいがお父さまに良く似てこられて


10年前の同じ舞台の十八世が偲ばれた。


お染の七之助丈もいい。








八月納涼歌舞伎 第1部

2014年08月12日 | いざ銀座歌舞伎座



「恐怖時代」・「龍虎」





「恐怖時代」


昔「孝玉」で拝見して以来33年ぶりの上演、


個人的な好みを言わせてもらえば、歌舞伎座の檜舞台にこういう演出の血しぶきは似合わない。


谷崎文学の耽美主義をもっと現代的な解釈で大胆に追求してコクーンとかで観たい演目。



ただ、七之助丈演ずる伊織之介の冷酷で男も女も迷わせる妖しい美しさが印象的だった。



「龍虎」









昭和28年大阪新歌舞伎座において坂東蓑助(八世三津五郎)・實川延二郎(三世延若)で初演とある。


高い技術と精神力が必要とされる舞踊のようだ。




七月大歌舞伎 夜の部

2014年07月23日 | いざ銀座歌舞伎座



昨日夜の部を拝見。


「天守物語」が圧倒的に素晴らしかった!


泉鏡花の作品では一番好きな「天守物語」、冒頭の侍女たちが


白露で秋草を釣るところが幻想的で美しく特に好きだ。


そこに現れる薄の吉弥丈も格調高くその中に人間ではない神秘性があるのがいい!


そして案山子の蓑をつけた富姫の玉三郎丈の登場が


まさにこの世のものではない美しさで客席内からも溜息がこぼれた。


亀姫の右近丈も愛らしく綺麗で、姉妹のような睦まじさで


玉三郎丈と絡むところは美の極致という風情だった!


猿弥丈の朱の盤坊も軽快で楽しく、昼の磯之丞とうって変わって門之助丈舌長の姥もいい。


美しい美女たちが生首を魚にして楽しんでいる光景が


決して残忍ではなくむしろ限りなく美しい光景に見せてくれるのが鏡花の世界であり、


その最も相応しい具現者である玉三郎丈の世界に観客は陶酔する。


後半、いよいよ海老蔵丈の登場、


実直な若者図書之助を凛々しく好演。手をとりあうお二人がとにかく美しく、


この舞台をみられる時代に生きている幸福に満たされた。


我當丈の桃六もオーラがあって、富姫と図書之助の目が見えるようになる匠の力を感じた。





「修善寺物語」


それぞれが良かったが、寿猿丈の修善寺の僧が味わいがあった。


「悪太郎」


観る方は楽しいが相当な技量が必要とされる舞踊劇。





七月大歌舞伎 昼の部

2014年07月08日 | いざ銀座歌舞伎座



「正札附根元草摺」


右近丈の五郎と笑三郎丈の舞鶴がいい形で二畳台に乗って登場する。


五月人形のように若々しく力強い五郎の右近丈が復帰されてなにより!


笑三郎丈の舞鶴もクドキはしっぽりとみせてくれて


五郎との引き合いも錦絵のような古風な佇まいで


お二人とも初役とのことであるが、きっちりとした品格が好ましかった。



「通し狂言 夏祭浪花鑑」


海老蔵丈の団七を拝見するのは3度目だが、昨年と比べても格段に進化していて


近い将来、団七といえば海老蔵丈で観たい!となることを予感させられた。


と同時に団七が海老蔵丈なら義平次は中車丈でということにもなりそう。


とにかくお二人のイキが合っていてすごく良かった。


本水を使っての長町裏の場、


ざんばら髪に緋の褌姿、背中の彫り物が不動明王の海老蔵丈がただただ美しい!


中車丈の義平次もこの方ならではという独特の味わいがある!





私はこの「夏祭浪花鑑」、釣舟三婦のかっこいいじいさんキャラに惚れている。


左團次丈の三婦は包容力と色気があって、女房おつぎの右之助丈もその三婦に心底惚れぬいている感じが良く出ている。


高齢者になっても柄は違うが総絞りの浴衣でおそろいなんてうらやましい限り(笑)


琴浦の右近丈が惚れ惚れするくらいきれい!


また磯之丞の門之助丈がつっころばしを見事に演じていてさすが!


そして何と言っても吉弥丈のお梶が絶品!


世話女房でも色気があって、なにより男伊達の妻である気質がみえる。


ちょっと心配になったのはお辰の玉三郎丈


お辰の気概が伝わってこなかった。


お疲れが出ておられるのではないか???


昼夜のご出演に加えて、さぞかし熱心に後進の指導にあたられていらっしゃるのでは?


