胸痛で練習も出来ず暇なのでブログ書きます。
先日、大学時代の軽音楽部仲間とオンライン飲み会をやった。終盤で盛り上がったのが、ずっと僕にとって疑問だった「自分達のバンドで演ってる曲(当然カバーも含む)を、そのメンバーの一人が違うバンドで演りやがったら滅茶苦茶ムカつく」という話。学生時代、実際にそれで喧嘩になったのも目撃している。ところが、僕はそれを今だに全く理解出来ない。ジャズでは同じ曲を他バンドで演るのは当前の事だから。
すると、ロック畑の後輩から「当たり前ですよ!」とのリアクション。話を聞いてみると、ロックは1曲をバンドで何度もリハーサルを重ねて固めて行くから、曲に対する愛情や執着が滅茶苦茶強いのだと言う。
それを言うとジャズコンボでは確かにそんな事は無く、気持ち良く出来る人と演れば良い…という結論に即座に達する。要は一発目で気持ち良くなければ即メンバーチェンジという、シビアで個人主義な所が強い。まぁ、ロックでもプロとなれば、この感覚だろうと思う。この論議はあくまで僕もアマチュア時代の感覚に立ち返って遣り取りしてるので。
で、僕の学生時代の感覚を思い出して、自分の参加バンドの曲を、メンバーが異なるバンドで演ったらどう感じたか?ってのを想像しても、「何も感じない」か「果たして俺を超えられるかな、ムフフ」くらいにしか思えなかったと思う。もし自分を超えられたなら、曲を他バンドで演った事ではなく、超えた他バンドのメンバーに嫉妬し、その後、鬼の様に練習しただろうな…と。
現在、「The Ossan Band」というバンドで、一応、「ジャズミュージシャンがやるロック」を標榜してロックな曲を演ってるけど、例えば、僕のアレンジしたQueenやBeeGeesのナンバーをメンバーが他のバンドで演ってくれたら、ちと嬉しかったりする(笑)。
まぁ、その結果「お前より、コイツと演った方が良かったよ。」とまで言われりゃ、嫉妬もするだろうし、凹むだろうけど、今は「仕方ないか…」と思うだろうな。長年プロでやって来て、今は自分の事もよく心得てるので、求めてくれる人(ミュージシャン)と演奏し、求めてくれる人(客)の為に演奏し、それで自分らしさを目一杯出すしか無いわけで。決して、他バンドで演ったヤツを恨む事はない。
僕の生徒の中にも、ロック畑出身の人がいるけど、やはり「バンド志向」が強めな感じがする。若い頃はジャズ畑の僕も、自分のバンドは自分の耳で選んだ、選りすぐりのメンバーなので、「この曲を他のメンバーで演る事など考えられない。」なんて思ってたけど、最近は違うメンバーで演ったらどうなるだろ?なんて考えたらワクワクするし、一つのバンドでしか出来ない様な融通の効かない曲にあまり魅力を感じなくもなって来ている。ま、誰でもすぐ出来る様なスタンダードが一番楽しい…に、この歳でなってしまったのだ。
これは、それぞれに備わった気質の問題なんだろうか。でも、恐らく、そういう「バンド気質」でプロになった人は、結局プロの世界で生きて行くのは難しいと思うので、プロにならなくて正解だとは思う。音楽自体が本当に嫌いになっちゃう可能性だって有るから。ジャズだろうが、ロックだろうが、結局は自分の身体一つで食い扶持を探さざるを得ないので。バンドは最終的には救ってくれない。
でも、いまだにジジィになっても続いてる有名ロックバンドの、喧嘩からの解散や再結成の繰り返しを見ると、「バンド気質」は明らかにプロの世界にも存在するんだなと分かる。ただ、そこにはオリジナル・メンバーやベスト・メンバーにこだわるファン心理や音楽ビジネスによって動く巨額の金の影響が大きいと思う。そういうビッグマネーの動かないバンドでは、押し並べてジャズと大して変わらないのでは?と考えている。
ロック・ファンとは、それ程、固定メンバーと、そのメンバーに演奏される曲(あとギターソロ)に拘るものなのだろうか?そういうガチガチなものが苦手な僕にはやはり全く理解出来ない。
そのオンライン飲み会で、僕が「でも、スティーリー・ダンなんかは、基本メンバーは2人だけで、あとはスタジオ・ミュージシャンとか雇ってるけど、ロックじゃん。」と言ったら、後輩に「あれは、ジャズですよ!」と返されちゃった。えぇ〜⁈(笑)
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