滋賀県栗東市の「中沢遺跡」で、弥生時代後期から古墳時代前期の「大型角柱砥石(といし)」(長さ32・9cm、厚さ11・9cm)が見つかった。栗東市教育委員会が10月31日発表した。
中沢遺跡 https://www.city.ritto.lg.jp/koho/1312/121_4.html
この時代の長さ30cm以上の大型砥石は出土例が少なく、全国最大級の大きさ。弥生時代の鉄器の普及状況を知る上で貴重な発見という。
遺跡内の西北端にある河川跡(幅約15m以上)の深さ約70cmから出土した。砥石は重さ7・4kg。断面は八角形で、うち2面(幅4・7~5・2m)の使用が顕著で、断面がU字状にくぼんでいた。研ぎ面の特徴から刀や剣など大型の鉄器を研いでいたとみられる。材質は泥岩で、当時一般的に流通していた砥石の材質ではないため、特殊な研磨用として滋賀県外からもたらされた可能性があるという。
大型砥石は下稗田(しもひえだ)遺跡(福岡県)、纒向(まきむく)遺跡(奈良県)など日本を代表する拠点的集落から出土している。「中沢遺跡」からは、弥生時代後期前半の大型掘立柱建物跡や、杵(きね)、鍬(くわ)の木器、銅鏃(どうぞく)などが出土し、弥生時代中期から古墳時代前期に湖南地域を代表する集落だったとみられる。
奈良県立橿原考古学研究所の森岡秀人・共同研究員は「近江最大の砥石であるだけでなく、日本列島屈指の大きさ、形態を持つ点で希少価値を持つ。「中沢遺跡」が、近江の青銅器・鉄器など金属製品の生産技術や素材の調達をはじめ、他集落を牽引(けんいん)するような遺跡であることが明らかになった意義は大変大きい」とコメントしている。
出土品は11月10日(日)まで、栗東市出土文化財センター(栗東市下戸山47)で展示する。入館無料。 https://www.city.ritto.lg.jp/soshiki/kyoiku/sports_bunka/gyoumu/shutudo/1233.html
<記事・写真: 朝日新聞より>