9月半ばからほぼ後半全てを充てた「Cool Balladsツアー2022・9月」が無事終わりました。コロナ禍3年目、漸く叶ったツアー再開。ツアーするにあたって、ラインナップは全て暗譜し準備は万端!これで安心して休憩時間にお客様やミュージシャン達とコミュニケーションが取れる…と。それがCDの売り上げにも繋がるわけです。
仕方なく、ホテルで引き篭もり生活。夜は広島の街に繰り出し、今回もお世話になる広島のピアニストなかにし隆さんと残念会。
今回、僕の目的は、それぞれの土地で僕の音楽を聴いて戴く事は勿論、それに留まらず、地方のライブの現状を視察する目的も有りました。
東京はライブ会場もミュージシャンも豊富。しかし、絶対的な観客数が年々減少し、高齢化も進行中。供給過多で少ないパイを大勢で取り合う状況が今後更に酷くなるのが予想されます。仕事の状況が悪化する一方で相変わらず東京の家賃や物価は高いまま。さて、地方の現状はどんなものやら…。
ツアー初日は赤坂「Bフラット」。福岡からギターの田口悌治を迎え、いつものカルテット(ピアノ・石渡雅裕、ベース・伊東佑季、ドラム・野澤宏信)にプラスしてCool Balladsのレコーディング・フルメンバーでのライブ。久々のデカいハコでのライブ。集客の為の宣伝もかなり頑張りました。メンバーもそれぞれ集客に尽力してくれ、そのお陰で、いつもより多くのお客様にお越し頂けたのは大変有難かったです。
尚、Bフラットのオーナー鈴木燿さんが交通事故で、ライブ直前にお亡くなりになったのは大変痛ましい事で、ご冥福を心よりお祈りします。そして、開催自体が危ぶまれた中、なんとか決行に踏み切って戴いたスタッフ各位には感謝!お店も今後大変だとは思うけど、そんな中、行われた貴重なライブでした。
左端の宮前君には、集客や宿泊で大変お世話になりました。お客様とのセッション・コーナーを設けたり、工夫もしながらのライブは成功裏に終了。その後、宮前君宅で酒を酌み交わしながらの深い音楽&仕事談義もとても楽しかったです。
2日目は、池袋「P's Bar」。小さなお店なので、田口、伊東に僕というピックアップ・メンバーでのライブ。ツアーでもデュオや小編成でのライブが多いので、それを占う意味でも重要なライブでした。(残念ながら写真は撮り損ねた)
田口さんの東京時代の古巣という事もあり、決して多くはないけど、古くからのお客様方に囲まれた温かいライブとなりました。
さて、3日目より田口さんと二人旅のスタートで首都圏を離脱。その初日は名古屋の名店「Swing」。長年の付き合いで、昔からジョイントを重ねて来たテナー奏者・宮前博臣との久々のライブ。ベース大村守弘は以前のライブでご一緒して、こちらから指名させて頂きました。
難曲やアレンジの複雑なものが多い中、事前に準備してライブに臨んで頂いた宮前、大村両氏に感謝。大村氏に至っては暗譜までしてくれてたのにはビックリ!小編成ながらテナー×2+ギターの模擬3管アンサンブルの分厚いサウンドが得られ、お客様も満足されたご様子。
左端の宮前君には、集客や宿泊で大変お世話になりました。お客様とのセッション・コーナーを設けたり、工夫もしながらのライブは成功裏に終了。その後、宮前君宅で酒を酌み交わしながらの深い音楽&仕事談義もとても楽しかったです。
4日目は僕の故郷、明石市「Pochi」でのライブ。田口・宮地に加え、西川サトシ(b)、光田じん(ds)という僕の関西学院大学・軽音楽部の偉大なる先輩方との共演。特に西川さんは、僕がC年の時のF年さんで殿上人。初共演となるので若干緊張感も(笑)
しかし、リハから本番までとてつもなくスムーズでとても気持ち良く演奏出来ました。ひとえに先輩方の完璧な予習ときめ細やかなサポートのお陰。スイングを始めファンクなど幅広いジャンルに於いてグルーヴ感も素晴らしく、田口さんも「また、是非このメンバーで演りたい!」と手放しの喜び様。
