地域に残る有形無形の文化財を組み合わせて魅力を発信し、観光振興などにつなげる国の認定制度「日本遺産」。文化庁は2020年6月、長浜市と福井県敦賀市、南越前町が申請した「海を越えた鉄道」を認定した。

↑写真:中日新聞より(現存する国内最古の駅舎「旧長浜駅舎」)
三市町は昨年に続く2回目の申請。新しい物語では、難工事だった1884年(明治17年)の長浜−敦賀間の開通を強調。
シベリア鉄道の発着地ロシア・ウラジオストクを経て、鉄路と航路を一枚の切符で渡欧できる東京・新橋−金ケ崎(敦賀)間の「欧亜国際連絡列車」も盛り込んだ。連絡列車は当時の欧州までの最短ルートで、物語には列車に乗った歌人の与謝野晶子や探検家のアムンゼン、「日本マラソンの父」と呼ばれる金栗四三らを登場させた。
旧北陸線の沿線には多くの鉄道遺産が残る。
・滋賀、福井県境の「柳ケ瀬トンネル」(現在は車道)は、日本人技師らが4年かけて完成。
・輸送需要の増加で登場した蒸気機関車「D51形(デゴイチ)」は、現存する国内最古の「小刀根トンネル」(敦賀市)のサイズで設計された。
・長浜市内には現存する国内最古の駅舎の「旧長浜駅舎」
など16件の構成文化財がある。
三市町は11〜12月、こうした鉄道遺産を巡るバスツアーを開催し、熱心な鉄道ファンらを中心に好評を博した。
トンネルなどは行きづらい場所にあり、交通手段の確保は必須。長浜市観光振興課は「今後もバスツアーを定期的に実施したい」と述べ、三市町の観光協会が主催する考えを示している。
<中日新聞より>