Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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変革

2019年06月10日 10時39分12秒 | jazz
「維持」に続いて「変革」。
 
維持も難しいが変革は更に難しい。維持は、強い意志を持ってルーティンを守ってれば良いのだが、変革は、そのルーティンをも根底から覆す事にもなりかねないので、勇気や気力が必要だ。
 
「維持」にも書いたが、自分の演奏スタイルを変えるというのは非常に勇気が要ったし、私生活を変える事も同様だった。それが「変革」だ。変革し維持し、更に間違いに気付けば、その時点で変革をするという勇気が必要だ。常に前を向いて必要な時に変革をしなければ何一つ進歩は無い。何も考えずに維持すると言うのは、強い意志を必要とする分辛い様で、実は楽なのだ。
 
ライブで漸く納得の行く演奏が出来始めたのだが、その納得の部分って、練習した事が反映され始めた…というのでは全くなく、練習した事とは無縁のやった事もない演奏や信じられない反応がその場で出来たって事で、少し前に感じてた納得と次元が全然違う。
 
そこには共演者のレベルと言うのも関係してくる…とも言えるし、関係ないとも言える。
 
最近、同世代のベテラン勢と演るとストレスが全く無い。皆んなビートに深みがあり、どの場所で音を出してもOKだし、また、自分のペースで淡々と吹く事も勿論許されるわけで、楽しくて仕方がないのだ。いい音楽を作ろうと、この歳まで色々考えて演ってきたご褒美が、今、ベテラン達に平等に与えられてるって感じ。でも、ここがゴールではないので、まだまだやるべき事も有るからワクワクもしてる。それがベテラン勢の楽しみなんだと思う。若手と演ると、どうしてもそのスペースが狭いのでストレスや緊張感が伴うのだけど、「それに合わせなきゃ若手に馬鹿にされる…」みたいなくだらないプライドさえ捨てれば、どーでも良くなり結局は自分のペースで楽しめる。要は誰と演っても楽しめるのがベテランの特権だと思う。ま、いい加減と言えばいい加減かも知れないが、この歳まで演ってきたコダワリというのだって、それぞれにしっかり有るわけで、どうでも良い演奏が決して楽しいわけではない。
 
今迄自分のやり方でやって来た…というのが維持で、そこに変革をもたらす事を恐れるのがベテランの弱点だとも言える。安寧の地を求めたい…という欲求もこの歳になると生まれるが、僕はやはり、同じ所にじっとしてるのは無理だ。折角の人生、死ぬまで冒険活劇やってた方が刺激的で楽しい。
 
こんな僕のライブにお越し下さるお客様に感謝。
 
自分達の演奏を録音して聴き返し、こんな面白いライブ無いぜ!と自画自賛し、なんでこんな攻めたライブより、予定調和的な有名人のライブに皆んな行くんだ!…みたいなアングラのヤッカミ(笑)は既に無く、よくもまぁこんなマニアックなジャズをお楽しみ戴けてるな…と感心し、追い掛けて下さるファンの方々には感謝と敬意しかない。
 
本場アメリカに留学し、武者修行もし、キャリアを積み重ね、漸く気が付いたのは、思いついた事をグダグダ話したり、ギャグをユニゾンしてガハハと笑ったり…まさに飲み屋の酔っ払いの戯言がジャズの極意だという事だ。なんてこった!
 
いや、芸術全てが下世話でエロで馬鹿だと僕は思う。決して崇高だったりしきたりで雁字搦めであってはならないと。そういう芸術作品もあるけど僕には全く魅力的ではない。生の躍動感が無いものに魅力は無い。だから、真面目に向き合いながらも、真面目を「糞食らえ!」って笑い飛ばせるパラドックスが芸術家には必要だ。
 
その「糞食らえ!」って時にこそ変革は生まれる。
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