Northern Bear Spirit

気づいたこと 哲学 宗教 スピリチュアル

『注文の多い料理店』序

2024-12-16 11:54:37 | 日記

『注文の多い料理店』序

Attached to Nothing, Connected to Everything.
何にも執着せず、​​すべてとつながる。

何にも執着せず、​​すべてとつながるという文章は宮沢賢治の童話集、『注文の多い料理店』の序文を思い出させた。 

賢治が好きだった「きれいなたべものやきもの」は何にも執着せず、​​すべてとつながったときに与えられる。

---------------------------------------------------------------------------------------------

 

『注文の多い料理店』序

わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。

またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗らしやや、宝石いりのきものに、かはつてゐるのをたびたび見ました。

わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。

これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹にじや月あかりからもらつてきたのです。

ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。

ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。

ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。

けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。

大正十二年十二月二十日
宮沢賢治



最新の画像もっと見る

コメントを投稿