米軍基地再編に伴い,アメリカ空母艦載機部隊が厚木基地から岩国基地に移転することの是非が中心争点となった岩国市長選挙は,僅差の結果,部隊移転容認派で新人の福田良彦氏が現職の井原勝介氏を下し,当選しました。投票率は,76.26%と前回の65.09%を大きく上回り,市民の関心の高さが伺われた選挙となりました。
岩国市長に福田氏=米艦載機移転を容認-国と条件交渉へ・山口 (時事通信) - goo ニュース
部隊移転自体を容認したともいいきれない
今回の選挙は,簡単に言うと,井原前市長が,空母艦隊の受け入れを拒絶したとこと,国からの交付金がカットされたため,市庁舎建設の資金繰りに困り,やむなく合併特例債を歳入としようとしたところ,議会からそれを3回に渡り否決されたことから,民意を問うとして辞職再選挙となったものです。
そして,今回は,投票率も高くなり,かつ容認派の福田氏が当選したということで,民意は「空母艦隊移転大賛成」ととらえられている節もあります。
しかし,そうとも言いきれない点があります。
まず,2年前の艦載機部隊移転の是非を問う住民投票においては,実に87%の住民が「NO」と表明していました。したがって,この2年で急激に住民意識が変わったとは言いがたく,住民の本音は今でも基本的に「移転はいやだ」と考えているものと思われます。
現に,投票結果を見ても,福田氏が47081票,井原氏が45299票とほぼ互角であり,少なくとも現状では「低く見積もっても半数の住民は依然として反対」と考えても良いでしょう。
したがって,福田氏も自身で指摘しているとおり,「安易な迎合はしない」という姿勢が絶対条件であろうと思われます。ここの処置を誤ると,市民からのリコールが簡単に起こります(3分の1以上の反対派がいるため。)。あくまでも,「もう民意を得た」という姿勢ではなく,「市民の理解を得る」ことを第一に移転について慎重に検討することが大切でしょう。
もちろん,岩国市の問題は基地移転だけではありません。さまざまな問題に対しても,若さと国会議員としての実力をフルに発揮して,活気ある岩国市になるよう全力を尽くして欲しいと思います。
一方で,井原氏の敗因はどこにあったでしょうか。やはり,「議会とのねじれ」が大きかったと言えます。議会も民意を反映している組織である以上,議会との調和を図る必要性もあったのではないでしょうか。もちろん,先の住民投票をベースにした場合,民意がどの程度反映された議会であるのかは微妙なところではありますが,少なくとも住民代表である以上,やはり意見は尊重するべきだったのかもしれません。
また,兵糧責めがやはり痛手だったと思います。これにより,市民の一部は「やはり国にけんかするとろくな目に遭わない」と判断して,基地移転賛成に回った方もいたと思います。その差が最後の微妙な接戦の数字に出たものと思われます。
あとは,公明党を味方に呼べなかった点が大きいでしょうか。
いずれにせよ,岩国市は新たなサイが振られました。福田新市長は自分でも言っているとおり,「反対派の意見を尊重する」姿勢を忘れずに,国や自民党に迎合することなく,
市民目線でこの基地問題をしっかりと解決し,岩国市民が安心して楽しく生活できるよう全力を尽くしてほしいものです。
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部隊移転自体を容認したともいいきれない
今回の選挙は,簡単に言うと,井原前市長が,空母艦隊の受け入れを拒絶したとこと,国からの交付金がカットされたため,市庁舎建設の資金繰りに困り,やむなく合併特例債を歳入としようとしたところ,議会からそれを3回に渡り否決されたことから,民意を問うとして辞職再選挙となったものです。
そして,今回は,投票率も高くなり,かつ容認派の福田氏が当選したということで,民意は「空母艦隊移転大賛成」ととらえられている節もあります。
しかし,そうとも言いきれない点があります。
まず,2年前の艦載機部隊移転の是非を問う住民投票においては,実に87%の住民が「NO」と表明していました。したがって,この2年で急激に住民意識が変わったとは言いがたく,住民の本音は今でも基本的に「移転はいやだ」と考えているものと思われます。
現に,投票結果を見ても,福田氏が47081票,井原氏が45299票とほぼ互角であり,少なくとも現状では「低く見積もっても半数の住民は依然として反対」と考えても良いでしょう。
したがって,福田氏も自身で指摘しているとおり,「安易な迎合はしない」という姿勢が絶対条件であろうと思われます。ここの処置を誤ると,市民からのリコールが簡単に起こります(3分の1以上の反対派がいるため。)。あくまでも,「もう民意を得た」という姿勢ではなく,「市民の理解を得る」ことを第一に移転について慎重に検討することが大切でしょう。
もちろん,岩国市の問題は基地移転だけではありません。さまざまな問題に対しても,若さと国会議員としての実力をフルに発揮して,活気ある岩国市になるよう全力を尽くして欲しいと思います。
一方で,井原氏の敗因はどこにあったでしょうか。やはり,「議会とのねじれ」が大きかったと言えます。議会も民意を反映している組織である以上,議会との調和を図る必要性もあったのではないでしょうか。もちろん,先の住民投票をベースにした場合,民意がどの程度反映された議会であるのかは微妙なところではありますが,少なくとも住民代表である以上,やはり意見は尊重するべきだったのかもしれません。
また,兵糧責めがやはり痛手だったと思います。これにより,市民の一部は「やはり国にけんかするとろくな目に遭わない」と判断して,基地移転賛成に回った方もいたと思います。その差が最後の微妙な接戦の数字に出たものと思われます。
あとは,公明党を味方に呼べなかった点が大きいでしょうか。
いずれにせよ,岩国市は新たなサイが振られました。福田新市長は自分でも言っているとおり,「反対派の意見を尊重する」姿勢を忘れずに,国や自民党に迎合することなく,
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