玉三郎丈の薫陶よろしく、昼の部の全体の芝居がとても締まっていて良いのでそんな印象をもった。






鱸の洗いは久しぶりで堪能させてもらった。

千穐楽

2014年06月25日 | いざ銀座歌舞伎座

コロンビアには勝てないだろうなと思っていたが、観ていれば自ずと応援に力が入ってしまうW杯。


ここぞ!と言う時に点が取れなかったのは、不運というよりやはり実力の差であったが、


日本代表選手たちは出来る限りを尽くしたのであろうから恥じることはない。


胸を張って帰ってきて欲しいし、私たちは「お疲れ様」と温かく向かえるべき!


今回もオリンピック同様にメディアにその気にさせられて、日本国民が勝手に盛り上がって過度の期待を抱いだけ。


また明日から次回にむけて頑張ればいい。それだけのこと。







本日、歌舞伎座はめでたく千穐楽。



家を出遅れて「実盛」の幕があいてしまっていたので、


次の演目まで木挽町広場で深川丼を頂きながら待つことにした。





そのあと仁左衛門丈と千之助丈の舞台写真を選んで


「大石最後の一日」は、朝の疲れか?第二場の孝太郎丈のおみの登場までコックリコックリ(笑)


孝太郎丈のおみのが本当に素晴らしいので客席からもひときわ大きな拍手をもらっていた。


そしてお目当ての仁左衛門丈と千之助丈の「お祭り」


やっぱり今月のお客はみな仁左衛門丈の舞台復帰を待ちわびていた人ばかりと思われるような一段と大きな拍手と大向こうからも沢山の声


声よし、顔よし、姿よしと三拍子揃った仁左衛門丈の鳶頭の素敵なこと!



千之助丈の絡みもきりっと!また仁左衛門丈にくすぐられると本当に可愛らしく!



最後に恥ずかしそうに花道を去る仁左衛門丈がまた私の心を鷲掴み(笑)



打ち出しの太鼓の音に混ざり、「素敵だったわね~」


「相変わらずいい男だね~」などと言っている女性の声があちこちで聞こえてきた。











六月大歌舞伎 夜の部 初日

2014年06月03日 | いざ銀座歌舞伎座



今月は三代目尾上左近丈の初舞台もあるので、久々初日を通しで拝見。


「蘭平物狂」


蘭平といったら松緑丈!


まだ辰之助でいらした頃から、評判をとり、松緑襲名の際も演じられた演目であるが、


お祖父さまもお父さまもなさった蘭平でまたご子息左近丈が繁蔵を演じ共演となれば感慨もひとしおであろう。


実の父に縄打つことを迫られる繁蔵


我が子に手柄をとらせる蘭平


左近丈がきりっとしていてとてもご立派で素晴らしかったので


実にいい親子の情愛を観客は芝居の世界でも実世界でも楽しませてもらえる。


踊りも定評のある松緑丈、さらに大立廻りは圧巻で


花道で大梯子を使った捕手と蘭平の絡みなど演じられる毎にスケールアップされているのは見事。


口上の菊五郎丈がお祖父さまのようでとても嬉しそうであった。










「素襖落」


左團次丈の大名某がいい。



「名月八幡祭」


それぞれが役にぴったりとはまった役者が揃って面白い演目であった。


歌六丈の魚惣がとってもかっこよくて惚れ惚れしてしまった。


魅力的で奔放だが決して悪い女ではないのであるが・・・感が芝雀丈の演ずる美代吉には良く出ているので


吉右衛門丈の新助がついついだまされてしまう納得感がある。


その美代吉が何度もお金をせびられても縁をきれないような情夫船頭三次を演じる錦之助丈が粋でいなせで素敵。


又五郎丈の藤岡慶十郎も包容力のある男の大きさがあった。


そして前段の吉右衛門丈の田舎者で朴訥な新助の雰囲気がいいので


後の悲劇が際立って、花道を担がれて去る新助の狂気が実に哀れであった。






打ち出しは9時半ごろになったがいい初日であった。







幕間で隣り合ったご婦人とおしゃべりしながらお食事を頂いたが、


若い方たちが頑張っておられるので歌舞伎の未来は安泰であるが、


日本の未来は少し心配ということで意気投合した(笑)

