太鼓待つ仕立ておろしに桜雨
第一部の開演は11時であるが、9時過ぎに家を出たので、
歌舞伎座には10時ごろについてしまった。
東銀座の駅に着いてすぐにエスカレーターで外に出ると、
降りしきる雨にもかかわらず歌舞伎座の前はすでに沢山の人でいっぱい。
開場の一番太鼓は近くにいながらも音のみ鑑賞(笑)そしていよいよ第5次歌舞伎座へ。
新しいと言っても、歌舞伎ファンの想いを大切にした設計で
旧歌舞伎座がそのままかえってきたような景観であるが、
鮮やかな大間の絨毯の色彩がやはり新しさを誇っている。
ロッカーに雨コートを置いてから2階の客席へ。
椅子の幅や前後のゆとりはかなり良くなったし、
7列目であるが、花道の七三も良く見える。
通常月は紬や小紋が多いが、さすがに開場初日らしく訪問着や紋付・付け下げ等、
観客の方も華やかな晴れ着で場内を盛り上げる。
「寿祝歌舞伎華彩」鶴寿千歳
昭和天皇の即位の奉祝曲として作られたものだそうであるが、幕が上がって
「本来なら團十郎丈が舞台におられたはずなのに・・・」
なんて私はしみじみしていたが、雌鶴の藤十郎丈がおでましになると
さすがに舞台におめでたいオーラが光輝いた。
十八世中村勘三郎に捧ぐ「お祭り」
三津五郎丈はじめとする十八世・中村屋にゆかりの方ばかりでの「お祭り」
幕が開く前から声が掛かり、十八世を惜しむ気持と当代御兄弟を応援したいという気持ち、
そういう観客がいかに多いかを物語っている。
そして勘九郎丈と七之助丈が七緒八君の手をひいて花道から出てくると
観客の感動はもはやピーク♪♪♪
「勘三郎丈 見てますかぁ~
あなたの血を受け継ぎ、わずか2才にしてどうどうとした舞台姿の七緒八君にみんな持っていかれてしまいましたよ~
これで中村屋は盤石ですね」
なんだかうれしくて涙がこみ上げてきたのは私ばかりではなかった。
一谷嫩軍記「熊谷陣屋」
人間国宝を相手に初役の菊之助丈がどう挑むのかが、私個人としては楽しみだった。
玉三郎丈とのからみ、そしてお父さまとなられた吉右衛門丈とのやりとり
二人にとっては主となる藤の方であるから、位取りが大事な役であるが、
菊之助丈の持ち前の品位が自然と滲み出るのがいい。
仁左衛門丈の義経が熊谷を見送るところもさすが。
どちらかというといつも途中で眠くなる「熊谷陣屋」
開場の喜びと共にしっかりと拝見いたしました♪