大手貸金業者アイフルの違法取立てが多数発生していたことを理由に,営業停止処分となったようです。
livedoor ニュース
どーする,アイフル?
記事によると,相当あこぎな取立をしていたようですね。さながらミナミの帝王顔負けの状態です(ちゃーんとアコーギ,って感じですね)。
ただ,今回の営業停止処分については,実はいろんな問題があります。報道で指摘されていることされていないことを含めて,ちょっとまとめてみます。
1 取立てノルマが厳しいのはアイフルだけではなくほぼ全部の貸金業者にある
ということは,他社でもかなりきわどい取立を行っている実態があります。
そして,多くの貸金業者の支店長は,取立困難な場合に自腹を切ってノルマを達成しているという実態もあるようです。
さらには,そのために会社から借金まで背負っている社員もいるようです。
これじゃあ,貸金業者の社員って,奴隷状態ですね。
2 脱法的取立てが横行している
法律的には取立てができない人に対する取立てを行っています。
例えば,「子供の借金は親が払うもの」といって,親に返済を求める例がかなりあると聞きます(実際は,保証人などになっていない限り,払う筋合いはありません。)。
また,法的に支払わなくて済んだものを支払わせようと言う手法もあります。特に結構卑劣な手を使うのは,「相続放棄を認めない作戦」です。
簡単に言うと,例えば,親が借金をして亡くなった場合,子供が相続人となりますが,この借金も相続してしまいます。そこで,借金を背負いたくない場合,家庭裁判所に対して「相続放棄」の申述をすれば,借金を背負いません(もちろん,遺産も全く貰えません)。
ところが,一部の貸金業者は,相続放棄をした相続人に対してこう言います。「本当に気持ちでいいので,最後に払って貰えませんか。5千円くらいでもいいんです。」と。
すると,多少負い目のある相続人は5千円くらいならばと思って払ってしまいます。
ところが,そうすると,貸金業者は「あなたは相続人の借金を払ったので,相続を認めたことになりました。だから,残りの借金はあなたが払いなさい。」と請求をはじめるのです。
民法的には,業者の言い分は正しいのですが,その過程においてあまりにちゃーんとアコーギな手法が含まれているので,おそらく訴訟になれば貸金業者は敗訴すると思います。
他にもいろいろありますが(破産して免責した人からの取立てなど),とにかく,正規の貸金業者であっても,あの手この手を使って返済を求めてくる実態があるのです。
3 そもそもなぜ高利貸しからお金を借りるのか
今度は借りる側の問題です。
素朴な疑問として,「なぜ高金利の業者から借りなければならないのか」と思うことが多々あります。
その理由はかなりあると思いますが,主に①銀行が貸してくれないこと>,②お金の使い方を知らない人が増えたことにあるのかな,と思います。
①については,最近報じられなくなってきましたが,銀行は不良債権化を防ぐことから,中小企業に対する「貸し渋り」は実は今でもかなり横行しています。また,市町村で行っている中小企業支援融資についても,採用枠と金額枠が小さいことから,現実にはあまり役に立っていません。
そこで,事業資金としてつい高利貸しに走るという実態があります。
これは,もっと単純に言えば,「銀行が貸さない企業あるってことは,日本はまだまだ景気が悪い」ということを暗に言っているようなものです。
また,個人で生活費に困って借りているいるといういわゆる格差社会の問題も出てきます。これも,借金よりも生活保護,っていうアプローチを考えるべきでしょう。
②については,ちゃんと計画してお金を使うという発想がなくなった人が増えている,ということです。ほしいものは借金してでも買う,これ自体は否定しないのですが,次々と借金したら絶対返せなくなるというのは,小学生でも分かる話です。ところが,なぜかこれを平気でやる大人が増えてきています。
借金とはお金が沸いてくるもの,とでも思っているのでしょうか。②の発想の人については,私には正直理解不能です。
4 実は取立ができない場合でも,あまり損をしない
取立不能債権については,税金上「損金」扱いになります。そして,その半額を税控除の対象とできます。
