Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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頬を膨らませてサックスを吹く。

2021年10月01日 10時41分00秒 | instruments
まず生徒さん達に謝らなければならない事が有る。

普段、レッスンで「頬っぺた膨らましちゃダメ!」って指導をしてるんだけど、最近の自分はと言うと、その頬っぺたを膨らましての演奏をしてるからだ。まぁ、今後もレッスンでは今迄通り同じ指導を繰り返すだろうし、良い子は真似しないでね…という注意が加えられるだけなのだけど。それだけこの奏法は難しいし、僕も現在、ピッチのコントロールやビブラートで苦戦している。また、フラジオなどの超高音域では使えないので、どの音域までこの奏法が使えるか等、奏法の切り替え実験の繰り返しをしている。

この奏法、下手な人がやるとひたすら汚い音になる。なので、レッスンでは生徒さんに注意して来たし、自分自身も、折角肺に取り入れた空気を効率良く楽器に吹き込む為には、一旦頬に当ててから楽器に入れるのは良くないと考えているし、その考えは今も変わらない。恐らくクラシック・サックスでこんな奏法の人は居ないと思うし。

ただ、現在の僕には「音の雑味」や「豊かな倍音」そして「柔らかい音質」を自分の音色に加えたいという気持ちが強く有り、色々研究した結果、ここに辿り着いたわけだ。スタン・ゲッツを始め、僕がここ最近興味を持っているプレイヤー達の多くは頬を膨らましている。常にという訳ではないけれど。

これに気付いたのは、僕同様にフルートも吹く生徒さんと話をしている時に、「フルートって、サックスと真逆の事しないとダメな時あるでしょ?例えば口の中の容積を広くする…とか。」という話題になり、…ん?これってサックスに応用出来ないものなのか?と疑問に思ったのが始まりだ。

自分のフルートの音色がどうもフルートっぽく無いと感じてて、フルーティストに相談したら、上記のコツを教えて貰ったわけだけど、そのおかげで飛躍的に音が良くなったと思う。と同時に、フルートってそもそも、息の音有りきで、それと混在させる事での音作りが基本なんだな…と漸く気付いたわけで、その時点では、「サックスとは全く別物」という感覚だった。それをサックスに応用するってのは、今迄の自分のサックス奏法を否定する様なものなので、かなり抵抗は有ったものの、やってみると何だか求めてたモノにグッと近づいた感覚は有る。フルートと違うのは、マウスピースの狭いスペースに息を吹き込む為、抵抗が生じ、フルートより頬が膨れてしまうという事くらい。

いわゆるサックスの「サブトーン」というテクニックは、マウスピースに被せる様に咥えて、顎を引いて、わざと息を漏らして息の音を混ぜるという感じだけど、僕がお手本にしている人達にそういうプレイヤーは居ない。マウスピースを深く咥えてダブルリップ(唇を両方巻く)というスタイルが多い。リアルトーン自体に既に息の音などの雑味が多く含まれている。息のスピードを緩めたりビブラートによって、息の音の成分が多くなったりするので、それによってサブトーンに聞こえる…というのが僕の分析だ。

今迄、ゲッツの音質に近づけようとして、無理なセッティングにして気管支を破って縦隔気腫になったりと、もう無茶は出来ないので、「可能な限り」という前置きは有るが、クール・ジャズの基礎となる音質はかなり獲得出来たかと思う。僕はダブルリップでもないし、自分なりの「クールサウンド」を見つけなければならないのだけど、この歳になって変革が自分に生じるという事はとても喜ばしい事だ。でも、まだまだ納得はしていないので、今後も研究は続く。

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