いのち・未来うべで毎週、金曜ウォークに参加し、山口県庁前でのアピールも続けている崎田修平さんから投稿がありましたので掲載します。原稿をいただいたのは、安倍首相の所信表明演説の直後でしたが、今も全く古くなっていません。
そればかりか、女性2閣僚の辞任、新閣僚のSMスキャンダルと続く惨状は、崎田さんの指摘の通りです。
そして、原発再稼動内閣とでもいう布陣は、担当大臣のいい加減さを露呈しています。
嘘を塗り固めて川内原発再稼動を進めようとしている政権。
その政権のご機嫌をうかがいながら、あわよくば再稼動に続く新設増設論の浮上と上関原発計画の推進を狙う山口県。
そのために、「判断先送り」という違法状態を平気で繰り返しています。
この先には、原発事故と戦争への道が敷かれているとしか思えません。
10月25日は、上関・室津現地で集会とデモがあります。
山陽小野田・宇部実行委員会は、バスで行きます。(別項 参照)
それに先立つ明日24日は、定例第4金曜アピールです。
山口県庁に県民の抗議の声を届けましょう。
なお、山口井筒屋前⇒ 中電・市民会館前の定例金曜デモも行われます。
都合つくかたは、ご参加下さい。 午後6時出発です。
"ソフトな言葉で飾る独善"
安倍首相の所信表明演説(全文)を読んで
田修平
黙っておれない心境です。
『修平のブン文』として、感想を書きました。
原発については、「規制委員会により求められる安全が確認された原発は、・・・再稼働を進めます。」と、言っています。
この表現はどだい日本語になっていない。しかし、あえて曖昧にしているのでしょう。
演説原稿をつくった官僚は、
「規制委員会が安全と確認した原発は、・・・・再稼働します」
と、言えないことを承知しており、慎重に避けているのだと思います。
なぜなら、「規制委員会は安全を判断しません」(田中委員長)と言っているわけですから。
ここの矛盾をそれこそ、『戦略的』に誤魔化そうとしてしいるのだと思いました。
原発を国の「成長戦略」政策に組み込んでいるわけですから、脱原発は、「政治」を帯びるのは、ある程度仕方ないかと、・・・・。
先月9月29日、第187回国会で安倍首相が行った所信表明演説(全文)を読み、その感想を一言にしたのが、表題の"ソフトな言葉で飾る独善"である。
例によって、「美しい、豊かな、個性、女性、ふるさと、津々浦々、平和」などのソフトな言葉と対照的に「力強く、攻める、頑張る、挑戦、積極的、戦略」などの硬め(ハード)な言葉が多くあり、特に、お好みは「戦略」らしく7回も躍っていた。そして、これらのソフトとハードの言葉を繋ぐかなめの殺し文句が、「経済最優先」と「積極的平和」主義であるようだ。
「平和」と「積極的」を繋げた「積極的平和」は、元々、日本語として木に竹を接ぐような違和感があり、概念としても、平和学における定義:『貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がない状況』とは異なる意味で使っている。すなわち、首相の言う「積極的平和主義」とは、2013年の国家安全保障会議と閣議で決定された、『国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく』ものだそうで、これが「集団的自衛権」の行使とセットであろうことは容易に想像できる。本演説の中では、インド・モデイ首相から強い支持を得たと自賛している。
演説の見出しは、一 災害に強い国づくり、二 復興の加速化、三 地方創生、であるが、いずれも中身は、今までいかに無策、手抜かり、底抜けの政策をやってきたかの吐露にすぎず、この場合の語り口はソフトなのだ。二では、2020年開催のオリンピックを「復興五輪」と称して、それが福島の復興の目くらまし作戦であることを自ら白状している。
三では、島根県隠岐の海士(あま)町のロゴ『ないものはない』を、「大事なものは、全てここにある」との意味に勝手(アベコベ)に解釈して、地方創生の成功例として讃えている。
しかし、地元では、コンビニもスーパーもなければ、娯楽施設もない、本当に、『何にも無いよ』という開き直りの言葉でもあるのだ。過疎が進み、町が消滅する寸前に追い込まれたとき、みんなが、本当の豊かさは何か?と問い、唯一、豊富な魚や農産物を拠りどころとして、地域の人どうしの繋がりを大切に、無駄なものを求めず、シンプルライフを営むことが真の幸せではないかと、気づいた。町おこしの大きな原動力になったIターンの若者の一人(大手自動車メーカーで働いていた)は、『行き過ぎた資本主義の限界を感じた』ことがIターンの契機となったと語っている。それを、「伝統ある故郷を守り、美しい日本を支えているのは、中山間地や離島を始め、地方にお住いの皆さんです。そうした故郷を、消失させてはならない。もはや時間の猶予はありません。」などと、これまでさんざん棄民レジームを展開してきた本丸がぬけぬけと言っている。
四 地球儀を俯瞰する外交 では、「世界に、自由に、大きな経済圏を創り上げる。TPP交渉や、EU、・・・など、経済連携を戦略的に推し進めてまいります。」と、ここではハードな語り口になる。上記、三 地方創生の言説とベクトルが反対ないし、両立困難なことを言い、つけては、「積極的平和主義」を堅持して、「国民の命と平和な暮らしは守り抜く。」、「その決意の下、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を進めてまいります。」と、強気に出る。
それにしても、外交は「地球を俯瞰」してやるのではないのか。
「地球儀を俯瞰する」とは、かつての映画「チャップリンの独裁者」に出るアデノイド・ヒンケルを連想してしまった。ヒンケルが世界征服を夢見て、風船の地球儀を机に寝そべっておしりなどでもてあそび、あげくは一瞬で破裂するあのシーンだ。このフレーズ、ひょっとすると、原稿を書いた官僚が仕込んだブラックユーモアかも、それとは知らずに滔々とお読みになったのかも、などと心配に・・・。
五 成長戦略の実行 では、「女性が輝く社会」、「原発再稼働を進めます」、「国家戦略特区」、「頑張れば報われる」、「成長戦略」などの言葉が躍り、六 おわりに は、四~五と相矛盾することを多くのソフトな言葉にのせながら、国民の奮励に期待して終わっている。
結局、「ありとあらゆる可能性を開花させる」と言いながら、「今何を為すか」は国民に問いかけるだけで、ひたすら、「経済最優先」と「積極的平和」の独善の道を目指すようだ。