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ジャズは「思考」の音楽

2019年02月08日 14時55分00秒 | jazz
ジャズは「思考」の音楽だと思う。レッスンしていて思うのは、生徒さんが思考停止状態にある事が結構有るという事だ。

個人レッスンは、それ自体は不完全であり、ジャムセッションやアンサンブル、ライブやレコード鑑賞、友達とのジャズ議論…などで補完しなければ、学んだ事にはならない。いわば個人レッスンとは、知識や情報を与えて、それをヒントとし、更なるステップアップを望んだ生徒自身が思考する為の一つのツールに過ぎない。

それこそ、「それっぽくジャズが演りたい!」ってだけなら、トランスクライブして、本物そっくりに演奏すれば良い事で、それが出来るならレッスンなど必要ではない筈。プロミュージシャンでも、レッスンを取らず独学でプロになった人達も少なからず居る。ただ、プロになるにはそれ相応の「思考」が必要なわけで、それぞれの思考が異なる事が個性になり、ジャズの面白味に繋がると僕は思う。つまり「ジャズっぽい」のと「ジャズ」は全く別物という事。実際、コピーフレーズを延々と聞かされると僕はつまらないと感じる。

レッスンでは、先人達が何を考えて演奏して来たか、その歴史やコンセプトを課題曲のスタンダードのコード進行を使ってレクチャーしているのだが、当然、そのコンセプトは他の曲、他のKeyでも使用可能なわけで、そこから先は生徒自身のイマジネーションや工夫に任せるしかない。だって曲なんて無限に有るのだから。

以前、発表会の記事でも書いたが、それぞれの課題曲では皆さん頑張って素晴らしい演奏をしたのに、最後のセッションでFのブルースを演った時、課題曲で使ったコンセプトを殆ど用いてなかった事が残念だった。確かにレッスンではブルーノート・スケールとコード・トーンを最初に学ぶ題材としてブルースを取り上げてるのだけど、ブルースはコード進行がシンプルなだけに、シンプルに演奏する事も、また様々なコンセプトを用いて複雑に演奏する事も出来る、可能性が無限大に広がる音楽。これまで学んだ事を全てぶち込む勢いで演って欲しかったなぁ…と残念だったのだ。ブルースでそれを使ってみよう!という「思考」が生徒さん達の中で沸いて来ていなかったという事になる。これは今後の僕自身のレッスンの進め方の課題ともなった。事有る毎に思考する事の重要性を伝えなければならないのだなぁ。

ここ最近、「この生徒さん、ちょっと思考停止してるな」…と感じるレッスンが続いたので、こんな事をしたためさせて頂いた。僕はそれぞれの生徒さんの可能性は無限大だと信じてレッスンしている。実際、教えた事に反応してとてつもないアイデアを導き出して「俺、ヤバイじゃん。追い越されそう。」と思った事も何度も有る。だからって出し惜しみはしない。(笑) そうやって自分を追い込むのも僕は好きだ。こうして切磋琢磨して新しいサウンドがこの世に生まれて来ると信じている。勿論、ライバルのプロ・ミュージシャンにでも惜しげなくアイデアは差し出している。

10年前にタイガー大越さんのクリニックを受けた時に「もし、チャーリー・パーカーがこの部屋に入って来たら『お前ら、いつまでも俺の真似ばっかりしてるんじゃないよ!』って言うに決まってる」と仰ってたのを思い出す。

ジャズは真似から始まりはするけど、結局は「思考」の音楽なのだ。思考を止めてはいけない。
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