あれは,あれで良いのかなPART2

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「官僚いじめキャンペーン」は選挙直前の現れかも

2008年07月04日 01時47分05秒 | 政治・選挙
居酒屋タクシー問題や過剰なマイレージ問題など,ここへ来て国家公務員の様々な問題が表面化していますが,このきっかけを作ったのはいずれも国会議員の指摘によるものです。
これにより,国家公務員は綱紀粛正をより厳しく行うなどいろいろな対応を始めています。

「官僚いじめキャンペーン」と呼ぶらしい

これはとある政治評論家が名付けた表現ですが,その政治評論家によりますと「官僚いじめキャンペーンが政治家から起こるのは,選挙が近い証拠」とのことでした。
そうだと思います。今,自民,民主両党が躍起になって公務員のあら探しをしています。もちろん,あらがある公務員制度も問題があるため,これを機に改めること自体は大事なのですが,それにしても国会議員が指摘するのはもっぱら「枝葉」であって「根幹」には責めてきません。なぜでしょうか?
それは,官僚いじめキャンペーンはあくまでも「選挙対策」にすぎないからです。つまり,「自分たちが公務員制度を改革して無駄な税金支出を減らした」とアピールしたいからなのです。本気で財政のことや国民のことを考えているわけではないのです。
では,具体的に「選挙対策のための官僚いじめキャンペーン」にはどんな特徴があるでしょうか。概ね,次の要件を具備しているものが該当するでしょう。

1 指摘するのはあくまでも「枝葉」にすぎない(制度それ自体の問題を指摘すると,国会運営で官僚の手助けがもらえなくなるため。)。
2 いじめの対象は「中堅どころの公務員」で,できればノンキャリアのみにしたい(キャリア公務員や局長級以上とはパイプをつないでおかなければ,逆に政治家の選挙区に対する補助金などの話ができなくなるため。)
3 公務員の身分に影響しない(特に野党の場合は,労働組合が支持団体なので,給与制度や人減らしなどは強く言えない。与党の場合は,天下りや人事権などに影響するため,やはりあまり強く出られない。)
4 指摘する事項は,改善または廃止されたところ体制に影響しない,または,既に官僚側で改正を予定していた事項にする(1でいう「枝葉」にしておけば,本体への被害が少ないし,もともと改正しようと思っていたことなので,トップ官僚からするとむしろ願ったりかなったり)。
5 事業の内容や手法に対する無駄遣いの指摘はしない(本当は,ここが無駄遣いを押さえるのに一番重要なのだが,これ指摘したら,政治家に流れてくるお金がなくなるため,絶対にここは指摘できない。)。
6 指摘内容は政治家に飛び火しないもの(自分たちへの火の粉を振り払いたいためだから。)

概ねこのような点が言えます。
例えば,居酒屋タクシー問題を例にすると,タクシークーポンの乱用はもちろん御法度ものではありますが,これを行っている公務員は全公務員のごく少数でしかもほとんどが霞が関官僚です。したがって,無駄遣い削減といっても国家予算からすると微々たるものです(もちろん,だからといって容認できるものではありませんから,厳しくするという指摘自体は正論です。)。
また,タクシーで帰宅するのは中堅どころの公務員で,割合としてはノンキャリアの方が圧倒的に多いです。キャリア官僚,特に課長クラス以上は「送迎車」で通勤しますから,タクシー問題はほとんど生じません(逆に,送迎車についてつっこむことは,局長級に喧嘩を売ることになるため,議員は突っ込めません。)。
また,タクシークーポンの使用を厳しくしても,結局は「適正な通勤」が確保されるだけなので,公務員制度がこれで何か変わるというわけではありません(もちろん,適正な通勤の確保という効果自体は否定しません。)。
さらに,タクシーの不正利用自体は既に会計検査院から指摘されており,運用改善が急務となっていたところでした。
一方で,逆に「タクシー業界」については今回はお咎めなしとなり,それどころか逆に「再びタクシー規制を始める」など逆にタクシー業界保護に出始めています。
そして,政治家はタクシーをほとんど使いませんから,この問題を徹底的に追及しても,自分たちには飛び火しません。むしろ,これで完全に「政治と金」という問題が,国民の関心から消えてしまいました。
よって,居酒屋タクシー問題は「選挙対策の官僚いじめキャンペーン」にすぎないのです。
公務員のマイル問題や福利厚生問題も同じです。

おそらく,今後もいくつか同種の問題が出てくると思います。当然,違法行為や構造的無駄などは,例え枝葉であったとしてもどんどん指摘し,改善することそれ自体はよいことだと思います。しかし,そのような目先の枝葉だけにとらわれすぎると,「本当の問題点」が見えなくなるおそれがあります。そして,いざ選挙というときに,選択肢を見誤る可能性すらあります。
居酒屋タクシー問題についても,そこだけに注目しない方がいいでしょう。むしろ,1円から領収書を添付することになった改正政治資金規正法が適正に運用されているか,政治献金は適切に処理されているか,政治家のJR利用やマイレージが適切か(これは枝葉ですが)など,「政治と金」についても関心を怠らない方がいいでしょう。
とにかく選挙前なので,小さなスキャンダルも嫌います。だからこそ,目くらましに走るのです。目くらましをしているということは,「見つかると困る」ものがあるということなのです。
逆に,この時期だからこそ「我が党の状況を包み隠さずすべて公開します。」といえる政党があれば,信頼してもよいかもしれません。もちろん,現時点では全く存在していませんが。

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コメント (2)
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