このライブは、小中学で同じクラスだった久保君を始め、同じく同窓生の榎木原君、そして、地元のサックス奏者・藤原さんも巻き込んでの企画グループが結成され、大イベントとなり、お陰様で予想を超える多くの懐かしい顔ぶれが会場に集まり、同窓会の様相を呈しました。実行委員の御三方と時間を割いて遠くからお越し頂いたお客様方には感謝の念で一杯。
楽屋でのお弁当から打ち上げまで、過剰とも言える(笑)ホスピタリティで、笑いの絶えない幸せな一日でした。
5日目、広島入り。しかし、雨男・宮地の覚えめでたく(笑)折しも台風が広島に大接近。交通機関が全て計画運休とやらでストップ。それにより、岩国ほまれ座でのライブは残念ながら中止が決定。ツアーでは毎回、豪雨にやられる雨男ではあるけど、ツアー中にライブが中止になったのは初めて。
仕方なく、ホテルで引き篭もり生活。夜は広島の街に繰り出し、今回もお世話になる広島のピアニストなかにし隆さんと残念会。
まずは焼鳥「カープ鳥」
その後、「越田」でお好み焼き。
6日目。相変わらずの計画運休で広島の街は静まり返り、今日もライブは中止か…と思っていたら、今日のライブ会場である「カミン」のオーナー・杉野クリステルさんから連絡が入り、「折角遠くからお越しのミュージシャンをホテルにカンヅメにしてるのは、余りにも気の毒」と、漢気(おとこぎ)を発揮して下さり、ライブを決行する事に。もう、感謝しか有りません!
ピアノは勿論、なかにし隆。漸く、久々のなかにしさんとの共演が叶いました。コロナ禍で3年お会いしてませんでした。
田口さんもなかにしさんとはお久しぶり。僕はカミン初出演でしたが、田口さんは何年も前に出演した事が有るとか。
安全を考慮して、ご来店には徒歩圏内でお越し頂ける方に限定しましたが、それでも、都内の普段のライブくらいにはお集まり頂き、有り難かったです。
台風でクルマが大破しては、この先ツアーが続けられないので、ホテルと契約してるタワー式駐車場に丸2日停めたら4400円の請求!一日1200円って予約時には書いてたのに一泊計算だとか。やられた!ま、クルマを守る為には仕方ない。
7日目はいよいよ九州入り。これから福岡の田口邸で暫く楽しい合宿生活。九州の皆様とも久しぶりの再会。初日は親不孝通りの「バー・マイケル」。いつも伺うお店。
今宵はデュオで。このツアー初です。バッチリとアレンジされた曲の数々をデュオでお届けするとどうなるのか手探りでしたが、案外良いサウンドが得られ、お客様からも「とてもスリリング!」と好評でした。この日は、予想を超えて満席となり、最後はマスターやお客様とのセッションも有ったりと大盛り上がりでした。
8日目は福岡から脊振峠を越えて佐賀「シネマテーク」へ。こちらもいつも九州ツアーでは出演させて頂いてます。
ベースは丹羽肇。ついこないだまで東京ツアーをしていて多忙な日々を送ってたそうな。で、予め送ってた譜面の予習をうっかり忘れてたそうで、慌てて本番前に食事も摂らず猛勉強!(笑) しかし、それでも完璧な演奏をしちゃうんだから、本当に凄腕ベーシストです。勉強不足を凄く謝られちゃったけど、僕は逆に感心するばかり。
9日目は福岡の老舗「ニューコンボ」。ここにレギュラー出演している田口悌治カルテット(通称:タグカル)にゲストとして共演する事に。田口、丹羽のお二人の他に月岡翔生子(p)、上村(うえむら)計一郎(ds)。
月岡さんは初共演。ヨーロピアンな感じのとてもエレガントなピアノ。そして、若き日に東京で一緒に切磋琢磨した同い年の戦友・上村君とは20年振りくらいの再会!彼の叩く一音を聞いただけで、あの頃の新宿ピットインを思い出しました。
福岡のトップミュージシャン達との共演も田口さんのオリジナルを交え、Cool Balladsのレパートリー中心にお届けしました。赤坂Bフラットで演ったのと全く同じフルメンバー編成でのCD再現はサウンドの違いこそあれ、最高に気持ち良かったです。いやぁ、何処の街もベテラン・ミュージシャンって懐が深くてスゲェな。
因みにライブの動画配信もやったのですが、プロ並みのカメラワークでビックリ!準備からスイッチングまでユミちゃん本当にお疲れ様でした。有難う!