したがって,実は貸した金の1割くらいが取立不能になっても,業者はあまり困りません。
むしろ,損金処理をした後にその不良債権を取り立てた場合は,税控除された債権がまるまる懐に入ってくるわけですから,逆に業者は大もうけ,っていうことになります。
長期の不良債権ほど,熱心に取立を行うのは,実は意外なウラがあるわけです。
5 グレーゾーン金利是正のために,密かに利息制限法の方が改正されるおそれがある
今,貸金業者は金利20%以上で貸しています。しかし,利息制限法という法律では,上限15%となっています。したがって,本来は15%を越える利息は払う必要がありません。
この辺は,説明が長くなるので端折りますが,最近最高裁でも「そりゃおかしい」という判決がでました。それを受けて,政府は金利法制を見直すとしています(グレーゾーンの廃止を含めて)。
ところが,最近一部の議員から「世の中の実態にあわない利息制限法の上限を変えるべきだ」という議論が浮上しはじめてきました。つまり,利息制限法の上限を例えば30%とすることで,貸金業者の金利を完全にOK牧場にしようという発想です。
ただ,この手法を取ると,貸金業者でなくても,上限金利がみんな高くなるという可能性が出てきます。本当にこの手法がよいのか,よーく考えよー,お金は大事だよー!
6 貸金業者は,銀行と提携しはじめた
簡単にいえば,高利貸しの金主さんが銀行っていうことです。だったら,銀行で貸してやれよ,って思うのですが,銀行からすれば,業者に貸す方が100%返済可能であるため,この手法を取るわけです。ここが経済活動の複雑さなのですね。
ちょっと思いつくままにまとめてみました。
いずれにしても,これを機に,各貸金業者は自己の業務内容を見直すと共に,借り手側も「本当に借りるべきかどうか」をよーく考えてから借りるべきでしょう。
そして,今貸金業者からお金を借りている人,今回の事件で別にあなたの借金が消えてなくなるわけではありませんので,油断しないでください。むしろ,違法な取立てに代わって,合法的な取立て(裁判)になるだけの話ですから。
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記事によると,相当あこぎな取立をしていたようですね。さながらミナミの帝王顔負けの状態です(ちゃーんとアコーギ,って感じですね)。
ただ,今回の営業停止処分については,実はいろんな問題があります。報道で指摘されていることされていないことを含めて,ちょっとまとめてみます。
1 取立てノルマが厳しいのはアイフルだけではなくほぼ全部の貸金業者にある
ということは,他社でもかなりきわどい取立を行っている実態があります。
そして,多くの貸金業者の支店長は,取立困難な場合に自腹を切ってノルマを達成しているという実態もあるようです。
さらには,そのために会社から借金まで背負っている社員もいるようです。
これじゃあ,貸金業者の社員って,奴隷状態ですね。
2 脱法的取立てが横行している
法律的には取立てができない人に対する取立てを行っています。
例えば,「子供の借金は親が払うもの」といって,親に返済を求める例がかなりあると聞きます(実際は,保証人などになっていない限り,払う筋合いはありません。)。
また,法的に支払わなくて済んだものを支払わせようと言う手法もあります。特に結構卑劣な手を使うのは,「相続放棄を認めない作戦」です。
簡単に言うと,例えば,親が借金をして亡くなった場合,子供が相続人となりますが,この借金も相続してしまいます。そこで,借金を背負いたくない場合,家庭裁判所に対して「相続放棄」の申述をすれば,借金を背負いません(もちろん,遺産も全く貰えません)。
ところが,一部の貸金業者は,相続放棄をした相続人に対してこう言います。「本当に気持ちでいいので,最後に払って貰えませんか。5千円くらいでもいいんです。」と。
すると,多少負い目のある相続人は5千円くらいならばと思って払ってしまいます。
ところが,そうすると,貸金業者は「あなたは相続人の借金を払ったので,相続を認めたことになりました。だから,残りの借金はあなたが払いなさい。」と請求をはじめるのです。
