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僭越ながら共感を覚えました。

2012年08月28日 14時00分39秒 | jazz
大西順子さんの引退記事を読ませて頂きました。

人生山あり谷ありですが、特にこの年齢に差し掛かると本当に色々有るものです。僕の知人の方々も本当に引退を惜しむ声が多く、僕もそのうちの一人です。どんなことが有っても続けて行こうよ・・と言うのは簡単ですが、それぞれの人生でそれが難しい事もこの歳になると分かります。

僕は大西さんの事は個人的にはよく存じ上げておりませんが、僕より年下の(笑)バークリー音大の偉大な先輩です。個人的には、今はなき「スイング三田倶楽部」で僕の演奏中にいらして、軽くご挨拶をした程度です。勿論、僕自身は日本のTV番組にご出演されているのを親に録画して貰ってアメリカに送って貰ってたので、一方的には演奏を聴かせて頂いてます。

今回の記事を読ませて頂いて、そういう番組に出演されていた頃の強いイメージと全く違い、すごく真摯な態度で、またジレンマや様々な葛藤に悩んで来られたのが伝わります。あれほどの才能やチャンスに恵まれて何故?と思う方も多いと思いますが、ナンバー1になれば必ず訪れる悩みだというのは想像もつきますし、アーティストで居続けるという事は創造力を常に引き出すという「気力」も必要です。それは加齢と共に徐々に失われて行くものです。(だからこそ、逆にベテランミュージシャン達の凄さを、加齢と共に感じるのです。) まぁ、それとは全く違う次元で悩んで来られたんだろうなぁ・・というのも文章から伝わってきます。

そういう事に加えて、個人的な問題も年齢と共に増えてきます。僕だって実家では色々問題が有りますし、家族の事など、悩みは尽きません。また、これは超有名なアーティストではない場合の話ですが、ライブをやったってお客さんがあまり来ない様なら食えたもんじゃありません。実際問題、創造力を保てたとしても、食うに困れば引退か転職(これも最近では難しいですが。苦笑)を考えるしかありません。

「研究者」という、あの記事の中の言葉がキーワードなら、それは僕にも当てはまるのかも知れません。でも、僕がNYやボストンで見てきたライブは常にそうだったし、その成功例がたまたま日本に伝わって来ているだけにすぎません。それが「音楽」として成立しお客様を楽しませる事が出来るか否かは結果論だと僕は考えます。

結局は「気力」が重要だと思うんです。

僕も30代の頃はほんの一時的に旬な頃が有ったので(笑)よく分かりますが、音楽業界も多くのお客さんも旬なアーティスト以外にはなかなか興味を示してくれません。これは恐らく日本に限った事ではないでしょう。NYのミュージシャンでも、「そう言えば最近あの人、聞かないねぇ・・」ってミュージシャン、多くないですか?でも、同時に、そういう半ば強制的に「雲隠れ」していた(させられていた)ミュージシャンの最近のプレーをYouTubeなどで発見すると驚くほど進化していることに気が付きます。多分、彼らにも様々な葛藤が有ったと思いますが、逆にそれが進化にも結びついてるのではないかとも思います。また、マイケル・ブレッカーやブランフォード・マルサリスなどトップであり続けていて尚も進化し続けるアーティストの精神力は僕の想像を遥かに超えるものです。大切なのは、どういう状況でも創造力を持ち続ける事が出来るか・・であり、その気力が失われた時こそ確実に、そして完全に自分が引退する時だと僕は考えています。ただ、創造したものを誰にも聴いて貰えないと感じた時は、いくら強い意志を持っていたとしても、確実にその気力は奪われてしまいます。芸術は流行りものではなく個性を楽しむものだという事をこの国の少しでも多くの人が知ってくれたらなぁ・・と思います。少し本題からずれてしまいましたが。(笑)

今回、記事を読ませて頂いて、僭越ながら強く共感を覚え、また深く考えさせられ、FBなどで知人のミュージシャン達の多くが書いてる様に、僕も結局は自分は自分のやるべき事を続けるしかない・・という結論に達しました。食うか食われるかの実力社会に自ら身を投じてるので、どのアーティストにとっても平等にある種の衝撃を与えたと思います。

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