10日目は西鉄の特急電車に乗り、田口さんの故郷、柳川「ブラウンシュガー」へ。
田口、丹羽とのトリオに加え、ボーカル桜井ゆみ。急遽、Cool Balladsのレパートリーでユミちゃんのレパートリーに有るものをチョイスして、いつもの歌い方と僕のアレンジをくっ付ける案が浮上して、めっちゃ凝ったアレンジでお届けする事になりました。難しかったけど面白かった!特に「The Man I Love」の複雑なリフのボーカルとのユニゾンは圧巻!これこそ録画しとくべきだった!
マカナイはなんと!柳川名物・鰻のせいろ蒸し。MCで「さっき戴いた鰻重、とても美味しかったです!」と言ったところ、柳川観光大使でもある田口さんに「『せいろ蒸し』って言わなきゃダメ!」ってこっぴどく叱られました(笑)鰻の提供のみでなく、このライブを中心となって企画して下さった安永さんに感謝致します。
帰りはまた西鉄の急行(最終電車)で。車内で丹羽さんと福岡の音楽業界の現状の話に。リズムセクションにはそこそこ仕事が安定して有るけど、管楽器は中々難しいとの事。まぁ、東京と同じだなぁ。田口さんとも毎夜晩酌しながら九州の業界の話を聞いたけど、上手いミュージシャンは居るには居るけど、東京の様に多い訳ではないので、どうしても毎回同じ顔ぶれになってしまい、刺激を求めたり修行の為に丹羽さんは東京に出稽古に出掛けている…のだそうな。地方での音楽活動もそれなりに大変そうだ。ふむふむ。。
しかし、話を聞いていたら、突然の尿意が!
福岡まであとどれくらいか尋ねると、まだ1時間ほどは掛かると言う。しかも何?この急激な激しい尿意は?とても1時間持たない!途端に一緒に福岡に向かう御一行様方全員がスマホで電車の乗り換え案内を検索!途中下車してJR二日市までタクシーで行けば何とか帰れるとか。
「それでお願いします!」と言い残し、次の駅で田口さんを含め数名で電車を飛び降りトイレへ直行(笑)ちゃんとお別れの言葉も残せなかった丹羽さんとご同行のお客様、申し訳ございませんでした!流石、関西人。面白い!…と言われたけど、関西人だからじゃありませんから(笑)
「二日市までのタクシー代は僕が全額お支払いします!」と言ったところ、「まぁ、当然やろ」的な空気が流れて(笑)タクシーに。夜間の為、メーターは高速で回転し、あっという間に5千円に。「さっきの鰻と同じくらいの値段になったねー」との田口さんの言葉に、僕の深いため息が車内に響きました。因みに、二日市でも念の為にトイレに行ったのですが、そこでもとめどなく放尿してしまい、田口さんには「スグルのは頻尿じゃなく爆尿だよ」と言われる始末。
11日目、今日は広島になんと12時半入り。朝7時半にはお世話になった田口邸を出発。はやっ!
テレビは新たな台風の襲来を告げている…。しかも数日後に向かう静岡。出た!台風に愛された男の本領発揮。
途中、SAで仮眠を取りながら4時間以上のドライブを経て広島「かしわや入江」に到着。今日のメンバーはなかにし隆(p)に加え権上康志(b)、樋口広大(ds)という若手中心の布陣。
入江さん的には少ない動員数みたいだったけど、まぁコロナ禍にしたら結構な人数のお客様に恵まれました。スタンダード中心なので、皆さんに大変喜ばれて良かったです。若いお客さんも居て、話を聞いたら、広島には聴き専の若い観客も結構居ますよ…との事。なんて羨ましい話だ!
