Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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20代の若者たちとフュージョン談義。

2010年07月31日 23時28分00秒 | jazz
こういう時代が来たんだなぁ。(笑)

先日、7月最後のライブを草加のシュガーヒルで無事終えることが出来た。メンバーは小山尚希(b)、柳隼一(p)、渡辺雅之(ds)。リーダーの小山君をはじめ、全員が20代!わ・・若い。肌のツヤツヤ感(笑)と音楽のスピード感、忘れかけた情熱が蘇るってもんだぜ。

スタンダードは勿論有ったものの、チックの「500 Miles High」、メセニーの「ブライトサイズ・ライフ」、小山君のオリジナルなど、ラインナップは結構フュージョンより。あら不思議。僕より5~10歳下の連中は、どっちかっていうとクラブで70年代ファンクを演ってるけど、回りまわって、更に若手は僕の青春時代の音楽を演っている。以前、J-POPのレコーディングに行った時に、僕と同世代のプロデューサーが「今の若い子は、70年代~80年代のフュージョンが『カッコいい』なぁ~んて演ってるんですよ。」と言ってたけど、本当だったんだ。

リハの時点で、どう演奏すれば良いか、すぐ理解できる。だって、若い頃、こんなのばっか演ってたもんなぁ。(笑) なつかしい。小山君のオリジナルは浮遊感の有る曲だったけど、昔、自分が書いていたオリジナルと同じ雰囲気を持っている。「やりやすい!」と思わず言ってしまうと、「そんな事言った人は、宮地さんが初めてですよ。」と言われた。音楽って、簡単とか難しいとかじゃなくて、自分の歩んできた人生の中で、好きになったものや、新しく学んだ語法でちゃんとお話できるかどうか・・って事なんだなぁと改めて思った。彼の曲には、僕が話しやすいシチュエーションがたくさん準備されていると言う事だ。

お客さんの中には現役大学生のジャズ研部員が。ライブ後に話してみると、フュージョンが大好きだって言う。「僕、プリズム大好きなんですよねぇ。」とギターリストの彼。「へぇ!俺、高校生の頃、チキンジョージに見に行ったよ。」「マヂっすか?リアルタイムだったんですか?」「うんうん。俺の青春時代だよ。」「へぇ!ところで、宮地さんって、一体、おいくつなんですか!?」・・・(笑)

その後もフュージョン談義は続いた。た・・楽しい。

いつも、ウチのバンドでやってもらってる柳隼一のチック好きは前から知ってたし、様々なジャズに関してマニアックなほど博識なのも知っている。彼の面白い所は、古いスタンダードと同じ様に「良い曲」として、フュージョンのヒットチューンもメモリーしてる所だ。僕はといえば、何かというと先輩ミュージシャン達から「フュージョンなんて、ツマラン音楽やりやがって。」と言われ、「そんな音楽やる暇が有るなら、もっとスタンダードを覚えろ。」と怒られ、渋々、見よう見まねでバップをやり始めたのを覚えている。歳を重ねる事で、ようやくストレートアヘッドなジャズが好きになって行ったけど、何か、今の若手に比べりゃ、自由が無く、哀れで不幸な青春時代だったと思う。

お初の渡辺君は、クラブ系をやってるそうだが、若い頃の橋本学を髣髴とさせる所もあって、将来楽しみ。今後、より音楽の幅を広げていけば凄い事になりそう。橋本の音楽オタクっぷりは半端じゃないからねぇ。

若手との演奏は、僕にとって決して「余裕」のお仕事ではない。スピード感や反応の速度は明らかに落ちてるのが自分で分かる。だから、ものすごい集中力を要するし、そのため緊張感も増す。でも、こうして自分にプレッシャーを与える事が、この10年欠けていた事だと思うし、やりたかった事だ。その中で今回のライブは、比較的、自分のフィールド内で気楽に出来たライブだったかも。そういうジャンルを、若者達が好むようになったっていう、そういう時代になったんだなぁ・・と、不思議な感覚だ。

僕は若い頃、自由に好きな音楽をやろうとすると、何かと目上の人達から理不尽な妨害に会って来た。お陰で、「なにくそ根性」が出来上がったわけだが、自分の後輩達にはそんな思いをして欲しくは無い。自由にのびのびと、そして将来的には世界に誇れる音楽を生み出して欲しいな・・と思う。俺はマイルスみたいに、死ぬまで若手とライブやって若ぶる事にしよっと。まぁ、その価値が無いと、一緒にはやって貰えないだろうけどね。(笑) そういうのが出来るから、ジャズっていいよねぇ。

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