六月大歌舞伎 昼の部 初日

2014年06月02日 | いざ銀座歌舞伎座



待ちに待った仁左衛門丈の舞台復帰に、開場1時間前に劇場についてしまった。


初日を迎えて劇場関係者の方々がお稲荷さんにお参りされておられるのに遭遇。





「お祭り」


仁左衛門丈の「お祭り」といえば、大病から復帰された平成6年や、


千之助丈初舞台の「松栄祝嶋台」平成16年の初日の歓声が今でもはっきりと覚えているが、


今月も幕が開く前から大きな拍手が沸き起こって、歌舞伎ファンがいかに仁左衛門丈を


待ちわびていたかが伝わってくる。


「松栄祝嶋台」でニコニコと花道を歩いてこられた可愛かった千之助丈ももう中学3年生になられて


きびきびとした若い者で仁左衛門丈に絡んで、見事な側転を披露された。


相変わらずうっとりするほど素敵な仁左衛門丈


お怪我の方もすっかり良くなられているようで、


仁左衛門丈も本当に嬉しそうに舞台を勤められていたのがなにより嬉しかった。







「お国山三 春霞歌舞伎草紙」


時蔵丈のお国に菊之助丈の山三 そして花形たちの若衆や女歌舞伎


亀寿丈や米吉丈ら花形たちが花道に居並ぶ姿は江戸絵画から抜け出たように美しかった。


また菊之助丈が幽玄な佇まいで、艶やかな時蔵丈と実に良い雰囲気。



「源平布引滝 実盛物語」


菊五郎丈の実盛・左團次丈の瀬尾とも、前半より瀬尾が正体を明かしてからの方がいい。


右之助丈の九郎助女房・橘太郎丈の矢走仁惣太・菊十郎丈の庄屋に深い味わいがあった。



「元禄忠臣蔵 大石最後の日」


仮名手本の大石より幸四郎丈はこちらの大石のほうが断然いいと私は思う。



とにかく「武士の鑑」としてまつりあげられてしまった義士たちがその名に恥じないように


全員が潔く死んでくれることを切望している大石がよく表われている。


孝太郎丈のおみのも磯貝との間に愛が存在したのか?に


拘りたい女の一途さが出ていてすごく良かった。


錦之助丈の磯貝もはまり役でご子息の隼人丈の内記も青年らしさが良く出ていた。


我當丈の荒木十左衛門は義士たちへの労いにも貫録があってさすがであった。








十二世市川團十郎一年祭 團菊祭五月大歌舞伎 夜の部

2014年05月23日 | いざ銀座歌舞伎座



昼の部の「勧進帳」とともに、夜の部の「極付 幡随長兵衛」の海老蔵丈が素晴らしく


十二世の一年祭に相応しく将来の團十郎としての覚悟がみてとれる舞台だった。





「矢の根」


松緑丈が曽我五郎を祝祭性豊かにおおらかにみせてくれて、田之助丈の十郎がさすが!


「極付 幡随長兵衛」


海老蔵丈はナイフの鋭さを感じるような凄味のある長兵衛で、


一人で水野邸に乗りこんでいくのも納得のスケールの大きさがあった。


そして妻子を思う情にも厚いところもしっかりみせ、


とくに長松を抱えて別れるところは情感豊かに泣かせてくれた。


時蔵丈のお時と男女蔵丈の出尻清兵衛が上手い。


亀三郎丈の極楽十三ら子分たちを次世代を担う若手が揃って居並ぶのも嬉しい。


菊五郎丈の水野・彦三郎丈の近藤が絶妙な加減で海老蔵丈を支えている。



「春興鏡獅子」


菊之助襲名の時は、とにかく愛らしかった弥生が、観る度にしとりとした風情がより増してきて


お祖父さまと重なるようなところもあった。


獅子になってからは、勇壮というより、この人の獅子は霊獣という神格性がある。


最後まで綺麗に円を描くような素晴らしい毛ぶり、幕が下りる直前の安定感のあるバランス  




若い人たちの目覚ましい成長を感じることのできたいい團菊祭であった。







十二世市川團十郎一年祭 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2014年05月09日 | いざ銀座歌舞伎座