市内に戻って、ベーシストの九十九ちゃんも呼んで、またまたお好み焼き屋で打ち上げ。その後、お世話になったなかにしさん宅でお二人には散々愚痴を聞いて頂きました(笑)広島のジャズ業界のお話も沢山伺いましたが、やはり様々な問題点が有り、九州とはまた別の地方ならではの悩ましい苦悩が有るんだなと知りました。
12日目、なかにし邸で朝はゆっくり過ごし、なかにしさんは福山でレッスンが有るというので、僕のクルマでお送りして関西に向かう事に。途中、休憩を入れつつ4、5時間掛けて神戸は岡本にある「ボーンフリー」に。初めてのお店。今回2度目のデュオ。お相手はこれまた関学の先輩、高岡正人(p)。
実は、気楽なスタンダード・セッションをするつもりで高岡さんには譜面を渡してなかったのですが、九州で地元のミュージシャン達とアレンジものを演ってるうちに、どうしても高岡さんとも演りたくなり、急遽スマホで譜面を送ってみました。リハでは、iPadにダウンロードした譜面を高速で捲りながら、ほぼ初見で演って頂きました。やり辛そうで気の毒なので紙の譜面をお渡ししましたが。でも、それでバッチリなんですから凄いです。尊敬します。我が関学のOBさん達は、どなたも素晴らしいプレイヤーばかりで本当に誇らしいです。自分ももっと頑張らねば。
ライブは、大学の仲間や高校時代のジャズバンドの先輩、弟・弟子に囲まれてアットホームな雰囲気の中、高岡さんの余裕でありながら、ジョークを交えたピアノプレイに笑って吹けなくなる事も。とても楽しいライブとなりました。
最終日13日目は静岡「ドット・クール」。折しも前日は台風が襲来。お隣の清水市は多大な被害に見舞われ交通機関はストップ。お店も停電になったそうでライブが開催出来るか心配していました。でも、なんとか出来そうだとの事。前回、静岡にお邪魔した時も台風でイベントが一部中止になったほど。ほんと、雨男が毎度ご迷惑お掛け致します。
今日はマスター林三景(p)とのデュオを中心に、彼のレギュラートリオTenng Band<小野田健(b)、小柴志破男(ds)>とのセッション。ツアー最終日は、レコ発など忘れてお気楽に。
この日は流石に台風被害も有り、沢山のお客様…とは行かなかったけど、熱心なジャズファンにお越し頂き、中でも静岡大生や卒業したての若者が来てくれたのが嬉しかったです。その若者の一人がとんでもないジャズオタで、ゲッツの話で二人盛り上がりましたw いやぁ、静岡最高!彼等とのセッションも数曲演った後は、念願の「ジャズ聴き部」に遂に出演しました! 以前、このブログでもお知らせしました。
翌朝、林さんに誘われて、彼がナビゲーターを務める静岡FM-Hi!の「サウンドスペースLife Time」に出演しました。
2週連続出演で、1週目は私・宮地の『Cool Ballads』を中心に、2週目はここ最近僕が影響を受けて来たクールジャズを聴こう!という企画。クール系をあまり通って来なかったという林さんの未知との遭遇に驚愕するリアクション、クールジャズを熱く語りまくる宮地…と、30分番組なのにかなり濃密な内容だったと思います。
東京を皮切りに2週間続いたツアーも無事に終了。台風も怖かったけど、コロナ禍故、どこかのお店でクラスターが発生しようものなら、即隔離されてしまうリスクも有ったわけで、常に気が気ではなかったツアーでした。まぁ、そうでなくても相変わらずのドタバタ旅だったけど、何とか東京に戻れてほんと良かったです。帰った次の日がいきなりハードなバンドのライブだったので、のんびりする暇も無かったのですが。
東京を離れる事も考えながらのツアーでしたが、予想はしてましたが、地方には地方の悩みがそれぞれに有り、そもそも自分のBaseを変えて一から再出発するってのはかなり難しい事でもある…ってのを改めて考えさせられました。でも、やはり東京に疲れてたり、あまり期待や希望が持てないってのは事実なので、その辺と今後どう折り合いを付けて行くか…というのが課題ではあります。
最後に、このツアーにご協力戴いた大勢の方々、ライブにお越し戴いたお客様方に感謝致します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます