(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

蹴天一-掬投

2024年11月06日 | 剛法

備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

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蹴天一-掬投は、上段から始まる連攻防の拳系である天王拳の法形の一つで、旧・科目表では三段科目でした。

対構えに布陣した攻者:中段構えからの逆上段突を、守者は後ろ手の外受で受け、続けて来た逆廻し蹴を前手の払い受で受けます。払い受は腰を切る受けなので、受けの際に前鉤足を用いて体を返します。

お互いが左前で始めたのであれば、攻者は右逆廻し蹴を放った時点で右前の形に体が返っています。守者も前鉤足からの払い受で体を返してますので、再び体が向かい合う形になります。

なので払い受を掬い受に変化させ蹴りをキャッチしつつ、金的蹴を返し易くなります。これに成功すれば攻者が大きく崩れる事になりますので、キャッチした蹴り脚を掬い上げて攻者を転倒させます(投げ)。

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この法形の最大のpointは、やはり廻し蹴をキャッチする、という事でしょうか。

掬い受で最も注意されるのは、最初から掬いに行ってはいけない、という事でしょう。受け手の上腕に思い切り蹴り込まれる事になってしまいます。

SKでは蹴り脚をキャッチする方法として挟み受掬い受がありますが、いずれにしても蹴りの威力とスピードを吸収・無力化する工夫が必要です。それには俗に言う「角度処理」が必要になります。

蹴天一の掬い受で言うと、掬う前に払い受による蹴りの無力化が必要になります。ただ蹴りを受け止めただけでは「引き」がありますから掬い受に変化出来ません。やられてみれば分かりますが、蹴りは攻撃線をいなされるとスピードも威力も激減します。これは攻者が軸足バランスを保つ事に集中を削がれるからです。

払い受打払い受は時に区別が難しい受けですが、基本的には肘関節を用いるかどうかが違いです。打払い受が肘関節を用いて半ば打撃のように受けるのに対し、払い受は肩を支点に、Cの形に強くした腕で、蹴り脚を掬い上げるように受けます。

それまでに十字受蹴払受蹴で払い受という技法を修練してきた拳士が、更に一段上の練度を求められているのです。角度処理の感覚を向上させる為には、本部の井上先生が指導しておられる「蹴上げに対する下受風払い受(?)」の練習が良いかも知れません。逆蹴上げに対して、開身(半転身)して攻撃線をかわしながら、後ろ手の「縦の払い受(下受風払い受)」を行ない、蹴りの無効化の感覚を身につけます。

上手くやれば蹴上げに対しても、掬い受に変化してキャッチが可能です。

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蹴天一はタイミングや位置取りについて考えると、先生ごとの解釈や工夫が分かれる高度な技法です。今回はそれは割愛します。共通するのは、払い受の際に腰を切って体を返している、という事。詰まり払受蹴と同じ事をしている訳です。但し差込みの順廻し蹴に対して大きく前鉤足を切って転位する払受蹴と違い、強力な逆蹴でしかも逆上段突からの連撃、それを小さい体捌きで受けなくてはならないので、払受蹴より難度が高いということが分かります。

     ◆     ◆     ◆

金的蹴が本当に入ったら、その時点で攻者が潰れてしまうと思いますが、通常の修練では掬い投を行ないます。これは攻守が近接していれば本来「掬い首投」と呼ばれる技法です。前手で首(頸部)を押さえ、後ろ手で脚を掬い上げて転倒させます。

蹴天一では前手が攻者の首(頸部)には届かない事が多い為、逆上段突をした腕の腋の下を手刀で押込みつつ、蹴り脚を掬い上げて転倒させます(掬い投)。

そこでよく注意されるのは、掬い受の後、受け手の手掌を上に向けた状態で蹴り脚を掬おうとしてはいけない、という事です。攻者の重さ全てを掬い受の前腕で持ち上げなければならなくなり、重過ぎて無理です。我の体が前進する力を用いて、出来るだけ腕に重さを感じない方法を研究すべきでしょう。


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