民法的には,業者の言い分は正しいのですが,その過程においてあまりにちゃーんとアコーギな手法が含まれているので,おそらく訴訟になれば貸金業者は敗訴すると思います。
他にもいろいろありますが(破産して免責した人からの取立てなど),とにかく,正規の貸金業者であっても,あの手この手を使って返済を求めてくる実態があるのです。
3 そもそもなぜ高利貸しからお金を借りるのか
今度は借りる側の問題です。
素朴な疑問として,「なぜ高金利の業者から借りなければならないのか」と思うことが多々あります。
その理由はかなりあると思いますが,主に①銀行が貸してくれないこと>,②お金の使い方を知らない人が増えたことにあるのかな,と思います。
①については,最近報じられなくなってきましたが,銀行は不良債権化を防ぐことから,中小企業に対する「貸し渋り」は実は今でもかなり横行しています。また,市町村で行っている中小企業支援融資についても,採用枠と金額枠が小さいことから,現実にはあまり役に立っていません。
そこで,事業資金としてつい高利貸しに走るという実態があります。
これは,もっと単純に言えば,「銀行が貸さない企業あるってことは,日本はまだまだ景気が悪い」ということを暗に言っているようなものです。
また,個人で生活費に困って借りているいるといういわゆる格差社会の問題も出てきます。これも,借金よりも生活保護,っていうアプローチを考えるべきでしょう。
②については,ちゃんと計画してお金を使うという発想がなくなった人が増えている,ということです。ほしいものは借金してでも買う,これ自体は否定しないのですが,次々と借金したら絶対返せなくなるというのは,小学生でも分かる話です。ところが,なぜかこれを平気でやる大人が増えてきています。
借金とはお金が沸いてくるもの,とでも思っているのでしょうか。②の発想の人については,私には正直理解不能です。
4 実は取立ができない場合でも,あまり損をしない
取立不能債権については,税金上「損金」扱いになります。そして,その半額を税控除の対象とできます。
したがって,実は貸した金の1割くらいが取立不能になっても,業者はあまり困りません。
むしろ,損金処理をした後にその不良債権を取り立てた場合は,税控除された債権がまるまる懐に入ってくるわけですから,逆に業者は大もうけ,っていうことになります。
長期の不良債権ほど,熱心に取立を行うのは,実は意外なウラがあるわけです。
5 グレーゾーン金利是正のために,密かに利息制限法の方が改正されるおそれがある
今,貸金業者は金利20%以上で貸しています。しかし,利息制限法という法律では,上限15%となっています。したがって,本来は15%を越える利息は払う必要がありません。
この辺は,説明が長くなるので端折りますが,最近最高裁でも「そりゃおかしい」という判決がでました。それを受けて,政府は金利法制を見直すとしています(グレーゾーンの廃止を含めて)。
ところが,最近一部の議員から「世の中の実態にあわない利息制限法の上限を変えるべきだ」という議論が浮上しはじめてきました。つまり,利息制限法の上限を例えば30%とすることで,貸金業者の金利を完全にOK牧場にしようという発想です。
ただ,この手法を取ると,貸金業者でなくても,上限金利がみんな高くなるという可能性が出てきます。本当にこの手法がよいのか,よーく考えよー,お金は大事だよー!
6 貸金業者は,銀行と提携しはじめた
簡単にいえば,高利貸しの金主さんが銀行っていうことです。だったら,銀行で貸してやれよ,って思うのですが,銀行からすれば,業者に貸す方が100%返済可能であるため,この手法を取るわけです。ここが経済活動の複雑さなのですね。
ちょっと思いつくままにまとめてみました。
いずれにしても,これを機に,各貸金業者は自己の業務内容を見直すと共に,借り手側も「本当に借りるべきかどうか」をよーく考えてから借りるべきでしょう。
そして,今貸金業者からお金を借りている人,今回の事件で別にあなたの借金が消えてなくなるわけではありませんので,油断しないでください。むしろ,違法な取立てに代わって,合法的な取立て(裁判)になるだけの話ですから。
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