6年ぶりに歌舞伎座に團菊祭がかえってきて、歌舞伎十八番がならぶ今月であるが、


その十八番を観るにつけても十二世のいない舞台はやっぱりすごくさびしい。


左團次丈の弾正による「毛抜」もとても味わいがあったが、


鷹揚で楽しくとにかくスケールの大きい十二世の弾正が私は好きであった。



でもお父上亡きあと、一門を背負って頑張っておられる海老蔵丈が


菊之助丈とともに実にいい「勧進帳」をみせてくれた♪♪♪


昨年の浅草は拝見していないので、海老蔵丈の弁慶は久しぶりであったが


大きく情に溢れた成田屋の弁慶になっておられたのに涙がこぼれた。


十二世もどこかでご覧になっていてきっと肯いておられるだろうと思った。


菊之助丈の富樫も硬軟のバランスが良く、海老蔵丈との息もピッタリ。


芝雀丈の義経が格調高く、亀三郎丈・亀寿丈・萬太郎丈・市蔵丈の四天王それぞれがいい。








「毛抜」は


団蔵丈の八剱玄蕃・友右衛門丈の小野春道が左團次丈とともに良かった♪



そして「魚屋宗五郎」は


菊五郎丈の宗五郎が絶品♪♪♪



鳳凰祭四月大歌舞伎 夜の部

2014年04月28日 | いざ銀座歌舞伎座



「一条大蔵譚」檜垣・奥殿


今まで何度も大蔵卿を拝見してきたが、前半のつくり阿呆の大蔵卿が楽し過ぎると


奥殿になってから、常盤と吉岡夫婦とのやりとりが退屈なものとなり、


早く大蔵卿が出てこないかなぁ~とそればかりになっていた。


でも今回の吉右衛門丈の大蔵卿を拝見して目から鱗の気分。


力のない公家が争いに巻き込まれず生き残るために仕方なくつくり阿呆を装っている生身の大蔵卿を感じた。


だから源氏に所縁ある血筋を明かす部分が凄く生きていた。さすがである♪♪♪


また、魁春丈の常盤御前も素晴らしく子供たちのために生きてきた悲しさが伝わってくる♪♪♪


梅玉丈の鬼次郎と芝雀丈のお京も源氏を想うひたむきさが感じられ、


歌女之丞丈の成瀬・由次郎丈の勘解由とも深い味わいがあった♪♪♪


大当たり!大播磨!と沢山の声がかかった。






「女伊達」


所作ダテの面白い舞踊♪


女伊達の時蔵丈・男伊達の松江丈・萬太郎丈がスッキリと♪



「梅雨小袖昔八丈」髪結新三


歌六丈の弥太五郎源七が最高♪♪♪


金太郎丈の丁稚長松がお祖父さま相手に堂々とご立派♪


お祖父さまの出より拍手が多かったような。


幸四郎丈・歌六丈の千穐楽の口上でめでたく打ち出し。




お初 千穐楽

2014年04月27日 | いざ銀座歌舞伎座




本当に本当に可愛いお初ともこれでお別れかと思うととても寂しい。


初演は昭和28年だからほぼ私の人生分お初を演じてこられたことになる。


以来、19歳のお初の若さ・瑞々しさ・可愛らしさが全然変わらないことに毎回驚き


その都度藤十郎丈の情熱を分けてもらってきたように思う。


今日、文楽でも人気演目の「曽根崎心中」であるが、


近松の作品を復活したのは歌舞伎の方が先であり、それは当時扇雀でいらした


藤十郎丈の人気によるところが大きく文楽も復活に至ったそうだ。


子供心に母が「すごく可愛らしくて綺麗♪」としきりに言っていたことや


扇雀飴など今でも記憶に残っている。


最愛の人とともに死ぬことが女の喜びと藤十郎丈のお初は、


哀れなお初ではなく恋愛の頂点に上りゆく幸せなお初であった♪♪♪



鳳凰祭四月大歌舞伎 昼の部

2014年04月24日 | いざ銀座歌舞伎座



今月は何と言っても三津五郎丈が歌舞伎座の舞台に復帰されたことが何より嬉しい♪♪♪


「寿靭猿」は昔、巳之助丈の初舞台で先代と当代の親子三代を拝見していたので、


その時の小猿だった巳之助丈が立派に奴を勤めておられるのと


踊りの名手の三津五郎丈の御元気な御姿とが重なり胸が熱くなった。


狂言の「靭猿」から写したものであるが、女大名としたことが歌舞伎らしくていい。


又五郎丈の女大名も良かった♪


三津五郎丈の猿曳の小猿への想いが所作にも溢れて絶品だった♪♪♪



そして藤十郎丈の一世一代の「曽根崎心中」


とにかく藤十郎丈のお初が可愛い♪♪♪


あんなに可愛い女ならどんな男も溺れるだろうと女の私でも感じるお初だ。


鴈治郎を襲名されることとなった翫雀丈の徳兵衛もお祖父さまのような味わいがあった♪♪♪


徳兵衛の手をひいて花道をゆくお初を観ながら、まだまだ観たいと思った。



「鎌倉三代記」絹川村閑居の場


梅玉丈の三浦助・魁春丈の時姫が格調があって良かった♪


でも私はなぜかいつもこの芝居は眠くなる(笑)



「壽春鳳凰祭」


冠をつけた時蔵丈の女御がオーラがあって美しかった♪


我當丈の帝も神々しくて立派♪


歌舞伎座でもその昔一世風靡した「源氏物語」が観たいと思った。







久しぶりで歌舞伎座ギャラリーによってみた。


海外公演の写真がもっとたくさんあるのかと期待していたのでちょっと残念。






屋上庭園は花車か?ピンクのツツジとシャクナゲが咲いていた。