Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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自作自演が難しい。

2012年03月07日 11時34分09秒 | jazz
バークリーに行く前から作曲は好きだったんだけど、その頃はサックスを吹いて曲にしていた。

勿論、それでも構わないのだが、手癖や音域の偏りが目立ってしまい、全く新しいものを作る事が僕には難しい事に気が付いた。当然、これはソロのフレーズにも言えている事だ。

さて、バークリーで理論を学び、コード進行の知識も増え、様々なバリエーションの曲が書けるようになったのだが、その頃にはピアノに向かい歌いながら曲を書くようになっており、作曲の時点でサックスで吹きやすいとか、音域がちょうど良いとか考えなくなっていた。それらを一緒に演奏する仲間からは「サックス奏者の書く曲じゃないよね。」なんて言われる事も有った。そういう事言われると、ちょいといい気になったもんだ。(笑) 他人と違う事は良い事だ。

でも最近、困った事になっている。作曲の時点でサックスが頭の中に全く鳴ってない曲が多いのだ。鳴っているのは美しい響きのピアノだったり、クリーン・トーンのギターだったり、ヘタするとストリングスだったり。さて、これを発表しようという事になると、当然僕がメロディーを取らなきゃいけないのだけど、どう演奏すれば良いのか分からない。アドリブ・ソロもイメージが湧かない。つまり、サックスが不必要なのである。こういう人にこんな風に演って欲しいってのは明確に有るのに自分の居場所が無い。自作自演をやる者としては結構致命的である。

まぁ、でも物は考え様で、誰かがやったものを自分のバンドで焼き直す・・という風にすれば良い。以前、パット・メセニーの曲をやった事も有るけど、音源にサックスが入ってなければ、自分でどのように演奏すれば曲にフィットするかを考えなければならない。それを、あろうことか自分の曲でやらねばならない。キーが難しかったり、運指に無理が有ったりも当然で、出来上がってから「どうすんの?これ」って思う事も有る。

一方、他人様の書いた曲はジャズならジャズで、どういう風に吹けば良いかが明確で演奏しやすい。ソロのイメージも作りやすい。そういう曲って予めサックスが吹くって事が前提になっているからだろう。僕が自分の曲を吹く時の様に「サックス、邪魔だなぁ。」なんて思う事は一切無い。

僕の様な自作自演の作曲家の方の話を是非聞いてみたい。「サックスがメロディーを取る」と言うのを前提にすれば、どうしても曲の可能性が限定されてしまう。自由な発想で曲を書くためには、そういう前提が邪魔になる。で、自由に作曲すると自分のメインボイスが邪魔になる・・というジレンマ。そいう人って他にもきっと居るに違いない。

作曲者として最初にイメージしたものを一度完全に忘れて「他人の曲」として演奏する事は同一人物として大変難しい。作曲者としては自分以外の誰かに本当は演奏してもらいたいのだ。でも、それを自作自演するのは作曲家としても演奏家としてもチャレンジングで遣り甲斐もある。作曲家としては自由な発想、演奏家としては対応力、この二つを同時に持つ必要が有る。

リフが難しいとか変拍子とか物理的に難しい曲は沢山有るけど、練習だけではクリア出来ない曲が一番難しい。

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